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Q171
はじめまして、健康保険の扶養者資格について質問いたします。
48歳のサラリーマンで母親と同居しておりますが、昨年母親名義の土地を処分し母親に300万弱の収入がありました。
今まで私の扶養に入っていたのですが、税務署に確定申告をした際、扶養から抜けなくてはいけないといわれました。
そのときに私の昨年の税金差額分を徴収されたのですが、健康保険のほうも扶養から抜けなくてはならないのでしょうか。
初歩的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
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A171
健康保険の扶養認定にはいろいろと要件があります。その内の一つが年収要件です。
具体的には、60歳以上の方は年収180万未満が要件です。
この年収180万円は過去の年収を見るのではなく、向こう1年間に見込まれる年収をみます。
従って、過去に年収が180万円以上であっても、今後1年間に180万円未満の場合は年収要件を満たしていることになります。
ご質問の件では
「昨年母親名義の土地を処分し母親に300万弱の収入がありました。」
ということですから、お母さんについては昨年は180万円以上の収入があったといえます。
しかし、一般的に土地の処分は一度きりで、よほどの資産家でもない限り毎年土地を処分して180万円以上の収入があるとは言えないでしょう。
つまり、お母さんは今後は180万円以上の収入が見込まれる状態ではないといえます。
従って、引き続き扶養のままでいても問題ありません。
尚、税金の扶養家族と健康保険の扶養家族で判断が分かれ(税金では扶養家族から外し、健康保険では扶養家族のままでいる)ても、
法律が違うのですから判断が異なることがあっても問題がありません。
(2005年3月10日回答)
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Q172
私は去年多発性硬化症という難病にかかり7月いっぱいで会社を退職し、その後は傷病手当金を2ヶ月いただきました。
しかしそれ以降の手当金を保険会社が検討中と言われ5か月分を支払ってもらっていません。
診断書は提出しましたが。聞いてみると支払われない可能性もあるといわれました。理由は薬や検査などがないため。
しかも検討中なのでいつその判断がでるのかわからないと言われました。硬化症は再発とカンカイを繰り返す病気で完治はありません。
症状が出たら新たな再発としてすぐに入院をして治療で症状を治めるというものです。人によって症状が違います。
私は硬化症の症状は治まったもののとても疲れやすく、しかもいつ再発するかもわからないで働けません。
しかも今妊娠をしているので薬も飲めません。出産後病気が再発して入院をする可能性が高くなるからと医者からは言われています。
再発したら入院です。保険会社は硬化症で払われなくても妊娠で払われるといいますが硬化症と妊娠では期間が違いますよね?
それと一度払われなくなった病気でも継続療養期間中なら出産後再発しても支払ってもらえるのでしょうか。
あと傷病手当金というのは私の様に毎月1度診察を受けて療養しているのではたとえ難病指定でも支払われないのですか?
妊娠のためと言う理由で支払い理由を変えたほうがかしこいのでしょうか。
いつまで保険会社の返事を待てばいいのかもわかりません。
任意継続期間開始は去年の8月からです。出産は5がつです。
教えてください。
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A172
保険会社ということですが、民間の医療保険のことでしょうか?
民間の医療保険でしたら申し訳ありませんが専門外ですのでわかりません。
FPの先生に質問してください。
社会保険の傷病手当金は
(1)療養のため
(2)労務不能
(3)賃金が支払われていない
が条件です。従って、労務不能期間中(欠勤期間中)通院や入院は条件になっていません。自宅療養でも傷病手当金は支給されます。つまり、入院や通院はもとより、薬や検査が無くとも支給対象になります。労務不能かどうかについては、本人の判断ではなく医師の判断となります。傷病手当金支給請求書の右下の欄に医師の意見欄がありその欄の中で医師が労務不能の証明をするわけです。実務的には入院や通院が全くない期間について労務不能であるという証明は医師はしにくいでしょうね。ですから、殆どの方は1カ月に1回か2カ月に1回くらいは診察を受けに行きます。
ご質問の件ですと、現在が療養のため労務不能なのか、単に再発が怖くて働いていないだけなのかが良くわかりませんので断言できませんが、療養のために労務不能でしたら傷病手当金の対象となります。しかし再発が怖くて働いていないだけですと「療養のため労務不能」とはいえませんので傷病手当金は支給されません。
傷病手当金の支給期間は、一番最初の支給開始日から1年6か月です。この間に途中支給されない期間があったとしても、1年6か月で打ちきりとなります。この後まだ働けない期間が続くようですと、他の条件が合えば障害厚生年金となります。
(2005年3月16日回答)
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Q173
パート先より正社員にと打診されました。短期間の勤務先(社会保険には加入、六ヶ月)は、履歴書に記載していません。
厚生年金、社会保険に再加入する場合、職歴が会社に 全て知られてしまうのでしょうか?
