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第151回
日本外国特派員協会、五輪風刺のエンブレム表紙取り下げ
報道の自由問題か著作権侵害問題か?

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日本外国特派員協会会長、カルドン・アズハリ氏

日本外国特派員協会会長のカルドン・アズハリ氏は、協会機関月刊誌「No.1 Shimbun」4月号表紙の東京五輪大会エンブレムと新型コロナウイルスのイメージを掛け合わせたデザインに著作権侵害がある可能性が高いため、組織委員会に謝罪しデザインを取り下げホームページからも削除したと、5月21日オン・ラインブリーフィングで表明した。

大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は、同日謝罪と撤回のファックスを受け取ったことを明らかにし、「適当な判断をして頂いた」と述べて一件落着したようだ。

しかしながら、ブリーフィングにオン・ラインで出席した記者たちからは鋭い質問とコメントが寄せられていた。

「これは表現の自由の問題であり、体制に対する批判はジャーナリストの職務。著作権の問題などと矮小化するな」
「謝罪する前にどうして理事会だけでなく、全会員で検討しなかったのか?」
「『No.1 Shimbun』のエディター、グレゴリー・スターとアート・ディレクターのアンドリュー・ポセカリーを首にしたのか、自ら辞任したのか」
「この場で二人に釈明させるべきではないのか?」

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オン・ライン会見を行う会長、カルドン・アズハリ氏(左)と司会の神保哲生氏(右)。

オン・ライン会見であるため会場は空席のままだが、モニターに次々と発言者が登場する。
時差の関係で日付が変わる夜半からはプレス・クラブの元会員たちからメールの往復が激しくなった。

「在任中は報道の自由問題に集中した元会長として『プレス・クラブよ、しっかり立ち上がれ』とアムステルダムから言いたい」(ハンス・ヴァン・デル・ルフト氏)
「イラストは挑戦的で実に楽しくなる。表現の自由を唱える組織がこれを削除するとは誠に残念。組織委員会ほどの大物が社内報に目くじらを立てるのは大人気ない」(元理事リチャード・リード氏/ロス・アンジェルス・タイムズ)。

裁判沙汰になった場合、弁護士費用を支えきれないという理事会を支持する声もつづいた。


問題になった表紙は、市松模様が特徴のエムブレムに新型コロナ・ウイルスを組み合わせたデザインで、東京五輪の大会組織委員会は「著作権の侵害」として取り下げを求めていた。 アートや芸術の著作権問題に詳しい福井健策弁護士は「通常なら侵害に当たりそうな類似度だがここまで風刺意図が明確だと別の作品とみなし、元の作品の著作権を侵害していないという解釈も有り得る」と述べている。

日本外国特派員協会の理事会は7月から新しい体制に入る。報道の自由問題は6月の理事会選挙の候補者たちの大きな争点となるだろう。

2020.6.1 掲載


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