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第109回 瀬戸内国際芸術祭2016年
Setouchi Triennale 2016

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草間彌生の「赤カボチャ」と取材陣(小豆島・土庄港)

今年で三回目の瀬戸内国際芸術祭は「海の復権」をテーマに瀬戸内海12の島に点在する200点のアートを春、夏、秋の三期に渡って紹介する。プレスクラブからAFP(フランス通信)、イタリア(IT放送、雑誌)、中国(雑誌他)などのジャーナリスト5名が春期の事前取材でフェリーと高速船を乗り継いで島々を訪れた。

小豆島の土庄港に着いた取材陣を迎えたのは、オリーブの王冠の彫刻とふくやかなごま油の香り。正面にはコシノジュンコの和太鼓に呼応する先鋭ファッションを展示するアートノショウターミナル。まさに島の地域文化と前衛アートが瀬戸内の海と光の中で溶け合うこの芸術祭の見本である。

【瀬戸内国際芸術祭2016取材の写真】

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今回も芸術祭作品は三種あり、まずはアジアの若いコンテンポラリー・アーティスト、例えば王文志の「オリーブの夢」などの新作品、草間彌生のカボチャが存在を示す過去の芸術祭からの永続作品、さらにこの芸術祭の事実上の創始者福武財団の地中美術館、ベネッセハウスミュージアムの所蔵するモダーン・アートだ。(福武財団所蔵品の写真は締切り時間の制限のため割愛)

千枚田の中に地元の5000本の竹を使って作られた巨大な竹のドームは中に入ってボンヤリ空を眺めるのもよし、仲間とパーティーをしたり、お茶やお花の展示会にもよしという。「竹は年月が経つと自然に帰るので、恒久展示にしてほしい」と王さんは希望している。

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巨大な竹のドーム「オリーブの夢」
日本の棚田百選にも選ばれた千枚田の中に建てられている。

建築家三分一博志が2年半かけて太陽の光、風向きなど現地をリサーチして設計した檜つくりの多目的「直島ホール」は昨年11月末に完成。先人の知恵を生かし南から吹き込む風を屋根の風穴から逃し、地表の冷気を取り込む。天然冷房の施設は、バドミントン・コートとしても直島女文楽の劇場としても優雅でかつ機能的。記者たちはまさに瀬戸内的持続可能な作品だとインタビューした後に建築家の著書を求めていた。

【【瀬戸内国際芸術祭2016取材の写真】

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今回の芸術祭の特徴は台湾、香港、中国などからアーティストばかりではなくブロッガーやボランティアが多数やってきたことだ。一緒に取材した台湾のイケメンのブロガーに帰路の高速船で同席した女性を紹介しようかと尋ねたら「もうメール・アドレスを交換しました」との返事。アートばかりではなく訪問者同士の人的交流も盛んなようだ。

(今年の瀬戸内国際芸術祭の春季展示は3月20日~4月17日/夏季展示7月18日~9月4日/秋季展示10月8日~11月6日)

2016.4.1 掲載


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