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第7回 心の中の星


2月12日 晴れ

photo 「今年はどんな年になるのだろう!?」期待に胸を膨らませていた私が最初に出会ったのは、愛犬(マルチーズ)ベガの死という悲しい出来事でした。今日2月12日で14歳を向かえるところでした。犬の13歳と言えば、決して早い「死」ではないかもしれません。でも私には突然すぎて、冷静に受け止めることができませんでした。

彼女は1993年2月12日に生まれました。そして私の元にやって来たのは4月6日。まだよちよち歩きで、すぐじゅうたんの上で丸まってしまう彼女は、ぬいぐるみのように可愛かったです。季節が4月だったせいもあり、当初「さくら」という名前のしようと思ったのですが、友人達から「そんなのありふれていてつまらないよ〜」と反対され、なんだか口車に乗せられて、その月の11日に開催される「桜花賞」のレースで勝った馬の名前を付けることになってしまいました。

そのことをOKした後、よくよく出走場を見てみたら「ヤマヒサローレル」、「ショウザンダイヤ」、「ホクテンホウ」・・・など、とうてい彼女には似つかわしくなさそうな名前がゾロゾロ。だいたいみんな長すぎます。そんな中で、私の目に留まったのは「ベガ」という名前。これだったら可愛いし、呼びやすいです。そんな訳で、レース当日は声をからしながら「ベガ」を応援しました。私の祈りが天に通じたのか、結果はみごと「ベガ」が優勝。その日から、彼女の名前は「ベガ」になりました。

photo 室内で犬を飼ったことがなかった私は、彼女にはいろいろと驚かされました。まず、仰向けで寝ること。最初にその様子を見たときは、死んだのかと思って絶句しました。彼女には「警戒」という本能は全くないようでした。その後、歯の生え変わりの時期には、柱をかじられたり、サンダルのヒモを噛み切られたり、ぬいぐるみをボロボロにされたり・・・当時は帰って家の扉を開ける度に、寿命が縮まる思いでした。

そんな彼女も3歳ぐらいになると随分落ち着いて、友達の間では「良い子」で通るようになりました。

それから3年後、仕事が急激に忙しくなりほとんど家にいる時間がなくなった私は、あまりにも彼女が不憫になり、実家に預けることにしました。みんなに慣れてくれるか心配でしたが、ちょっと淋しいことに、1〜2ヶ月もするとすっかり実家にも慣れ、立派な家族の一員になっていました。それでも私のことはちゃんと覚えていてくれて、私が帰るとシッポをちぎれそうなぐらい振り、笑顔で迎えてくれました。

その後実家で7年間過ごし、彼女は逝ってしまいました。私は彼女の最期に間に合いませんでしたが、彼女を可愛がってくれた、父、母、妹、妹の家族みんなに見守られながら逝ったそうです。

photo 彼女の話に触れると、今も涙が止まりません。「何事も前向きにとらえる」、「自分の気持ちを冷静に整理する」なんて普段心がけていることも、まったく無意味です。でも分かっていることは、「死」を否定的に受け止めては、今後、命あるものと心から触れ合えないということ。そして今、彼女と出会ったことを後悔しないために、「死」を否定的に受け止めてはいけないということ。

彼女の「ベガ」という名前はよく、「織姫星ね。ロマンティック!」と言われ、その度に「いえ、馬の名前で・・・」と答えてきましたが、今、彼女は本当にお星様になってしまいました・・・。

2007.2.14 掲載

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