ちょうどこの原稿を書き始めようとしていた5月8日(土)の日経夕刊に、興味深い記事が出ていました。 「年齢層別に人口百万人あたりの殺人検挙者の割合を試算した早稲田大学政経学部の長谷川真理子教授(行動生態学)によると、 20代前半の男性の数値は過去半世紀、ほぼ一貫して減少。2000年は21.8人で、40代(23.8人)、50代(25.5人)の方が高かった。 長谷川教授はこう語る。『平等に豊かさが享受できる社会が実現、犯罪というリスクのある行動をとらなくなってきた。 今はむしろ、おじさん世代の方が危ないかもしれません』」 以下のページにも、おもしろいことが書いてありましたので、ご参照ください。 http://www.tv-asahi.co.jp/n-station/cmnt/shimizu/2000/1012num10.html まぁ、やっぱりなぁ、という感じです。 電車の中で平気で携帯電話を鳴らすのも、平気でしゃべるのも、圧倒的に若い人よりもおじさんたち。 しかも、僕らよりもちょっと上の、携帯電話のマナーモードの使い方を知らないんじゃないか、というくらいの仕事人間系の方々です。 で、今日の話は、車移動をするようになって一ケ月の感想です。 しかも、ちょうどゴールデンウィークが終わったところ。いやはや、怖かったですよー!! では、順を追ってお話します。 10年前までの10数年間、僕はほぼ毎日車で自宅と都心を行き来していました。そしてこのたび、再び毎日通うようになったわけです。 タクシーの運転手さんもよくおっしゃっていましたが、車の多い平日よりむしろ、土日の方が運転に気を遣う、ということでした。 つまり、いわゆる「サンデードライバー」の一般車が出てくる土日は怖い、とプロドライバーでさえ心配しているのです。 もちろん、プロドライバーの中にも無法者や乱暴者もいますが、それはごく一部の人たちで、 平日の都内の道路は独特のルールに基づいてスピーディーに譲り合う、非常に心地よい交通の流れが成立しています。 しかし、土日、今回なんかはなにしろゴールデンウィーク。 「ハンドルを握ると人間が変わるんですよ」なんて、自慢話のように言う人がいますが、そんな人はそもそも車の運転に対して適性がないので、 一刻も早く免許を返してしまっていただきたいです。 で、どこがそんなに怖いのか、ということです。 休日ドライバーはここが怖い! まず第一に、自分勝手な運転をする人。 実話ですが、高速の出口を間違えたらしく、バックして戻ってこようとしている車。何度も見ています。 一般道路の交差点で、右折車線にいた車が、突然3車線横切って左折。右と左を間違えたのでしょう。 高速道路で、入り口から入ってきた車を入れようとしなかったために、割り込みのような状態になってしまった車に執拗にクラクションを鳴らし、 パッシングしながら車間距離を異様に詰めて追いかけていく車。 無用に車線変更を繰り返し、なんとか前に出ようとして、 しかし車の流れがゆっくりなので前に出られないとわかると右側の車線の車の後ろにピッタリくっついて、執拗にあおる車。 右折しようとして待っている時、信号の変わり際に黄色でスピードをゆるめずに突進して来る車。 夜中の高速道路もすごいです。もちろん、平日でもとばす車はとばしているのですけど、だいたいが高級車か改造車。 ですが、土日はなんでもかんでもとばしているのです。足回りを固めていない、ノーマルな乗用車やワゴン車が、150は出ているだろう、 というスピードでガンガン僕を抜いていきます。あんなの、ちょっとハンドルをとられたらすぐに吹っ飛んじゃうんですけどね(←吹っ飛んだ経験有り)。 あと、オービス(速度取り締まり機)。平日は、みんなそこにオービスがあるのがわかっていますから、 その近辺ではみんなの流れが自然にスローダウンするのですが、土日はすっとばしていた車が、常設のオービスのところで急ブレーキを踏んでいるんです。 めっちゃ危ないです。 ……と、これらはもう、土日特有の光景です。 きっと、久しぶりのお休みで車が運転できることがうれしくてしょうがなくて、周りのことなんてどうでもよくなってしまっているのではないか、 とさえ思います。 次に、車を「殺人の可能性のある刃物」と自覚していない人。 