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第158回 折り紙 国境を超える日本文化の象徴

子ども達の手遊びから国際交流のメディア、はたまた宇宙ロケットの開発設計図として、折り紙の歴史は古代から現代、そして未来まで続いている。特派員協会ではコロナ禍で中止していた家族参加プログラムの一環として、11月27日「折り紙ワークショップ」を開催した。

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おりがみ会館館長小林一夫氏

講師は1858年(安政五年)創業の和紙の老舗「湯島の小林」四代目会長で、おりがみ会館館長、国際おりがみ協会理事長の小林一夫氏。一部の折り紙専門家が著作権を主張し、折り紙の国際・国内の普及にストップをかけている現実を、ユーモアを混じえながら熱く語り、終始憤慨されていた。

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折り紙のクリスマス・ツリー、小林一夫氏と筆者

ワークショップの冒頭に、光沢のある新聞紙代の大きな「だまし船」を折ってもらった。日本人なら殆ど知っている、帆先を握って目を閉じたら船の舳先にかわっていた、という子供の遊びである。昔、筆者は学生時代、ニューヨークのガールスカウトの夏季キャンプの企画として工作時間に「だまし船」を折り、頭上で船を揺らせながら全員で歌ったことがある。

Baby's boat's silver moon,
 Sailing in the sky,
 Sailing o'er the sea of sleep,
 While the clouds float by.

Sail, baby, sail,
 Out upon that sea,
 Only don't forget to sail
 Back again to me.

Back again to me….

数年後、「だまし船」が“Baby's Boat”の歌と共にガールスカウトに定着しているのを知って、一枚の紙切れが果たした国際コミュニケーションの広がりに感銘したものである。

実はこれが今回の企画の動機だった。

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家族参加者に財布の作り方を示す小林一夫氏

「折り紙ワークショップ」として、打ち合わせ時には手元のビデオ映像を2台のモニターに映し、千羽鶴や奴さん、更には変わり折り紙の折り方の講習会を想定していたのだが、「ヒ」と「シ」を分けない「東京ローカル」*を自称する小林氏は、マイクを背広の胸ポケットに挿し、会場を自由に歩きながらの講演。

次々異なる紙質の紙切れで鳥やバレリーナを折り、子どもたちにプレゼント。群がった子どもたちとは一緒に「ジャンケン・ポン!」

参加者全員が試作したのは、小林氏が「軽くて10年はもつ」と主張する厚紙製の財布。「左約1センチ、右約2センチ。谷あわせて折り曲げたら裏返し、角に差し込む」。簡単な指示だが、戸惑う参加者を肴にジョークが続く。

質疑応答では日本人だけでなく、スペイン大使館員、イギリス人からの熱心な質問があった。大人42人、子ども8人、パティシェが腕によりをかけた午後のお茶も楽しめた。プレスクラブとしては久しぶりの家族パーティーだった。

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女の子に財布の折り方を教える小林一夫氏

* 江戸言葉と呼ばれる東京下町の方言。「ヒツジ」が「シツジ」になるなど、「ヒ」と「シ」の発音が混同されるのは音声的特徴の1つ。(編集部注)

2021.12.1 掲載


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