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A173
従業員さんを採用したときの手続きのなかで
(1)雇用保険の資格取得
(2)健康保険の資格取得
(3)厚生年金保険の資格取得
があります。このうち(1)は公共職業安定所に雇用保険被保険者資格取得届を提出します。(2)(3)は中小企業ですと社会保険事務所に健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出します。健康保険組合や厚生年金基金に加入している場合は提出先が異なります。
過去の職歴を調べるかどうかについてですが、雇用保険については雇用保険被保険者番号がわかれば調べる必要がありません。つまり、過去に勤めていた会社での「離職票」か「雇用保険被保険者証」又は「雇用保険受給資格者証」等があればそこに雇用保険被保険者番号が記載されていますので、過去の職歴を調べる必要がないわけです。
社会保険についても、基礎年金番号がわかれば過去の職歴調査をする必要はありません。
ところで、雇用保険の被保険者証のない人の取扱いですが、この場合は過去の職歴から雇用保険の被保険者番号を調べる必要があります。そこで、過去の職歴を記載していただくわけです。
狸事務所では、雇用保険被保険者証があり雇用保険被保険者番号がわかる場合でも、あえて、被保険者番号を記載せず、備考欄に職歴を記載しするようにしています。
備考欄に職歴を記載すると、職安が記載された職歴にそって加入歴を確認してくれるので、経歴詐称の早期発見に便利なんです。職安からは過去に勤めていた具体的な企業名は明示されませんが、記載の職歴以外にどこかの会社に勤められているようですが確認してくださいと指示が出ます。この時点で職歴不記載又は詐称がわかるわけです。
単純に本人が経歴を書き間違う場合もありますが、悪質な人は明らかな経歴詐称をやってきますね(笑)
このときに、被保険者番号を記載せず、職歴から被保険者歴を確認すると経歴詐称している人はすぐに見破れるので、前述のようにワザと被保険者番号を記載せず、備考欄に職歴を記載するようにしています。
すると、この部分は会社の経営方針の問題になります。セキュリティがしっかりした会社できちんと過去の職歴を確認する作業を行っている会社ですと、履歴書に記載していない職歴もきちんと調べます。
ところで、6か月の勤務の職歴不記載は経歴詐称としては重要な問題にはならないと思います。パート先に「他にも職歴がありますか?」と確認されたら正直に「6カ月間働いていました」と答える程度でいいと思います。
次からは最初から正直に申告してくださいね。
(2005年3月16日回答)
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Q174
初めて相談します。義母の事で、どう処理をしていいのか、非常に悩んでおります。
アドバイスをいただけたらと思いメールさせていただきました。
義母(現在61歳)は、夫の国民健康保険(組合国保)で被扶養家族となっているのですが、H16年の年収が、約220万円(2箇所でパート、100+120)ということが源泉徴収票でわかりました。
今年2月〜大病を患って現在入院中、退院後は仕事に就きません。
高額療養の対象にもなり、多額の医療保険を使ってしまっています。
このような状況で、夫の扶養でいられるのか、年金はなにか届出が必要かなど、わからないことばかりです。宜しくお願い致します。
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A174
組合国保なら、年収要件はありませんので、そのままでも大丈夫ですよ。
60歳代前半の厚生年金は、厚生年金の月額(2カ月に1回振り込まれる額から加給年金額を引いた額の半額)
と毎月のお給料と去年1年間のボーナスの総額の12分の1の合計が28万円を超えるまでは支給停止になりません。
この表現だとさっぱりわからないと思いますので式に書きます
(年金の振込額÷2)+毎月のお給料+去年のボーナス÷12=<280,000円
280,000円を超えると280,000円を超えた額の半額が支給停止になります。
例えば
年金の振込額・・・・140,000円
毎月のお給料・・・・150,000円
去年のボーナス・・・600,000円
だと
140,000÷2+150,000円+600,000円÷12カ月
=70,000円+150,000円+50,000円