スピードを出し過ぎる人や、信号を無視する人たちもある意味この部類に入るとは思うのですが、もっと怖いケースもあります。 タクシーで通っていた頃、後部座席左側に乗っていた僕は、信号待ちでふと左側に目をやりました。 そこには、マンションの駐車場があって、大きめの四輪駆動車がゆっくりとこっちに向かってバックしてきました。 まさか、と思ったのですけど、そのバックの仕方が「おぼつかない」っていう感じだったのでじーっと見ていたら、 そのままゆっくりと、どんどん近づいてきました。まぁ、ギリギリのところまで下げて待つか、切り返しをして何かをするのかと思っていたら、 そのまま声を出す余裕もなく、ドンッ!! と僕が乗っていたタクシーの横っ腹につっこんできたのです!! 運転手さんも、当然まさかと思っていたのでしょう、「はっ?!」と声を出して横を見ました。 すると、なんとその車の運転手さんは中年の女性で、窓から顔を出してこっちをちらりと見た後、ギアを入れ替えて前進させ、 何もなかったかのように駐車場の反対側から出て行こうとしたのです!! 当然、タクシーの運転手さんは車を飛び降りて「こらぁっ!! 」と追いかけていき、その車を停め、 僕は運転手さんが呼んでくれた別な車で目的地に向かうことができました。 このケースの場合、ぶつけてしまって気が動転していたのかもしれませんが、逃げようとした、という行為に怒りを覚えましたね。 出刃包丁で料理をしていたら、近くにいた人に刃の先端が刺さっちゃったら、「わ、大丈夫?ごめんなさい!」という言葉がまず出ますよね。 「あ、しまった」と逃げる人はそうそういないでしょう? 3人の命の重さと、2000人の命の重さ ちなみに僕自身も、30歳になる前あたりに大変なことをしています。 走り慣れた環七、乗り慣れた日産バネット(ワンボックスの荷物用ワゴン車)で、明け方に1人で運転していたら、突然気を失ったのです。 正確に言えば、眠ってしまったのです。そして、次に気が付いたときには横転して、運転席側が下、つまり僕のすぐ右側が道路で、 進行方向と逆向きになってガラスをかぶっていたのです。ふと横を見ると、助手席がなくなって、空が見えていました。 つまり、助手席の前あたりから、立体交差の側道と上の道の間の境のコンクリートに突っ込んで、そのまま横転して一回転して止まっていたのです。 このままでは次に来た車にまきこまれるかもしれない、と思い、立ち上がって車の外に出たら、すぐにパトカーがやってきました。 誰かが、通報してくれたのでしょう。 警察官の方々からもかわるがわる「もうちょっと車が多い時間帯だったら、あんた、ダンプに突っ込まれて死んでたよ」 「30cm当たり所がずれていたら、確実に死んでたよ」「助手席に人を乗せてたら、殺してたよ」と、説教される、というよりも、 あまりにも奇跡的な状況で生還した僕に、どんなに運が良かっただけなのか、を説明していただきました。 実際、その事故がきっかけで、僕には車の運転は向いていないのだ、と自覚して、免許を更新しないで返してしまう、ということにしたわけですが。 で。 今、世の中では、政治家が年金を払ってなかった、ということが大問題になって新聞の一面を飾っています。 その前は、イラクで民間人が人質になった、ということで大騒ぎ。その前は、イラクに自衛隊を送るかどうかで大騒ぎ。 回転扉にこどもがはさまれて亡くなった、公園の遊具で指を切られて大けがをした、というニュースもかなり大々的に採り上げられていました。 そして、それらのことの解決のために、ものすごいお金と時間が使われています。 が。 今年2004年に入って4月までで、全国で交通事故で亡くなった方が2000人以上もいらっしゃる、というニュースをご存じでしたか? 3人の日本人がイラクで拉致されて殺されるかもしれない、人の1人の命は地球よりも大事だ、だから今すぐ自衛隊を呼び戻せ、 という運動が始まったのとほぼ同時期に、このニュースが流れたのです。 僕は、もちろん戦争には反対ですが、単純な違和感を覚えました。 3人の命のために日本中が大騒ぎしているのに、2000人の命については誰も騒ぎもせず、それどころか今年は去年より交通事故死者が減っている、 なんていうおまけの情報までついていて、そのニュースはその日でおしまい。 