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第120回 特派員たち「茶の湯」に関心

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表千家同門会東京支部による呈茶席
茶席の進行について通訳付きで説明

日本のおもてなし文化の洗練の極みともいうべき「茶の湯」の大特別展が37年ぶりに東京博物館(平成館)で開かれている。4月18日、日頃はハイテク企業や国際金融に関心の高い特派員総勢14人が室町時代から今日に至る茶湯道具や絵画を鑑賞し、呈茶席では季節に合わせた和菓子を頂き薄茶を喫するなど「和」の世界に触れた。

茶器の展示は足利時代の将軍家に伝わる特権的な中国スタイル、織田信長に代表される武士階級、愛好家のための朝鮮(高麗)もの、その様式を真似た日本製、千利休が完成した侘茶の楽焼、江戸時代に入って豪商たちに広がった茶道文化を支えるために小堀遠州が全国で作らせた茶器など多岐にわたる。

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呈茶席の掛け軸と生け花

茶碗では国宝「曜変天目」、京都大徳寺孤蓬庵蔵の国宝「大井戸茶碗 喜左衛門井戸」(朝鮮時代16世紀)、絵画では大徳寺蔵 牧谿筆 国宝「観音猿鶴図」(南宗時代13世紀)などが別格展示品。東京博物館学芸員でこの企画を担当した三笠景子氏は団体や個人の展示品の出品許可を取るのに三年がかりだったと説明した。茶道具は個人蔵など民間で所有されているため(売買されて)37年前の展示品の行方が分からなくなり、残念だったという。

[デモンストレーションの後、熱心に取材する記者たち]
 

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点茶席では外人記者たちがお茶を喫するだけでなく、亭主の席に近づいて熱心に質問し、写真を撮っていた。特にドイツの経済記者と韓国からの特派員は熱心だった。最近では一般の日本人よりも外国人の知識階級のほうが茶道に関心があるようだ。(東京国立博物館 平成館 特別展「茶の湯」6月4日まで。http://chanoyu2017.jp/


2017.4.25 掲載


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