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第119回 森友学園理事長 籠池泰典氏記者会見

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籠池泰典氏

3月15日には会見をドタキャンしたにもかかわらず、3月23日の「時の人」籠池泰典氏会見は内外の記者と観客250名、テレビカメラ45台が詰めかけ、近年にない大盛況だった。

司会のアンディー・シャープは「一斉に上がった50本の手から質問者を選ぶのに困った」と記者会見後筆者にこぼしたが、英国のタイムズ紙、米国のNYタイムズ紙、イタリアのスカイ・テレビ、香港・テレビなど、重量級の特派員たちが瑞穂の國記念小學院のための国有地払下げ問題と独自の愛国教育論を力説する籠池氏に迫った。

[記者会見の写真]


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直球の質問と忖度(そんたく)

タイムズ紙:
「安倍首相は自身も昭恵夫人も土地取引にも一切関与していない。したとすれば総理大臣の職も国会議員の職も辞任すると言っているが辞任すべきか?」

NYタイムズ紙:
「格安の土地取引について安倍首相は口利きしたのか?」

筆者は最前列で籠池氏の表情を見つめていたが、籠池氏は追いつめられるのを明らかに楽しんでいたようだった。「安倍首相は好きだ。職をつづけてほしい。」「口利きはなかったが周りが忖度(そんたく)をした」。

今回の記者会見には通訳が二名ついていたが、「忖度」という言葉を英語に訳しきれないようだった。「行間を読むだけでなく、相手の立場を考えて相手が有利になるように事を運ぶ」というのが日本的な解釈だと思うが、会見後、仲間うちの雑談では日本の官僚同様、イタリアのマフィアにも歴史的に「忖度」の習慣があるという話に脱線した。

自民党内に派閥がなくなり一強の安倍首相が率いる官邸が官僚の人事権を一手に握るなか、一時は名誉校長であった首相夫人付政府職員が財務省に問い合わせれば忖度して「この際一点稼いでおこう」という役人が出るのは当たり前だと思う。

さて、話を会見に戻す。筆者は今生天皇が引退されたいというお気持ちを表明されて国会も政府も静かにこれに伴う問題を議論している最中に「教育勅語」を幼児に暗唱させて問題を起こすのは昔で言えば「不敬罪」であり、保守と言いながら安倍首相夫妻を批判するのは日本の保守主義を傷つけるものではないかと質問した。籠池氏は「教育勅語」は現在では「道徳律」であり、保守主義も正さなければならないと言い切った。

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質問する筆者

日本のテレビは連日100万円の寄付を受けたという籠池氏側とその覚えはないという昭恵夫人との下世話な水掛け論を面白そうに報じているが、日本の官僚の「忖度」する風土と危険について、しっかり調査報道してもらいたいものだ。


2017.3.31 掲載


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