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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2005年4月4日発行 ━
●━━ 若手国会議員メルマガ 『未来総理』 第130号 ━━━━━━●
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東京ではようやく桜の開花宣言がだせれました。例年に比べて今年は全国
的に遅れているらしく、記録的な遅咲きになる地域もあるようです。ここ数
年は3月中に桜が咲いて、入学式にというよりは卒業式に桜が満開なんてい
う光景が見られましたが、今年は桜満開の入学式を見ることができる方も多
いのではないでしょうか?
今回は達増拓也議員から「未来に向けた学校教育の方向性」、細野豪志議
員から「人口減少社会の到来」、福島みずほ議員から「希望格差社会」につ
いての原稿が届きました。
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●大特集「人間関係があなたを創る」
ミスター円・榊原英資氏や、評論家・中島梓氏、表現インストラ
クター・山田ズーニー氏らが、日本の「人間関係」の問題点や
希望を語っています。未来総理の西村康稔議員(自民党)、
鈴木康友議員(民主党)、松下新平議員(無所属)にも
「政治と人間関係」についてインタビュー。
※詳しくはこちら ⇒ 第20号のみどころ
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目次
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■「未来に向けた学校教育の方向性について」
達増拓也(衆議院議員・民主党・岩手)
■「人口減少社会の到来」
細野豪志(衆議院議員・民主党・静岡)
■「希望格差社会について」
福島みずほ(参議院議員・社民党・比例)
◎編集後記
◎次号予告
◎未来総理メンバーの紹介
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■ 「未来に向けた学校教育の方向性について」」
達増拓也(たっそたくや・衆議院議員・民主党・岩手)
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中山文部科学大臣は、「甦れ日本!」という教育改革プログラムの中で義
務教育における学力向上を訴え、「競争意識の涵養」を打ち出しています。
「競争主導の学力向上」という戦略と言えるでしょう。これに対し、私は、
「コミュニティ主導の学力向上」を主張したいと思います。
以前は、競争を通じて子どもたちが学力を伸ばし、受験を経て自分なりの
人生のレールに乗っていくしくみがそれなりに機能していました。「いい学
校に進んでいい会社に就職する」という目標が有効でした。
ところが、情報化社会・知識経済の時代になり、「人生のレール」が機能
しなくなってきました。本人の努力と関係なしに、突然会社がつぶれたり、
リストラにあったりする。また、「いい大学」を出ても就職できない。「勉
強をきちんとしていれば安心」という原則が崩れ、「勉強してもしょうがな
いのではないか」という不安、現実逃避、自暴自棄が広がっています。
今や、人生はレールというよりも、網の目状のネットワークになってきて
いると思います。縦の移動だけではなく、横移動ができるし、また、横移動
を強いられることがある。このような人生に対応する教育は、縦方向の競争
だけではダメで、横方向の感覚を身につけられるものでなければなりません。
地域のことを実地に学んだり、いろいろな仕事の現場を体験する授業を取り
入れていく必要があります。総合学習はムダではないでしょう。
学校運営に地域の大人が参加することも重要です。子どもたちが、先生や
保護者はもちろん、地域の大人たちに対しても恩を感じ、学ぶ意欲が高まる
ような学校づくりが求められます。自分のためだけではなく、自分が暮らす
地域のためにも勉強するのだ、と子どもが思えるくらいに、地域の中で大人
たちが子どもたちに愛情を注ぐのです。「学恩」の実感の中にこそ、「生き
る力」はわいてくるのではないでしょうか。
コミュニティスクールは、このような愛情と学恩を形にするしくみです。
教育改革の最重要課題は、競争主導の学力向上からコミュニティ主導の学力
向上への重心移動だと思います。
◆達増拓也ホームページ http://www.sphere.ad.jp/tasso/
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■「人口減少社会の到来」
細野豪志(ほそのごうし・衆議院議員・民主党・静岡)
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●永田町で流行るもの
このところ「人口減少への対応」をテーマとした勉強会があちこちで出来て
います。昨年までは、少子高齢化対策、子育て支援策が強調されてきたのが、
今年に入って人口減少が注目されてきたのには訳があります。
不吉なことを口にすると現実になると考える言霊信仰は、日常生活上では
問題ないのですが、こと政策面に限ると、危機的な状況を想定して政策をつ
くれないというデメリットがあります。大災害への対応や有事法制が遅れた
のも、このことが影響していると私は考えています。もちろん、少子化対策
は最優先課題の一つです。
ただし、我々、団塊ジュニアがあと数年で出産適齢期を過ぎる今、もはや
人口減少自体は避け難い問題です。政治が人口増加を大前提とした政策から
脱却できるかどうか。失敗すれば、日本社会が根底から崩壊するリスクすら
あると考えます。