こんなの、ダメなんじゃないですか? まず、足下を見て、日本人が日本人をそこいらじゅうで毎日毎日殺しまくっているこの現状を、 まず防衛費と同じぐらいのお金をどかんと使って改めるべきなのではないのでしょうか? これを実行すれば、交通事故はゼロになる! そこで、交通事故を限りなくゼロにするための方策を考えてみました。 (1)スピード・リミッター・システムの開発 細い道から各幹線道路や高速道路の入り口、その逆に広い道から狭い道への入り口に、全てスピード・リミッター発信器をつけます。 もちろん、国内を走る緊急車輌以外の全ての車には、スピード・リミッターの装備を義務づけます。つまり、60キロ制限の道では、 どんな車でもそれ以上のスピードが出せないようにします。 それと同時に、絶対歩行者をまきこみそうにない高速道路を、ノンリミット道路(ドイツのアウトバーンのような)にして、 自己責任で走らせるようにします。 (2)シグナル・リミッター・システムの開発 信号機からも電波を出し、黄色の時点でそこから決まった距離にいる車に停止信号を発信し、赤の時には車を動けなくします。 (3)呼気センサー・キーの導入 酒酔い運転をさせないために、エンジンを始動させる際に必ず息を吹きかけてアルコールを検知されないことを確認するシステムの全車導入を義務づけます。 (4)意識センサーの導入 居眠り運転をさせないために、運転者の意識レベルと動体視力、判断能力を常に監視するシステムを導入。 少しでも意識が弱まると警報が鳴り、状態が改善されていないと強制的にハザードランプがついて車を路側に寄せてしまいます。 (5)標識センサーの導入 一時停止、指定方向外進行禁止、一方通行、など、見落としやすい標識には発信器をつけて、ある程度手前になったら音声とディスプレイで知らせ、 違反しそうになったらリミッターで速度をゼロにする。 ……先日、「右折禁止違反」で切符を切られたのですが、 10年前に運転していたときには曲がれた交差点だったので何も考えずに曲がってしまったのでした。 もちろん、標識を見落とした僕が悪いのですけど、曲がったところで捕まえる、 という警察のやり方ではいつまで経っても違反はなくならないと思うのです。つまり、大事なのはやらせないことなのであって、 やったヤツをこらしめる、という発想では、もうダメだと思うのですね。 ちなみに、キャラメルボックス公演では1ツアーで4万人近くを動員しますが、上演中に携帯電話が鳴ってしまうという事件は1〜2回あればいい方です。 つまり、「やる前にやらせない」ために努力を徹底すればできるのだ、という「成功例」が、ちゃんとここにあるのです。 (6)自動車の取得&所持条件を厳しくする 「暴力団」や「暴走族」なんてものをそもそも存在させていること自体が、世の中の不思議です。 新宿歌舞伎町の治安が悪くなったのは某暴力団の勢力が某東洋系マフィアにおされるようになってきたからだ、 なんてことを堂々と警察の人がしゃべっている姿を目にすると、「おいおい、ここは戦後のどさくさのままかよ」と突っ込みたくなります。 車の取得条件を、まず、銃並みとは言いませんが、必要の度合いなどに応じて審査するべきです。 「好きだから」っていうのも、ありだと思います。その場合は、好きさ加減を書類審査で徹底的に調べるのです。 要するに、日本のガンマニアが、 モデルガンを愛でるだけで満足できている人と射撃や狩猟にまで行ってしまう人にちゃんと分かれていることからもわかるとおり、 「車はおもちゃじゃない」ということをちゃんと全国民にわからせる必要があるのです。 いかがでしたでしょうか、交通事故ゼロ対策。 きっと、現在の日本の技術力をもってすれば、5年で可能になりそうなことばかりです。 ならなかったとすれば、日本の政治をやっている人たちと車や道路を作っている人たちの間になんらかの癒着がある、ということです。 「交通事故死が減りました」ではなくて、「●ヶ月ぶりの、交通事故死者が出ました」と、 連日ワイドショーが採り上げてしまうような時代にしなければならないのではありませんか? 他に、ナイスな「交通事故ゼロ対策」を思いつかれた方は、是非メールをくださいませっ!! 僕が総理大臣になった暁には、 採用させていただきます!! (←まず前提が間違ってます!! )