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「コロナ対策特別法に基づいた東京都の時短営業の命令が違法・違憲」だとし、特措法そのものの違憲性について争うグローバルダイニング代表取締役・長谷川耕造氏が、3月30日、弁護団団長・倉持麟太郎氏と共にプレスクラブで記者会見を行った。 長谷川耕造氏の主張は「時短要請に応じていない約2000店舗の内、原告の26店舗を含むたった27施設だけを対象に命令が発出されたのは、時短要請に応じない旨を発信していた原告を狙い撃ちしたもので、法の下での平等原則に反し、表現の自由及び営業の自由を侵害する違憲・違法である」とするもの。 訴訟は、科学的見解に異論がある中で、行政のコロナ対策が「国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活および国民経済に及ぼす影響が最小となるように」(特措法1条)されているか、「必要最小限のものでなければならない」(特措法5条)の趣旨に基づいて行われているかを司法の場で審査し解明することが目的であり、損害賠償が主たる目的ではないとし、請求額は104円(1店舗1円×26店舗×4日間)と設定した。 また、法廷闘争を支援するための訴訟費用を募るクラウドファンディングは、600万円程度を想定していたところ、一日で1000万円を集め、記者会見当日までに1730万円に達したことを報告した。 映画「キル・ビル」の舞台になり、ブッシュ大統領と小泉首相の来訪などで国際的に人気が高い民間外食企業のCEOが、東京都知事という「お上」を相手に争うのはレストラン史上初めてで、内外のメディアが注目した。
質疑応答よりフランクフルター記者(ドイツ):同業他社から原告団に参加したいとの申し出はあったか? 筆者:都議選に対する影響は? 筆者:都庁官僚はこのまま長谷川さんを解放するとは思えない。どのようなイジメを覚悟しているか? 従業員のVisaに問題は? ロイター通信記者:厚労省職員23人が深夜まで会食していた件で、厚労大臣が謝罪したが? ビデオ・ニュース記者(日本):グローバルダイニングが時短に従わない理由に言論の自由、法の下の平等、憲法21条を挙げているが、都による命令に保証が十分であれば訴訟しなかったのか? フィナンシアル・タイムズ記者(イギリス):勝てる裁判としての訴訟か、抗議としての訴訟か? フランクフルター記者(ドイツ):オリンピックに訪日客を受け入れてもよいのか? 長谷川耕造氏の経歴長谷川耕造氏は1950年横浜生まれ、71歳。早稲田大学商学部を2年で中退してヨーロッパを放浪し、帰国後「長谷川実業」を設立。高田馬場に「北欧館」という喫茶店を開き、その後都内にレストラン数軒を開店。1997年、社名を「グローバルダイニング」に変更。アジア・レストラン「モンスーン・カフェ」、メキシコ料理店「ゼスト キャンティーナ」、創作和食店「権八」など首都圏、アメリカなど47店舗を経営する東証2部上場会社に。昨年、コロナ禍の被害中小企業としての税法上の処理を受けるため、資本金を3000万円に減額した。 今回の訴訟をおこしたのは、独自の世界史観と自己責任で71歳まで生きてきた長谷川氏として、金銭上の問題以上に、所謂「お上」が命令責任を問われる命令(mandate)でなく、命令と称する曖昧な要請で人々の生業をコントロールしようとするのを看過できなかったからだろう。
2021.4.12 掲載
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