●2050年の日本
まず、人口減少の影響を考える上で欠かせない、日本の人口の推移を説明し
ます。戦中・戦後の人口は、1億玉砕、総懺悔などという表現が使われまし
たので、誤解されている方も多いのですが、1億という数字は当時の植民地
を含んだ数字でして、実際には7000万人でした。その後、50年間でお
よそ1億2000万人になりましたので、毎年100万人という爆発的な人口
増加を経験したことになります。
日本の人口は来年、2006年をピークに減少します。減少のスピードは
毎年60万人。100万人づつ増えていた人口が60万人づつ減少する訳で
すから、いかに大きな変化が訪れるか、理解していただけるかと思います。
急激な人口減少を迎える中で、お年寄りの数は増え続けます。現在、5人に
1人となっている65歳以上のお年寄りの割合は、3人に1人になります。
一方で、働き盛りの人口(統計上、15歳から64歳まで生産年齢人口を
指します)は2050年には6割まで減少します。超高齢化社会の出現、そ
して労働力人口の減少。これが2050年の姿です。
●立ちはだかる課題
人口減少は経済の構造を大きく変えます。何より避け難いのは、経済規模
(GDP)の縮小です。労働力人口が進む中で、生産性を飛躍的に高めない
限り、マイナス成長は避けられません。税収の減少も覚悟しなければなりま
せん。ある学者の試算によると、2020年には新規の公共事業がストップ
します。予算の規模が、公共インフラの更新費で手いっぱいになるからです。
ここまで悲観的に見ないまでも、人口が減少するのですから、道路や橋、
箱モノなど社会資本が余る時代が来ます。今までは、建設国債を発行して、
子孫のために公共事業を行なってきました。しかし、社会資本が余る時代が
来ることを考えると、新規の公共事業には慎重であるべきでしょう。
●人口減少への対応策/その壱
最も無難な対応策は女性・高齢者の労働力率の向上です。働き盛りの人口
が減少する以上、「24時間働ける男たち」だけによる経済成長はもはや望
めません。現実はすでに進行しています。女性・高齢者が働きやすいパート、
アルバイト、派遣労働者の数はすでに1118万人。
問題は、賃金、休暇などの面で、正社員と差別的な待遇が残っていること
です。民主党が提出している労働者の均等待遇推進法は、対応策として欠か
せません。また、男女を問わず、育児休暇、介護休暇、長期休暇を取れる法
制度の整備も必要です。
●人口減少への対応策/その弐
上記の政策を着実に実現したとしても、生産年齢人口の4割減少を女性と
高齢者だけで補うというのは非現実的です。足りない労働力を補う方法とし
ては、外国人の受け入れも有力な選択肢です。外国人というと治安の悪化を
心配する人が多いのですが、それは今の外国人政策が失敗に終っていること
の表れだと考えます。
現在、合法的に働いている外国人の数は、就労が認められている日系人、
専門職など合計18万人弱いるのですが、実際には、これに含まれない外国
人が多数働いています。劣悪な環境で単純労働に従事している外国人研修生
が4万人。支払われている給与はわずかに数万円。日本嫌いになって帰る研
修性が少なくありません。更には、不法残留で様々な「仕事」に従事してい
る外国人が、なんと22万人。現実は最悪の方向に向かっていると言っても
過言ではありません。
日本は、合法的に日本社会に貢献してくれる外国人を積極的に受け入れる
べきです。すでにフィリピンからの看護士、介護士の受け入れが決まってい
ますが、いかにして国と職種を絞るかが重要なポイントです。受け入れを積
極化する一方で、入国審査は厳密にしなければなりません。
●人口減少への対応策/その参
人口減少時代には、労働力の質の向上が必要です。深刻なのは、若年層で
ニート、ひきこもりが急増していることです。フリーターを含めると、20
代、30代前半の約30%が、生産性の向上に貢献していません。今の日本
社会において、最優先課題は間違いなく教育です。家庭の教育、学校教育、
そして教育を支えるコミュニティの再生。時間はかかってもここを立て直さ
ない限り、日本の明日はありません。
◆細野豪志ホームページ http://www.goshi.org/index2.htm
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■「希望格差社会について」
福島みずほ(ふくしまみずほ・参議院議員・社民党・比例)
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今の日本の最大の問題の1つは、「希望格差社会」になっていることと女
性の活用に失敗していることです。逆に言うと、何をなすべきかということ
で言えば、希望格差社会をなくすことと女性の活用をすることです。「希望
格差社会」ということについては、もうあまり言う必要はないかもしれませ
ん。
今、過去のなかで統計をとりはじめて、どの時代よりも個人の年収格差が
拡大しています。年収が200万台という人が増加しています。この「2極分化」
がいいのかという問題があります。参議院の予算委員会で、このことを何度
も角度を変えて質問しました。
あるシンクタンクの研究によれば、フリーターの人たちの生涯獲得賃金は、
正社員の4分の1であり、5200万円です。「マンションも買えないではないか」
と質問すると、「がんばって働いてマンションくらい買え」という野次がと
びました。子どもを1人産み育てるのに平均して2400万円かかります。生涯獲
得賃金が5200万円で、子どもを産み育てようとなるでしょうか。若くてフリ
ーター同志であれば、結婚するのもためらうというのが現実です。
国会の大きな関心ごとの1つは、「少子化」です。しかし、私からすれば、
「少子化」にならざるを得ない現実をつくっているのが、政治だという感じ