=270,000円
270,000円=<280,000円
だから、年金は支給停止されず2カ月に1回140,000円支給となります。
年金の振込額・・・・180,000円
毎月のお給料・・・・150,000円
去年のボーナス・・・600,000円
だと
180,000÷2+150,000円+600,000円÷12カ月
=90,000円+150,000円+50,000円
=290,000円
290,000円>280,000円
だから、超えた分の半額が支給停止です。従って
290,000円−280,000円=10,000円
10,000円÷2=5,000円
年金の1カ月分は180,000円÷2=90,000円だから
90,000円−5,000円=85,000円
が支給額になります。従って2カ月に1回の支給は85,000円×2=170,000円となります。
女性の方は加給年金が支給されることは珍しいので、無視して年金の振込額の半額と考えてください。
毎月のお給料については、標準報酬月額を用いるのですが、ややこしいことを考えず、単純に総支給額と考えてください。
ボーナスだけは少し注意してください。60歳以降はボーナスが支給される方は殆どいませんが、59歳までは殆どのかたが正社員ですので、
59歳の時に支給されたボーナスが60歳の時の年金の支給額に影響を与えます。従って、定年前に高額のボーナスの支給があると、
60歳以降にお給料がぐっと下がっても、年金が支給されない場合があります。
この他にも上限額や雇用保険の高年齢者継続給付との関係もありますが、大まかな目安として上記の式で計算してください。
ところで、これらは、60歳以降も社会保険に加入している場合の取扱いです。従って、社会保険に加入していない人は収入に関係なく満額の年金が支給されます。
ご質問の件では、2カ所でパートで働いているということですから、各々のパート先で社会保険適用除外となっていると思います。
社会保険適用除外でしたら、年金が一部停止されることもありませんので安心して下さい。
(2005年3月20日回答)
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Q175
去年の9月まで総支給額が359,600円で厚生年金を24,444円はらってました。 10月から総支給額が442,000円で26,475円払い、今年の2月から総支給は442,000円でかわらないのですが、保険料は32,745円になりました。
表を見てみると25等級に該当するみたいですが24等級に該当しないのでしょうか? |
A175
健康保険や厚生年金保険の保険料は、毎年4月・5月・6月の3カ月間の平均を取り9月分から新しい保険料を適用します。
この届のことを算定基礎届といいます。算定基礎届はお給料は毎月変動するものですから、
お給料の変動に応じて毎月保険料もかわると事務が大変いなるということと、給付が不安定になります。
つまり、病気等でお給料が下がってしまったにもかかわらず、保険料も一緒に下がってしまうと、保険給付も下がってしまうわけです。
この様なことにならないように、毎年算定基礎届でお給料を届け出て、向こう1年間の保険料を算出するわけです。
この届により今年の9月分から来年の8月分までの保険料が決まるわけですが、保険料はお給料から1カ月遅れで引き落としされます。
9月分の保険料は10月分のお給料から引き落としされることになります。
すると、お給料明細では今年の10月分のお給料から変更になり来年の9月分のお給料までその額が続くようになります。
ご質問の件では
「10月から総支給額が442,000円で26,475円払い」
ということですから、10月から算定基礎届により今年の保険料が適用されるようになったわけです。 保険料から逆算すると4月・5月・6月の平均は38万円等級に該当していたと思われます。
算定基礎届出向こう1年間の保険料を確定するのですが、1年間に昇給や降給等お給料の固定部分に変更があった場合で、
いまの保険料だと不適切な場合(2等級以上の差がある場合)は保険料の改定を行います。
保険料の改定はお給料の固定給の変更があった後3カ月様子を見て4カ月目に変更します。
前述のように保険料は1カ月遅れでお給料から引き落とされますので、お給料明細では5カ月目になります。
ご質問の件では、2月から保険料が改定されたようですが、10月に昇給したのでしたら、10月・11月・12月の平均を取り1月分より改定になります。
