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第46回 「スカートめくり冤罪事件」


僕の尊敬する高塚猛さんが、ダイエー絡みの会社から辞めさせられ、ご自分が社長だったダイヤモンド社の社長も自ら辞任されました。
 その理由が、セクハラであるとか、いろんな事が言われていまして、事実はまだわかっていないのですが、なんだか陰謀めいたものを感じています。

 「出る杭は打たれる」「過ぎたるは及ばざるがごとし」という日本人ならではのことわざがありますが、ダイエー福岡三事業の再建に力を入れるがあまりに、ちょっとはみ出した部分があって、功績は功績でいただいといて、目の上のたんこぶになってきた高塚さんを、はみ出しだけを強調して追放した、という空気が漂います。


クラスの人気者が、突然「最低最悪の性犯罪者」に

illustration 僕が小学校生の時、「学級会」というのがありました。
 低学年の頃、学校で「スカートめくり」という遊びが流行りました。小学生ですから、学校では女の子は体操服で過ごしていましたから、スカートをめくったところで特にえっちなことはないんで、僕も含めて男の子はみんなご挨拶替わりにスカートめくりをしていました。

 ところが、とある日の学級会で「加藤君がスカートめくりをします。やめてほしいと思います」と言い出した女子がいました。
 先生が「加藤君にめくられた人」と言うと、クラス中の女子が次々と手を挙げました。
 そもそもスカートめくりをしていたのは僕だけではないのに、僕一人が立たせられ、吊し上げられました。それだけでもショックを受けていたのに……なんとっ!!なおかつ!!

 だいたい、あーゆーことをするのは、女の子の気を引きたいからやっているわけで、気を引きたくない女の子にはするわけがないのですが、なんとそういう「気を引きたくない女の子」までもが手を挙げていたのです!!!!

 「おまえのスカートなんか、めくるわけねぇだろーーっ?!」なんて言えるわけもなく、クラス中の男子の「かわいそうに……」という視線と、「このヘンタイ!!」という女子たちの視線が僕を突き刺しました。
 普段はクラスの人気者だったかとうくんは、物的証拠もなく、「被害者」からの一方的な、その場の勢いによるヒステリックな証言だけで、もう、「最低最悪の性犯罪者」として、裁かれてしまったのです。

 「誰かが言い出すと、みんなが言い出す、しかも実際にはなかったことまで」というのが、この事件の教訓でした。

 が。なんと、小学生だけではなくて、オトナの社会でもそういうことがあたりまえのように起きている、ということがだんだんわかってきました。


新聞やテレビが伝える「事実」がすべて正しいわけではない

 小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』を読んでいると、小林さんはそういう「言ったもん勝ち」によって事実が歪められたのではないかと疑われることに対して、 ひとつひとつ彼なりに検証して問題提起をしていて、たいへん面白いのです。 もちろん、小林さんの調査が全部正しいのかどうかを僕自身が検証しているわけではないのでまるごと信用していいのかどうかはわかりませんが、 少なくとも今まで僕があたりまえだと思っていたことに一つ一つ反証を持ってきて別な結論を出してくるので、すげぇ、と思うわけです。
 実際、彼のまんがによって、オウムも追いつめられ、薬害エイズ訴訟でも厚生省(当時)は謝罪しました。

 つまり、新聞やテレビのニュースで報告されている「事実のように見えること」が全て正しいわけではないのだ、ということです。
 一つ一つ、「ほんとぉ?!」と疑い、自分でできるだけ周囲のできるだけ一次情報を仕入れてみる努力をしなければ、安心して信用できないのです。

 松本サリン事件の時、河野義行さんは、報道ではあきらかに犯人でした。しかし、実際は違いました。
 そういうことが、あたりまえに起きているのです。

 僕がこんなにも曲がったことが嫌いで、疑われそうなことを一切しない、「李下に冠を正さず」が座右の銘の人になってしまったのは、 明らかにあの「スカートめくり冤罪事件」がトラウマになっている気がします。

 高塚さんのニュース関連で、とてつもない救いがありました。王貞治監督のコメントです。
 「ダイエーホークスの野球に対する受動的なものを能動的なものにして刺激を与えてくれた。この5年間、パ6球団の中で最高の成績を残したチームを、 現場、フロントが一体となってバックアップしてくれた。今、こういう形でオーナー代行を辞められるのは、非常に残念だったのではと思う」。

 「なんだよ、ただのセクハラオヤジだったのかよ」などと、彼のことを知らずに今表に出ている情報だけで切り捨てて判断してしまう前に、まず、 彼が社長に就任する前に週刊ダイヤモンドで連載されていたものをまとめた「会社再建―福岡を燃えさせた男高塚猛の軌跡」(ダイヤモンド社  湯谷 昇羊 著) を読んでみてください。これ は、いたって客観的に、緻密な取材とインタビューで構成された、一次情報満載の最高におもしろいドキュメンタリーです。 会社経営をしている人だけじゃなくて、接客業に携わる人は必読の書です。
 それを読めば、今回の騒動の一端が見えてくる部分もあると思います。

 負けるな、高塚さんっ!!
 お暇でしたら、ウチの会社の社長をやってくださいませんかっ?!(←給料は二ケタくらい減るでしょうが……)。

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