2012年3、4月 タオルミーナ(その3)
私がこの町に興味を持った理由の一つに、デイヴィッド・ハーバート・ロレンス(D.H.Lawrence ※)が1920年から1923年にかけて滞在し、ここを基点にサルジニア旅行をしました。
彼の住んだ家はメッシーナ門からさらに北に上ってゆく「古い泉通り(Via Fontana Vecchia)」を突き当たり、そこからはじまる「D.H.ロレンス通り(Via D.H. Lawrence)」に残っています。海は見えますが、エトナ山は裏側になって見えません。
また近世まで忘れられていたこの土地が再び脚光を浴びたについてはゲーテの貢献がありました。ゲーテは1787年の3月から5月までシシリア島に滞在し、その『イタリア紀行』の5月6、7日付でタオルミーナについて書いています。その内容については次回に触れます。
4月5日、先ずマドンナ・デッラ・ロッカ(岩の聖母教会)への石段の道を上り、さらに閉鎖されているサラセン城の入口まで上りました。ここからのエトナ山の眺めはなかなかのものです。さらにその後に聳え立っているカステルモーラまで歩くことにしました。
マドンナ・デッラ・ロッカからカステルモーラまではバスの時刻表では3分なのですが、一度下ってからの上りが急で30分位かかってしまいました。おまけに翌朝起きると足が腫れていました。ターミナルから往復で2.80ユーロ(片道1.50ユーロ)なので無理して歩くこともなかったのですが。
カステルモーラの町は一番高いところにお城の跡があり、町全体がエトナ山の方に少し下っているように感じます。町は細い道が迷路のようにグルグル廻っています。この日もお天気が今一つで綺麗なエトナ山を見ることができませんでした。
この5日の時点では、「またもう一度来よう」と考えていたのですが、その後お天気もすぐれず、足も痛かったのでこの時が最初で最後の訪問になってしまいました。
エトナ山が見える場所にレストランがありました。そこで昼食を摂りました。値段もタオルミーナの安いところくらいでした。少し未練の残るカステルモーラの訪問でした。
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カステルモーラの町から眺めたエトナ山。 ここからの眺めが一番素晴らしいといわれている。
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※デイヴィッド・ハーバート・ロレンス(1885〜1930)
イギリスの小説家・詩人。シシリア島タオルミーナを舞台にした「蛇」の詩は最高傑作だといわれている。ほか、「チャタレイ夫人の恋人」が有名。
2012.6.4 掲載
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