お給料からは1カ月遅れで引き落としされますので2月分のお給料から新しい保険料が引き落とされます。
新しい保険料の額は10月・11月・12月の3カ月の平均を取りますので、ご質問からは明確に判断できませんが、
多分3カ月の平均の値が47万円等級に該当したのでしょう。
ご質問から推察すると会社の扱いは正しい扱いだと思います。
(2005年3月25日回答)
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Q176
今年の1月より、扶養扱いになっていた妻が派遣社員としてパートに出たため、自分の扶養からはずしました。
このように、妻を扶養からはずした場合、自分の健康保険料、厚生年金保険料は減額されるのでしょうか。
ちなみに、2月の妻の給与から健康保険料、厚生年金保険料が支払われています。
また、自分の2月の給与からは、今までと同じ金額を引かれていました。
自分としては、妻が扶養から外れたことで、それぞれが厚生年金保険料を支払うことになるため自分の保険料が下がると思っていました。
会社の扱いは、正しいのでしょうか。
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A176
健康保険と厚生年金保険は被扶養者(家族)の人数に関係なく、被保険者(本人)の標準報酬月額で保険料を計算します。
健康保険と厚生年金保険でこの様な計算方法になった経緯はいろいろあったのですが、現在では社会全体のことを考えると良い制度になっていると思います。
もし、扶養家族の人数によって保険料が変更になるようでしたら、つまり、扶養家族が増えると保険料が高くなるようでしたら、結婚したり、お子さんができたら保険料が高くなることになります。
つまり、晩婚化や少子化に拍車をかけかねません。
また、高齢者の方で年金額が高くない方について、扶養に入れると保険料が上がるようでしたら、お子さん達で扶養のなすりつけあいをしかねません。
そもそもは、健康保険は被保険者(本人)が病気になったときに困るので発足した制度であり、その後、本人だけでなく家族が病気になったときも困るという理由で健康保険に被扶養者の制度ができました。
厚生年金については、昭和61年4月までは国民年金と厚生年金は別々の制度でした。
そこで、厚生年金にはいっている方(サラリーマン)の妻(サラリーマンの妻)は、国民年金任意加入でした。
この結果、収入に余裕のあるサラリーマンの方の妻は将来のことを考え国民年金に加入する傾向にありました。
これに対して、収入に余裕が無いサラリーマンの方の妻は、パートで働きしかも国民年金に加入しない傾向にありました。
この結果、少しゆとりのあるご夫婦は将来お二人とも年金が受給できるのですが、余裕のないサラリーマンのご家庭では、
妻の国民年金保険料は生活費になりましたので、将来夫は厚生年金で妻は無年金という状態になりました。
また、この結果、妻は老後においても夫に対して「経済的従属」を強いられる場合もでてきたわけです。
サラリーマンが会社で働けるのは妻の内助の功があってからこそですので、この様な状態は是正する必要がありました。
そこで、昭和61年4月より国民年金第3号被保険者の制度を創り、妻の内助の功について老齢基礎年金という形で答えようということになったのです。
もちろん、男女平等ですので専業主婦だけでなく専業主夫の場合も同じように内助の功に答えれるようになりました。
しかし、前述の様に、結婚したら保険料が上がるという形式ですと晩婚化に拍車をかけかねません。
そこで、国民年金第3号被保険者の保険料は厚生年金全体で負担することにしたのです。
従って、独身の方と妻帯者の方で同じ保険料となります。不公平な制度ですが、公平だけを突き詰めてもとめると、貧富の差が拡大し、
儲かる人は滅茶苦茶儲かるけれど、町はずれのスラム街では道ばたで餓死するような人が続発するような社会になります。
社会保険は社会全体のことを考え、単純な公平だけで考えるのではなく、社会全体の考えて、負担能力のある方に少し多めの負担をしていただいて、
社会全体を支えていこうという考え方です。この様な負担の考え方を応能負担といいます。
以上より、奥さんを扶養から外しても保険料はかわりません。従って、会社の保険料計算は正しい計算です。
(2005年3月25日回答)
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Q177
はじめまして 狸さま