です。労働法制はどんどん規制緩和されてきました。製造業も含めて派遣が
可能になり、病院の現場にも派遣の人が働くようになりました。そして、同
じような仕事をしながら労働条件が極めて悪いのです。賃金の格差も大きく
あります。個人の努力で何とかなるというのではありません。諸外国のよう
に、均等待遇の法律が必要です。
そのことも予算委員会で質問をしました。待遇については、労使合意でや
るべきだという意見もあるけれど、パートの人たちの組織率はわずか3パー
セントでしかありません。
ところで、予算委員会で、「正社員になればいい」という野次がとびまし
た。ひどい話です。正社員になんかなれないのです。だからこそ厚生労働省
が責任を持って均等待遇を実現しなければ、誰が救うのでしょうか。
「2極分化」の社会は不安定な社会です。様々な保険料を支払うことがで
きなければ、そして、現実にそうなっていますが、年金の空洞化、国民皆保
険の空洞化が起きていっています。また、外国から人をいれるなんて議論を
する前に、もっと女性の活用をすべきです。多くの人に税金を払ってもらい、
保険料も払ってもらい、この社会を支えてもらい、また、多くの男性たちの
長時間労働も変えていくことが必要です。一人ひとりの人たち、一人でも多
くの人に元気になってもらう政策や施策を模索中です。
ところで、4月27日に「希望格差社会をめぐって」ということで、このタ
イトルの本の著者である山田昌弘さんに話をしてもらいます。主催は、非正
規雇用フォーラムです。関心がある方は、私のホームページを見て下さい。
◆福島みずほホームページ http://www.mizuhoto.org/
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編集後記 吉永歩 (ロゼッタストーン)
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今回3人の議員から寄せられた原稿は、学校教育や少子化、労働人口の減
少、雇用・賃金格差など、これからの世代にダイレクトにぶち当たるもので
した。達増議員の言葉にもありましたが、人生のレールが一直線ではなくな
った今は、いろいろな可能性が生まれてきたと同時に、しっかりと自分で舵
をとらないと生きていくのが難しくなってきたように思えます。
どんな人生が理想なのか。「高学歴で高収入、子どもは3人。通勤時間が
1時間以内で、3LDKの庭付き一戸建て」なんて標語のように言う時代で
あれば、迷うことは少なかったかもしれません。
人間に限らず、生物はダイナミックに動く自然環境の変化に、何千年、何
万年、何百万年という時間をかけて、なんとか適応してきました。しかし、
近年のテクノロジーの進歩に伴う社会環境の変化、複雑化は、自然環境以上
の速さで進んでいるのではないでしょうか?
もしかしたら、私たち人間の本質はそれほど変わっていないのに、否応な
しにやってくる社会環境の変化は、許容量を超えているのかもしれません。
今は、経験したことのない変化の早さに、社会全体が必死に適応しようと模
索している時なのでしょう。
この「未来総理」も、議員の方の意見だけではなく読者の皆様の声も合わ
せて、よりよいものに進化してくれればと思います。
「未来総理」へのご意見、ご質問は souri@rosetta.jp までお気軽にどうぞ。
※掲載を希望されない方、実名をご紹介してもかまわない方は、ひと
ことお書き添えいただけると助かります。また、ご意見を紹介して
もよい場合は、年齢、職業なども書いておいていただくと、参考に
なります。ご協力、よろしくお願いいたします。
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次号予告
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次回の配信は、4月11日です。
上田勇議員(公明党) 小池晃議員(共産党) 樽床伸二議員(民主党)
が登場する予定です。
※登場する議員は、変更する場合もあります。ご了承ください。
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未来総理メンバーの紹介
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「未来総理」には、超党派の28名が参加しています。 (敬称略)
◇衆議院
石破 茂(自民党・鳥取) 上田 勇(公明党・神奈川)
大村秀章(自民党・愛知) 吉良州司(民主党・大分)
楠田大蔵(民主党・比例九州) 近藤昭一(民主党・愛知)
近藤洋介(民主党・比例東北) 鈴木康友(民主党・比例東海)
達増拓也(民主党・岩手) 樽井良和(民主党・比例近畿)
樽床伸二(民主党・大阪) 手塚仁雄(民主党・東京)
中塚一宏(民主党・神奈川) 中根康浩(民主党・比例東海)
長島昭久(民主党・東京) 西村康稔(自民党・兵庫)
福島 豊(公明党・大阪) 三日月大造(民主党・滋賀)
細野豪志(民主党・静岡) 丸谷佳織(公明党・比例北海道)
山井和則(民主党・京都)
◇参議院
荒木清寛(公明党・比例) 有村治子(自民党・比例)
小池 晃(共産党・比例) 桜井 充(民主党・宮城)
福島みずほ(社民党・比例) 藤末健三(民主党・比例)
松下新平(無所属・宮崎)
詳しいプロフィールを知りたい方、顔写真を見たい方は、
ロゼッタストーンWEBページで公開しています。⇒ 未来総理プロフィール
各議員のホームページにもリンクしています。
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発行人:弘中百合子 編集人:吉永歩
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