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偏差値27男MIZKの全ての孤独な友たちへ-流浪の青春記-

Vol.2 - 氷の中3


子供の世界、思春期の世界というのは残酷なものだよね。
よく子供の世界は純粋で美しいなどど手放しで礼賛する人がいるけど、きっとそういう人たちって本当に幸せな育ち方をしたんだろうなと思う。
そしてきっと何も理解していないんだろうなと思う。


子供の世界というのは大人が持つ他者への思いやりという視点が欠けたすごく冷酷な世界。
思いやりが欠けているということは、それすなわち

弱者攻撃され放題! 弱者傷つけられまくり放題!
強者のさばり放題! 卑怯なスネオキャラ徘徊し放題!

(※そんでもって現実はシズカちゃんとか、ドラエモンみたいに守ってくれるキャラはまあ、いないんだよね。でもジャイアンとスネオキャラはうじゃうじゃいる。なんじゃ、そりゃ。とほほだよ。まったく。)

僕は思い切り弱者だったから、今でもこの時代のことを思い出すと背筋がどこか冷たくなる。

でも反面、こんなことを思ったりもする。

"あー!大人になってよかったー!"って。

大人の世界ってなんだかんだいって他者への配慮が100%ではないけどベースは出来ているから子供の世界にくらべると凄い楽なんだよね。
だからもし昔の僕みたいな少年少女がいたら、とりあえずこんなことを思って欲しいんだ。

"大人になれば世界は少しはマシになる。"って。

本当だよこれは。


******

で、まあ、イントロはこれくらいにして

20年前のこと

憂鬱な中2の季節をすぎ、僕は中3となった。
周りから浮いた友達のいない淋しい中3となった。

僕はいつのまにか凄く孤独というものに対して耐性が出来ていて、今では何とも思わないのだけれど、その頃の孤独というのは何というかこう恥ずかしさみたいなものを常に感じていた。

思春期の孤独は恥ずかしく、そして悲しい。

毎日毎日、自分のどこがダメなんだ!? 自分が受け入れられない理由はなんなんだ!?という自問自答を繰り返し、クラスのはじっこにいる。

そして力が及ぶかぎり僕を仲間にしてくれるようパフォーマンスを試みてみる。
(※内容はおきまりのTVから得たくだらないギャグ。)

でも結局は誰も僕を受け入れない。
ちょっとは見るけど、一瞬は仲間にしてくれるけど結局は仲間にはしてくれない。
そして一人で下校する。
帰り道でちょっと泣いたりして。
夕焼けが赤すぎて痛いくらいに見えたりして。

かつての友人たちも変化してゆく。
次第に勉強に力を入れてゆくもの。
次第に不良化してゆくもの。
僕を置いてけぼりにしてどんどん成長してゆく。
そしてたまに必死におちゃらける僕のことを"幼稚だな"という目で見る。
そういう視線が僕は一番つらかった。


教師はいたが何の力にもなってくれなかった。

というよりもドライに言って、普通に生きてきて、社会にも出たことのない教師という大人に子供の繊細な異常事態に気づくことは難しいんじゃないかな。(※経験をつんだ良い先生もたくさんいらっしゃいますが…)
残念なことだけど。。。
だけど現にその頃の僕の心の中に起こっていた一大事に気づく教師なんて一人もいなかった。
それを証拠に教師の口から出る話題は"受験"ばかり。
お前はどこの高校を受けるんだ。
今のお前の偏差値はこんなところだ。

僕は偏差値という生き物なのかと思ったくらいだ。


話しがそれてしまったが
孤独は人のポテンシャルを下げる。
孤独は人のモチベーションを下げる。

だから僕の受験勉強はまったくもってうまくいかなかった気がする。
勉強なんかそっちのけで毎日毎日悩む。
そう、ひたすら悩む。
人間は本当に生きるべきなのか?とか
人間はどうして裏切るのか?とか
すごく小難しいことをいっぱい考えてその思いをスケッチブックに絵にしてみたりして悩む。たまに誰もいない屋上でその絵を抱いて泣いたりしながら空を仰ぐ。

その頃の風景は未だに忘れられない。
僕の原風景に近いのかも知れない。

そしてそんな日々の中、高校受験をする。
偏差値40から50くらいの高校。
親はもっと上位クラスの高校に行って欲しかったらしく、僕がこの高校を受けると決めた時はちょっと残念そうだった。
でも僕としては、この高校でさえも受かるという100%の自信はなかった。
それくらい勉強というものに集中できなかった。
結果的に言うと幸いにも高校には受かったのだが、僕の心の中はそれどころではなくやはり孤独に対するものでいっぱいだった。

そしてそうこうするうちに、中学生活は終わる。

卒業式。僕の手元には誰も書き込んでくれなかった真っ白な寄せ書きだけが残り、駄目押しとばかりに行われた事件が僕の心に決定的なダメージを与える。

僕は僕が想像したよりも嫌われていたようだ。
卒業式後、僕は7人くらいのかつての同級生たちに呼び出され暴行を受ける。
薄暗いマンションの一室に呼び出され、タバコの煙とシンナーの匂いが充満した部屋で暴行を受ける。

壁には暴走族の特攻服。
にやにや笑う顔。
その中には僕がかつて仲良くした友の顔もあった。
一緒に笑いあったこともあったのに・・・
それがどうして・・・どうして・・・

この世界はなんて冷酷で寒いんだろう。
そんなことを殴られながら思う、
まさに氷の中3だった。

2005/5/15 MIZK
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