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いわき病院事件(高松高等裁判所判決)


平成28年3月7日
矢野啓司・矢野千恵


2月26日(金)、予定日より4週間延期され、高松高等裁判所でいわき病院事件の判決が言い渡されました。結果は敗訴でした。残念です。

【※編集部注】判決文のPDFの9ページ7~8行目に、「同日本件殺人事件の犯行後に純一と面会し直接たばこを手渡した控訴人矢野千恵も現認しておらず…」とありますが、これは当然ながら、被害者の母親、「矢野千恵」ではなく、加害者の野津の母親の間違いです。(矢野千恵氏本人にも確認済みです)
殺された被害者の母親が、加害者にたばこを渡すはずがありません。裁判官3人がチェックした高等裁判所の判決文に、こんな初歩的な間違いがあるなんて驚きです。


裁判は本来1月29日判決の予定でしたが、2週間前になって急きょ2月26日に延期されました。ご主人の啓司さんは、2月9日に脳出血を起こし、現在闘病中です。奥様の千恵さんは、「大事な子どもを失うことが親にとってどれだけ大きなストレスかを表しています。4週間も延期され待たされた挙げ句の判決がこのようなずさんなものであることは目を覆うばかりです。この待たされた4週間の間に矢野啓司に発作が 起こったことは関連があります。無念です」とおっしゃっています。
千恵さんは、いまお一人で上告の手続きを進めていらっしゃいます。ご夫婦の戦いはまだまだ続きます。啓司さんの一刻も早いご快復をお祈りしております。

「地裁判決より酷く、悪意さえ感じる判決文だ」という記者もいるくらいひどいものです。デイビースら、原告側の鑑定意見書はまとめてばっさり切り捨てられました。

私たちは際限のない綿密な診察期間や外出制限を求めてはおりません。
  治療の主剤2つを同時に突然中断したのですから、中断による離脱性アカシジアが出る6週間は要観察時期であり、同時に原疾患(統合失調症と強迫性障害)の再発再燃が考えられる時期に相当します。主治医は1週目に問題なかったから、2週目も問題ないとして診察要請を拒否しました。判決は「後で診察するとした」と主治医を擁護しましたが、後付の「嘘っぱち」です。

パキシル離脱症状がノーマルン10mgでは代替できないことは被控訴人鑑定人すら認めています。頓服の中に抗精神病薬が含まれていても抗精神病薬の有効血中濃度を保持できません。判決は精神医学的常識を逸脱しています。

イライラの証、根性焼は瘡蓋のあるのと赤いのと複数ありました。警察写真が証拠です。
  事件の日の午前10時以降に根性焼をしたと考えられる(だから問題ない)という判決は瘡蓋の根性焼(警察証拠)を無視した不合理な判決です。

純一の過去の異常行動を判決は軽視しました。重大な傷害事件でなかったから問題ないとは・・精神医学の否定です。統合失調症の根本症状である思考の歪曲、感情の歪曲、異常行動出現を考慮していません。

本件事件は、精神障害者に人権がないところに発端があります。
  20年以上の病歴を持つ患者の承諾無しに治療主剤の抗精神病薬とSSRI抗うつ薬パキシルを突然中断されて診てもらえないとは、悲しいことです。治療放棄です。

精神障害者の開放治療は主治医にも当然一定の責任を求めるものです。
  未治療、治療中断の精神障害者を市中に漫然と放り出しほったらかしにして事件が起きても、主治医に責任は問えないのでしょうか? 私は無辜の市民の生命、人権がないがしろにされていると感じます。今回の高裁判決は、開放化のためには市民の一人や二人は犠牲になりなさいという判決に他なりません。

私どもは、たとえ最高裁でも敗訴であろうと、日本の精神医学界のずさんさ、酷さ、日本の司法のいい加減さを改善しようと考えています。

今後とも皆様のご協力をお願いいたします。


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