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“Where News Is Made”というのは公益社団法人日本外国特派員協会(プレス・クラブ)のモットーだが、1月8日のカルロス・ゴーン弁護団の記者会見はまさにその見本であった。記者会見場230席のところ詰めかけた出席者は約350人。そこで昼食サービスの時間を早めに切り上げて、メイン・バーまで記者会見場を広げることとなった。 出席者の内訳を事務局に登録されたものからチェックすると、外国特派員協会ジャーナリスト会員39名、ジャーナリスト以外のアソシエイト会員53名。会員以外の日本のメディア160名。スチールカメラ24台、テレビ・カメラ35台(カメラ・パーソンと助手付)。特記はフランスのテレビ局が撮影チームをこの為に東京に派遣してきたことだ。 プレス・クラブが移転により厳しい経済状態にあり、また正規会費を払っている会員より受付に名刺を差し出せば記者会見に出席できる外部のメディア関係者の数が多いのは時々問題になる。しかし新聞・テレビ記者以外にも雑誌記者、ブログ記者、著述業にも広く門戸を開いているのは、報道の自由を守る公益社団法人の見識であり意地でもあろう。因みに日本記者クラブは原則会員以外の雑誌記者、フリー・ライターの記者会見参加は認めていない。 * * * * *
大鶴基成弁護士は日本語英語と英語の詳しい資料を配布し、日産自動車会長、ゴーン氏にかけられた特別背任罪について犯罪の嫌疑がないこと、中東日産の担当者に対する支払いについては勾留するに足る犯罪の嫌疑がないこと、更に逃亡するおそれがなく証拠隠滅のおそれもないことから保釈を求めていると証拠にもとづいて淡々と話した。
質問に立ったのはロイター通信、ニューヨーク・タイムズ、BBC(英国)、フィガロ(フランス)などで、日産経営陣のクーデターか、司法取引について、日産―三菱―ルノーのアライアンスの将来などポイントは多岐にわたり、家族との面会を認めない日本の司法制度についての批判は繰り返された。 ゴーン氏はプライベート・ジェットで11月19日に日本に到着するなり逮捕され、ついに日産自動車に加えてルノーからも先日解任されている。再度の保釈請求も新しい容疑が出て却下された。 郵便割引制度で不正をしたとの嫌疑で164日の拘留期間を経て無実を獲得した元村木厚子厚生労働省局長のケースでは、拘留期間の長さが「人質司法」として問題となった。カルロス・ゴーン氏の長期の拘留と保釈の却下は、彼の有罪無罪を問わず、日本の司法制度の遅れとして国際社会から非難されるのではなかろうか。
2019.2.3 掲載
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