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第124回 「築地女将さん会」豊洲移転に反対

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「築地女将さん会」の代表者たち

代表者4名、男性支援者2名、応援の女将さん20名を揃え、7月25日築地女将さん会はプレスクラブで内外のメディアに築地市場の豊洲移転反対を訴えた。この会は築地の仲卸業者や店主の妻、女性従業員たちで昨年12月に結成されたグループで、今年3月、東京都に豊洲への移転反対の文書を提出している。

銀座に近いため、築地の寿司屋やレストランには日本人だけでなく外国人の観光客も多く年頭恒例のマグロの競りは世界のメディアで報道されるなど、築地ブランドは世界的に価値がある。その歴史は東京都の中央卸売市場の中で最古で日本橋にあった魚市場と京橋にあった青物市場を合併、移転して1935年に始まった。毎日1700トンの水産物と1400トンの青物が取り扱われ、築地は建値市場として国内の他の市場への参考価格を示す。

小池百合子東京都知事は都議会選挙の後、築地市場の今後について、今年11月に市場の機能を豊洲に移転し、現在の築地市場はオリンピック、パラリンピックのための道路と駐車場にし、5年後に改めて食のテーマパークとして再整備すると表明した。しかし、女将さん会は反対している。5年もたてば移転した業者は戻ってこないという。

女将さん会山口タイ会長や新井眞沙子さんはオリンピックで日本を訪れ、築地に寿司を食べに来た外国人が駐車場を観て落胆するのではないか、「世界各地から集まる水産物が素早く配送される、混沌と秩序が一体化した「One and only」の存在をなくすことは日本の損失であり、恥です。」と涙ながらに訴えた。

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司会 渡辺晴子、 中沢新一、山口タイ、新井眞沙子、石塚千枝子、堀江チヨ、森山髙至(左より)

石塚千恵子さんは女性だけの組織を立ち上げた理由について「築地は“男社会、縦割り社会”で横の連携はなく、それぞれが大家である東京都の申し出を受け入れ従ってきたという経緯があり、汚染が発覚後も様々なしがらみから言いたいことが言えず、移転反対のためには新しい組織が必要であったという。築地女将さん会の働きかけにより、移転反対の文書には築地卸売業者の70%以上が署名している。

堀江チヨさんは仲卸業者の女将の一日を語った。「午前1時に息子2人を市場に送り出し、主人、娘と私がつづく。5時半には客が来はじめ、8時半から9時半の間に商品配送のためのトラックを手配しつつ、個人客と対応。12時に計算して銀行に行き15時に戻って昼ごはん。夕方の5時から6時の間にITで記帳する。」

そんな忙しい毎日を送りながら、中国の中学生や大人のホームステイも引き受け、彼らが場内を見学して“Exciting!”と目を輝かせているのが嬉しい。こんな築地をなくしてはいけないと主張する。

男性出席者の人類学者中沢新一さんは築地の歴史的建物の保存を訴え、建築家森山高至さんはパワーポイントを使って豊洲市場の欠陥を指摘した。

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パワーポイントで豊洲の欠陥を指摘

通訳付き60分の記者会見に6名という大勢の発言者がいたため、質疑応答も司会者の最後のまとめの質問を含めて3名だけだったが、築地女将さん会としては今後の反対運動のための手始めとして仲間の団結とメディアへの顔見世としての目的を果たしたようだ。

食と築地というブランドに関心があったのか、内外のTV局、新聞・通信社のほかにアメリカ大使館からも数名の出席者があった。

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内外プレスの関心が高い

2017.8.2 掲載


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