傷病手当金について ぜひお教え下さい。
退職時に傷病手当金を受けうる状態であった場合、退職後に辞める日までの手当金請求はできるのでしょうか?(パート社員として6カ月経過。医師証明により病欠中)
但し、1カ月後の契約更新は拒否されています。
在籍期間も短い為 在籍中に1度申請しないと無効になると聞いたのですが、〆日で切ってみると有給が入るので標準報酬日額6割を超えるか否か、よくわかりません。
療養期間1カ月半まとめて請求できれば医師証明費の節約にもなりとても助かるのですが、在籍が短いので・・
いろいろ調べてみたのですがイマイチなので、お忙しい中申し訳ありませんが よろしくお願いいたします。
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A177
傷病手当金は
(1)療養のため
(2)労務不能で
(3)欠勤している期間
について支給されます。ただし、この時に欠勤している期間分としてお給料が支給されている場合は、傷病手当金は支給されません。そこで、お給料が支給されている場合とは、
(ア)月給制
(イ)有給休暇
(ウ)固定給部分の支給
(ア)について、通常の従業員さんのお給料は日給月給制ですので、お給料計算期間中(例えば、15日締めの会社ですと、16日から翌月の15日まで)に欠勤があれば、欠勤1日分お給料をひきます。しかし、月給制の会社では、1日ぐらいの欠勤ではお給料を引くことができず、全額支給となります。
(イ)について、有給休暇は労働者の権利ですので、ご病気で使うことも問題ありません。しかし、傷病手当金は休業4日目から支給されますので、休業した最初の3日間は有給休暇を使い、4日目から傷病手当金に切り替えるのが一般的です。
(ウ)例えば、1カ月22労働日のうち、11労働日欠勤した場合のお給料について、1カ月の半分欠勤したのだから半額支給になるとわかりやすいのですが、基本給等や通勤手当は半額になるけれども、家族手当(仮に22,000円)は満額支給というような場合は、欠勤している11日間について家族手当の半額分(11,000円)だけ支給されていることになります。この分は傷病手当金の支給額から引かれます。
ご質問の様に、傷病手当金は健康保険の被保険者期間が1年以上有り退職時に傷病手当金を受けうる状態であれば、他の条件を満たせば退職後も支給されます。そこで、「受けうる状態」とはなにかということですが、本来なら傷病手当金を受給できたのに上記の(1)(2)(3)のどれかにあてはまり、支給されなかった状態です。平たく言えば、なんらかの理由でお給料が支給されていたために傷病手当金が支給されなかったと考えてください。
この場合は退職時に実際に傷病手当金を受給していなくても退職後引き続き傷病手当金を受給することができます。
ご質問のように、退職後に在職中の分もまとめて支給請求することもできなくはないですが、実務上は退職の時に一旦支給請求をします。お給料が支給されている場合は退職の時点で支給請求しても、「不支給」となりまが、支給請求することにより「受けうる状態である」証明になります。また、退職時に提出する傷病手当金支給請求書の事業主証明欄に平成○○年○○月○○日退職と付記することにより、その後の傷病手当金支給請求書に会社の判子がいらなくなります。
すると、退職後いつまで傷病手当金を受給していた(病気であった)等の個人情報が元の会社に流出することが無くなります。
以上より、少し面倒でも退職時に一旦支給請求してください。
ただし、ご質問の件では
「パート社員として6カ月経過。医師証明により病欠中」
ということですから、病欠期間の長さが判断できませんので、健康保険の被保険者期間が1年未満ですと、傷病手当金は退職後は支給されませんので注意してくださいね。
早く治るといいですね。
(2005年4月10日回答)
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Q178
第3号被保険者に付いてのご相談です。
前年に13年間、勤めていた会社からリストラされました。
その期に厚生年金の国民年金切替手続きを行いましたが、前勤務先から第3号被保険者届けが出ていない事が判りました。
その前の会社では役員だったこともあり自分から申請をした記憶がありましたが、転職した時点での申請手続きに関しては全く記憶にありませんでした。
転職時に新たに申請しなければならない事は今回、調べて初めて知ることになったのですが、これは全て申請者本人のミスなのでしょうか?
