|
7月21日、プレスクラブは杉並区長選において187票差で勝ち抜き、2週間前に杉並区長として初登庁したばかりの岸本聡子区長を記者会見に招いた。 “なみじゃない、杉並!”は、中央線あるあるプロジェクト実行委員会のキャッチ・フレーズで、中央線4駅の商店街の街灯に掲げられている。英語に直訳すれば“Suginami is not an average ward.”意識が高く、先進的な平和運動の先端を切った市民の多い街には今一つ相応しくない。広告コピーに安易に否定形をつかうことにも抵抗を感じていた筆者は、記者会見の質疑応答の冒頭に、広く区民から新しい標語を募集する企画はないのかと新区長に質した。 「みどり豊かな住まいのみやこ、もあります」、という区長の回答は筆者が長すぎると拒否。結局、標語コンテストの企画は随行してきた区役所の広報担当部長と検討する、と返答されたが、このソフトな質問を切掛けにイタリア、イギリス、トルコ、スリランカ等からの外国記者から同性婚、事実婚、外国人の居住問題等について今日的な質疑応答がつづいた。
杉本区長は講演では、選挙運動を支えた杉並区市民団体のネットワーク、地球温暖化問題、ジェンダー平等、再開発問題など、時々パソコンで確認しながら多岐にわたる論点を英語で話した。杉並区役所での女性の登用に関しては、女性の多くはパートであり、部長級に昇格させるまでにはキャリアが足りないことを率直に語った。自身を「活動家で研究者」と名乗るだけあってスピーチの内容は明確であったが、唯一日本語で質問した元ヨーロッパ特派員の質問、女性の政治参加を増やすため今その運動の中心となっている自民党幹部女性と協力するか、は無視した。(ちなみにどういうわけかこの質疑はプレスクラブのYouTubeからカットされている) 世界ジェンダー地位116位の日本にとって女性政治家を増やすためには党を超えて連帯する必要があるが、研究者のキャリアが長く、白黒をはっきりさせたい彼女には将来はともかく今のところは無理なようだ。
杉本聡子氏(48歳)は日本大学文理学部卒、1993年国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」に参加後、その団体の有給スタッフとなったのをはじめとしてオランダ、ベルギーに移住。国際政策シンクタンクNGOトランスナショナル研究所研究員として勤務中のところ杉並区の市民グループの呼びかけに応じて2022年4月帰国、四期目を目指す候補の対抗馬として出馬した。家族は夫と成人した息子と中学生の息子の4人で現在ベルギー在住。 選挙と言えば「地縁・血縁・かばん」が幅を利かす世界。保守勢力が長年支配していた杉並政治を帰国後たった3ヵ月の新人女性を区長に当選させる杉並区の投票者、確かに杉並は並の東京23区じゃないかも。 2022.7.27 掲載
|
|
上に戻る |