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第163回「地球を救うため誰がお金を払うのか? 100兆ドル(1京3500兆円)の質問」アンソニー・ロウリー氏出版記念講演より

11月20日に閉幕したエジプトの国連気候変動枠組条約国会議(COP27)では、地球温暖化で生じた脅威から地球を救うため途上国が先進国に支援を求めた。

南太平洋のバヌアツ、ソロモン諸島など、年々海面が上昇し、砂浜や集落が消え、 パキスタン、モルディブ、バングラデッシュなど破壊的な洪水に見舞われている。先進国でもヨーロッパ、米国、オーストラリアなどで森林火災、干ばつ、作物被害が現実のものとなっている。「気候変動」という言葉がようやく意識の高い世界の人々に認知され始めたが、いまだに無関心の層は厚い。

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FCCJ元会長のアンソニー・ロウリー氏はこのほど科学問題専門出版社NOVA(ニューヨーク)からの著書出版の機会に「気候変動との戦いは資金調達を組織化し、緊急意識を持たない限り間に合わない」と9月21日に行われた講演会で経済・財政面からの問題を指摘した。

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アンソニー・ロウリー氏

例えば、前回のCOP26ではチャールズ皇太子(現英国国王チャールズIII)は「これには数十億ドルでなく、数兆億ドルかかることを私たちは知っています。気候変動は生物多様性の喪失への大きな脅威であり、世界はそれと戦うために戦争のような立場を取らなければなりません」と話しているが、ロウリー氏はそれに加えて「戦うためには個々の国や地域が中途半端なイニシアチブで動くのではなく、国際通貨基金(IMF)、国際エネルギー機関、投資銀行、コンサルタント、一般納税者も含めた資金調達を組織することが必須だ」と主張した。

ロウリー氏は英国The Times(ロンドン)出身のベテラン経済・金融専門記者でシンガポール、香港、日本などで40年以上活躍し、ここ数年は環境問題の啓発論評にも注力している。


今回の国連気候変動会議(COP27)では地球温暖化等による「損失と被害」に関する基金設立について合意されたが、地球社会の市民の一人一人が問題を意識するようメディアがもっと意識すべきだと私自身も反省している。

2022.12.29 掲載


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