またこの場合、妻の保険料は13年間全くのブランクになるのでしょうか?
その間を何らかの方法で証明する事が出来れば、第3号被保険者として認めていただけるのでしょうか?
単純に遡れる期間をこれからの収入で埋められる事が出来るのは判っていますが、45歳で中小企業からのリストラですので、退職金も微々たるモノ再就職が困難な為、自営業を始めましたが収入も激減しています。
老後の不安も抱え、更にいずれ国民年金に切替て未払い期間分まで重複して支払う事を考えると到底、不可能な事のように思うのですが・・・
サラリーを貰っていた時には、あまり考えた事も無かった事で藁をもすがる思いで・・・
全てのQ&Aに目を通す事が出来ませんでしたので重複した相談内容も有るかと思いますが、負担無く支払って行く方法や何らかの解決策等有りましたら教えて頂けると助かります。
本人:1959年生・国民年金→厚生年金(18年)
妻:1960年生・国民年金→厚生年金(7年)→ブランク期間(13年)
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A178
手続き忘れや手続きミスで、第3号被保険者になれなかった方は全国で沢山います。
いままでは、この様な方に対して、すぐに手続きをすれば2年間遡って第3号被保険者になれるだけでした。
しかし、平成17年4月1日より、手続き忘れ等の場合は、過去すべての期間に遡り第3号被保険者と認められるようになりました。
従って、奥さんも、手続きをすれば13年間すべて第3号被保険者として認められます。
手続きは、社会保険事務所の窓口で事情を説明して、第3号の届をするだけです。
この時にご主人と奥さんの年金手帳と判子を持っていってください。すぐに手続きをしてくださいね。
(2005年4月10日回答)
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Q179
私の家族は4人(父・パート業の母・無職収入なしの弟・会社員の私)で構成されています。
実は本日、私の父が退職いたしました。
そこで、父の勤める会社の社会保険に「扶養」で入っていた「母」と「弟」を、 私の勤める会社の社会保険に「扶養」に入れたいと思い、会社に相談しました。
すると会社の解答は「父親が失業保険を貰っていなければ、あなたの扶養に入れます」とのことでした。
失業保険を貰う場合「父」が私の扶養に入れないのは、何となく分る気がしますが、「母」と「弟」も入れないのでしょうか?
教えていただけると幸いです。よろしくお願い申し上げます。
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A179
健康保険の扶養認定には条件があります。よく、年収130万円未満かどうかが問われますが、年収以前の条件として、誰に扶養されているかという点です。
いままで、お父さんにお母さんと弟さんが扶養されていて、お父さんの退職後もお父さんが雇用保険の基本手当(失業保険)を受給することにより、お父さんがお母さんと弟さんを扶養し続けるなら、お二人ともお父さんの扶養家族になりますので、ご質問者の扶養家族になれません。しかし、お父さんの退職を機会に、お父さんの失業中は、ご質問された方が、お母さんと弟さんを扶養するのであれば、年収要件等他の条件を満たせば扶養に入れます。
ご家族で、どちらの扶養になるかを相談し、その結果、質問された方の扶養に入るようでしたら、もう一度会社にお母さんと弟さんの扶養手続き(健康保険被扶養者異動届)をしてもらうように申し出てください。
(2005年4月10日回答)
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Q180
夫はこの8月で60歳退職です。昨日テレビで誰かがチラッといいましたが、480カ月以上国民年金を掛けた人は、
その480を超える年数は払いもどされるとのこと。今年からの改定だそうです。
夫は中学をでてほとんど休まず働いて退職日には526カ月もの厚生年金をはらってきました。
あと2カ月働けば44年長期加入者の満額がいただけるということですが、1年間会社に残って働きます。
当然厚生年金もかけます。基礎年金も含まれます。
61歳の退職月にはなんと538カ月も掛けるのです。
退職月の翌日から二階部分も両方の年金が63歳をまたずしてもらえます。
ところで、538−480カ月=58カ月も余分に基礎部分を払い込んだことになります。これは払いすぎと呼ぶものでしょうか。
