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第165回 ランディー・シュミットさんエミー賞受賞

映画ならアカデミー賞、演劇界ならトニー賞、アメリカ・テレビの放送界にはエミー賞がある。長年プレス・クラブ会員でCBS東京支局のカメラマン、兼編集者、兼プロデューサーのランディー・シュミットさんが「CBSモーニング」のカメラ及び編集作業で、第43回/2022年ニュース及びドキュメンタリー部門「優れたライブ・ニュース・プログラム」賞を受賞した。

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ランディー・シュミットと筆者(イルガン・ヨルマーズ撮影)

3月17日18時半から始まったお祝いのパーティーでは、ヴィデオで彼の作品やスナップが流された。シャンパンとアペタイザーでテーブルが盛り上がり、夜が更けるにつれて友人、同僚、エトセトラの数が増え、バーはコロナ禍を吹き飛ばす繁盛ぶりとなった。


映画とテレビの経歴

ランディー・シュミットさん(以下ランディー)は1962年、モーター・サイクル(日本でいう白バイ)警官の息子としてサンフランシスコで生まれ、5歳のころ家族で80キロ先のサラトガに引っ越す。当時はアプリコット果実園の連なる穏やかな田園地帯だったが、今やアップル・コンピューター本部に働くシリコン・バレーの高級住宅地となっている。

1984年、カルフォルニア大学映画・テレビ学科を卒業後、20世紀フォックス入社。「ダイ・ハード」などアクション映画のプロデューサーになったが、台本のチェックなどデスク・ワークに退屈して退社。その後は日本のフジテレビ・ニュースでフリーランス。保険金詐欺容疑で有名な三浦和義事件など、日本向けの取材を続け、その縁で1986~87年に日本を訪問。

1996年、ハリウッドでの仕事がうまくいかないこともあって日本に移住したいという気持ちが高まり、33歳のとき3カ月の観光ヴィザで日本に移り住む。当時は欧米人の仕事と言えば英語教師か校正者の仕事しかなく苦労したそうだが、フリーランスでCNBCのカメラマン、CNN東京支局のカメラマン兼編集者として活躍。2006年マドンナとのインタビューを撮影するため、CBS東京支局に雇われる。在日米国テレビ各社は人数を削減し始めたので、何役も兼業でこなせるプロだけが生き残ったという。


東京を拠点に広い守備範囲

ランディーがかかわるコンテンツは、現在「CBS イブニング・ニュース」「CBS ジス・モーニング」「60ミニッツ」「CBS サンデー・モーニング」に提供され、拠点は東京だが、守備範囲は中国、香港、北朝鮮、インド、タイ、ヴェトナム、ブータン、インドネシア、ネパール、ラオス、カンボジア、台湾などにわたっている。アメリカ大統領のアジア歴訪から経済、政治、コロナ禍、事件、事故の数々。オリンピックだけでも1998長野、2008北京、2020東京、2022北京までの四回。

数多くの関わりでも、2011年の東日本大震災の津波や火災事故、原発事故の取材は未だに胸が痛むという。一方、明るい話題では、温泉に入るニホンザル、盆栽、ロボット、自動販売機の利用などがあるという(アメリカでは消費者の取り扱いが雑ですぐ故障するため、あまり普及していない)。

一年の半分以上は取材機材を抱えての海外出張という生活は、プロとしても家庭人としても厳しいが、近年テレビカメラなどの軽量化やスマホなど通信機器の発達により、家族間のコミュニケーションは改善されたという。息子のディラン君との共作アニメ映画の受賞を大いに誇りにしている。

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ランディー・シュミットとお祝いに集まったプレス・クラブの仲間たち
携帯を構えているのはイルガン・ヨルマーズ(トルコ特派員)
(デイヴ・マックコム撮影)

2023.4.3 掲載


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