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田中角栄総理の金脈問題追及、オリンパス外国人社長の経営陣告発、沖縄タイムス―琉球新報への報道圧力問題などの記者会見で知られる公益社団法人 日本外国特派員協会(略称プレスクラブ)は今年創立70周年を迎えるが、協会の歴史始まって以来異例の任期中途における会長交代があった。 従来、協会では投票権を持つ正会員が会長、第一、第二副会長、書記、会計、平理事4名を個別に選んでいたが、昨年の公益社団法人認定以来、正会員は理事9名を選び、理事の互選により会長以下を選出するシステムに変更されている。本年6月に選出された理事は互選により役職を定めたが、今回、改めて再投票したことになる。 9月24日の理事会が選出したのはスリランカ出身University World News(英国)特派員のスヴェンドリニ・カクチさん(愛称ドリニ)。上智大学英文科を卒業以来、Ceylon Observer (Sri Lanka), Japan Times, 共同通信、Inter Press Serviceなど長年にわたる記者歴と途上国発展のためのNGO活動歴を誇る62歳のヴェテランだ。特派員協会の運営では副会長、書記、理事などと五度に渡り貢献している。 「昨年度、かってないほど多数の財務委員や会員資格審査委員会の一斉辞任がありプレスクラブの経営方針に多くの会員が疑問を抱いた。その会員たちが理事に立候補して初当選した。ところが新理事たちが改革を進めようにも前政権の理事会記録等非公開協定があり、この協定に署名しない理事たちは必要な書類を閲覧することが出来ないままこの3カ月を無為に過ごした。この理事会の現状を打開するために第一副会長の提案で再選挙が行われ私が当選した」とドリニさんは説明する。 途上国初の女性会長となったドリニさんはこの数日の消耗戦ともいうべき疲労にも関わらず、明確に抱負を述べる。 「今まで欧米中心だったプレスクラブの活動を東京にいるジャーナリストの現状に合わせてアジア中心に移したい。アジアは長年の植民地の時代を耐え忍んで生き抜き、今や多様性と資源力で地球社会の模範となっている。 日本のリーダーシップは中国と朝鮮半島との関係をいかに発展させるかにかかっている。特派員協会はアジア・太平洋地域のジャーナリズムのリーダーとなるべきだ」。ドリニさんは力説する。 「理事たちの協力を得て創立70年目の特派員協会を更に発展させたい。新会長の仕事の手初めに会員資格審査委員会と報道の自由委員会を拡大改正し、理事会そのものを透明且つオープンにする」とドリニさんは意気軒高だ。 今年7月から会長を務めたジェームズ・シムズ二世さんは平理事として理事会に留まる予定。 2015.9.29 掲載
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