この場合、テレビで有識者がいっていたことが本当なら、申請すれば返却されるのでしょうか。
真相をお教えください。
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A180
ご質問の内容は厚生年金を44年以上加入した場合の年金の支給開始年齢と、国民年金を480カ月(40年)以上払い込んだ場合に返金されるかという問題ですね。
今年(平成17年)の8月で60歳の定年と言うことは昭和20年のお生まれですね。
昭和20年生まれの男性の年金は、
60歳
報酬比例→→→
(60歳代前 |
63歳
→→→→→→→
定額部分→→→
加給年金→→→
半の厚生年金) |
65歳
|報酬比例→→→→→→→→→→→→→→→→→
|国民年金(老齢基礎年金)→→→→→→→→→→
|(原則として奥さんが65歳になるまで支給)
|(60歳代後半及び70歳以降の厚生年金) |
となります。
このうち、本来の厚生年金は「報酬比例」です。本来の厚生年金に加えて「定額部分」と「加給年金」が厚生年金から支給されています。
昭和60年の改正(昭和61年から実施)で、国民年金や厚生年金は65歳から支給となったのですが、今まで60歳から支給だったのを、
急に65歳から支給に替えるのは少し急すぎるので、暫くの間は、60歳から65歳まで「特別支給の老齢厚生年金」が支給されることになりました。
これにより、昭和61年以降も厚生年金は実質的に60歳から支給となっていたのです。
しかし、国民年金は65歳から支給ですので、その差額分として厚生年金から「定額部分」が支給されています。つまり、厚生年金から国民年金の分も支給されているわけです。
平成6年の改正で、厚生年金から国民年金の分を支給するのを止めることになりました。
昭和16年4月2日以降生まれの方から定額部分の支給開始年齢を段階的に遅らせる様にしたのです。
男性
昭和16年4月2日〜昭和18年4月1日生まれ
昭和18年4月2日〜昭和20年4月1日生まれ
昭和20年4月2日〜昭和22年4月1日生まれ
昭和22年4月2日〜昭和24年4月1日生まれ
昭和24年4月2日以降生まれ
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定額部分の支給開始年齢
61歳より65歳まで支給
62歳より65歳まで支給
63歳より65歳まで支給
64歳より65歳まで支給
支給しない |
女性
昭和21年4月2日〜昭和23年4月1日生まれ
昭和23年4月2日〜昭和25年4月1日生まれ
昭和25年4月2日〜昭和27年4月1日生まれ
昭和27年4月2日〜昭和29年4月1日生まれ
昭和29年4月2日以降生まれ
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定額部分の支給開始年齢
61歳より65歳まで支給
62歳より65歳まで支給
63歳より65歳まで支給
64歳より65歳まで支給
支給しない |
この支給開始年齢には特例があり、船員さんや坑内員さんの経験がながい人や、中学を卒業して60歳まで働き続けた人は、
60歳以降退職すると60歳からすぐに定額 部分が支給されます。中学を卒業して60歳まで働き続けると、厚生年金の期間は44年と数カ月になります。
ご質問の
「あと2カ月働けば44年長期加入者の満額がいただける」
の部分です。この44年特例は「退職している(被保険者でなく)」が条件ですので
「1年間会社に残って働きます」
の期間は報酬比例部分だけの支給となります。もちろん、60歳代前半の在職老齢厚生年金の計算式による支給停止もかかります。
具体的には、
年金の1カ月分ー{(お給料の1カ月分+年金の1カ月分)−28万円}÷2=支給額
例えば、報酬比例の部分が120万円ですと1カ月分は10万円です。
お給料が30万円の場合は
10万円−{(30万円+10万円)−28万円}÷2
=10万円−(12万円÷2)
=4万円
お給料が20万円なら
10万円−{(20万円+10万円)−28万円}÷2
=9万円
お給料が15万円なら
10万円−{(15万円+10万円)−28万円}÷2
=10万円−(−15,000円)
=115,000円・・・・・残念ながら元々の額を超えることはありませんので、
この場合は10万円となります。
この他に雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金との併給調整があるのですが、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金が支給されると、
年金は減額されますが、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金が支給され分と併せるとプラスになりますので安心して下さい。
次に国民年金を480カ月以上払い込んだ場合の扱いですが、
厚生年金の方は、厚生年金から国民年金に基礎年金拠出金という形で国民年金の保険料を納めていますので、
厚生年金に加入している間は自動的に国民年金にも加入していることになり、国民年金の保険料を自分で支払う必要はありません。
厚生年金全体から国民年金に保険料を支払っているのに、個別でもう一度納めると二重払いになるからです。
同じように、第3号被保険者の保険料についても厚生年金全体から国民年金に保険料を支払っていますので、個別に支払う必要はありません。
テレビ等で自営業の妻は国民年金を支払って、サラリーマンの妻は国民年金を支払わないのは不公平だといわれますが、大きな間違いです。
第3号被保険者の方の分も厚生年金からちゃんと支払っています。
そこで、厚生年金から国民年金に保険料(基礎年金拠出金)支払う期間なんですが、
厚生年金加入中の20歳から60歳までの期間の分だけを支払うことになります。
同じように第3号被保険者の方の保険料も20歳から60歳までの分だけ、厚生年金から国民年金に支払われます。
従って、厚生年金に
「61歳の退職月にはなんと538ヶ月も掛けるのです。」
といっても、国民年金にも538カ月分保険料を支払われたわけではありません。保険料を支払われた期間は480カ月分ですので、
「480カ月以上国民年金を掛けた人は、その480を超える年数は払いもどされる」
にはあてはまりません。
しかし、それでは20歳未満の時の厚生年金や60歳以上の時の厚生年金が不公平と思われるでしょうが、
厚生年金全体で物事を考えると同じ保険料の方が公平性を保てます。
第3号被保険者の保険料で考えてみましょう。サラリーマンの妻の国民年金の保険料も厚生年金全体から支払われているのですが、
すると、独身の方も誰かの奥さんの保険料の一部を負担していることになります。
また、共働きでご夫婦ともに厚生年金も、どなたかの保険料を一部負担していることになります。
これは非常に不公平に思えるのですが、もしこの制度を無くして、
奥さんの国民年金の保険料は夫の厚生年金の保険料に上積みして徴収するようにしたらどうでしょう。
結婚したとたんにお給料が同じでも保険料だけ一気に上がってしまいますね。これでは、結婚してもお給料がそんなに上がらないのに、
生活費に加えて厚生年金の保険料まで上がってしまうと、生活できなくなってしまいますよね。
だから、個人に負担をお願いするのではなく、厚生年金全体で負担していこうという考え方です。
つまり、負担できる方に少しずつ負担していただこうという考え方だと思ってください。
この考え事を「応能負担」といいます。御神輿を担ぐときに力の強い人だけではなくてみんなで担ぎますよね。
丁度あんな感じで、みんなで支え合いましょうということです。
それでは、厚生年金をかけていた期間で20歳未満の期間や60歳以上の期間が総て無駄になるかというとそうではありません。
この期間については、厚生年金の報酬比例部分が増えます。また、定額部分が増える人もいます。
また、ご主人が60歳以上で奥さんが60歳未満の専業主婦の場合などは、ご主人が厚生年金に加入しているということでご主人は国民年金第2号被保険者となりますので、奥さんは引き続き国民年金の第1号被保険者でいられます。
この様に、20歳未満の期間や60歳以上厚生年金に加入している期間も、有意義な期間となります。
480カ月以上かけた人とは、例えば60歳の時に国民年金の期間が39年と8カ月ぐらいだったので、
後4カ月かけて満額にしようとして間違って1年かけてしまって488カ月になってしまったような方が対象です。
平成17円3月までは、任意加入の場合は加入期間が40年以上になっても加入することができました。また、間違って40年以上かけてしまっても返金する規定がなかっ
たので、いわゆるかけ損になってしまったのです。
平成17年4月からは、任意加入の人は40年で自動的に国民年金から外れるようになりました。また、誤って掛けすぎた方に対して返金の制度ができたということです。
(2005年4月20日回答)
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