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安倍政治の2年間が問われた第47回衆院選で、自民党は290議席を確保。公示前を5議席下回ったが、公明党の35席と合わせると与党は公示前から1議席減の325議席と衆院定数の3分の2(317議席)を維持し、安倍政権の継続が決まった。 プレス・クラブでは衆院選の翌12月15日、日本の政治を50年以上にわたって研究しているコロンビア大学政治学部教授ジェラルド・カーティス氏を報道昼食会に招いた。 “Why Election ?”(選挙なんか必要ない?)カーティス氏は今回の選挙のキー・ポイントを3点挙げた。 まず、国民が数百億円をかけての選挙など必要がないと思ったこと。これが52%台という史上最低の投票率に表れている。ただし、ここ数年の政治的混乱に嫌気した人々が、安倍を好むと好まないに拘わらず、政治的安定を求めて投票した。 次に、野党に対する不信任選挙であった。共産党以外には自民党と異なる政策を明確に提示できなかった。 今回は進行半ばのアベノミクスに対する信頼投票として行われ、安倍氏は外交、原発、農業問題に対してなんらの新しいイニシアティブも提示しなかった。 カーティス氏は、安倍氏は野党の準備のなさを突き、消費税値上げ延期を正当化するために選挙を実施したという。この勝利によって安倍氏は自民党内での自己の立場を強化した。もし、選挙なしで消費税増税延期すれば、党内からの批判が高まってくる。 現在の小選挙区と比例代表の選挙制度では二大政党を育てることは不可能であり、安倍氏には大胆な経済政策や労働政策は望むべくもない。第二次安倍内閣では提案して無理だと思えば引っ込める。非常にフレキシブルな政権になった。 「日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ 安倍晋三+百田尚樹著」の中での対談のように国際政治の中央では無理だが、安倍氏は靖国問題でも注意深くなったこともあり、民主党がなしえなかったアジアのエコノミック・パワーからアジア、アフリカでも政治的重要国として尊敬される国は目指せるようだ。と安倍首相を批評した。 タイムズ紙(英国)、フランクフルター・アルゲマイネ紙、シンガポール・ビジネス・タイムズ紙などのヴェテラン記者たちが質問に立ったが、選挙自身が低調なためか質疑応答にも特筆すべきものはなかった。
女性公務員の増加に期待筆者は安倍氏の“Make Women Shine !”(女性を輝かそう)について質問。「4年間で経済的、政治的、またはコミュニティーでどう女性を輝かせるのか?」 「企業に対して女性の取締役を雇えとはいえない。日本の企業文化の変化は限定的だ。経験ある女性も少ない。ただ、企業に女性取締役を増やすことを目標にするように、とはいえる。いずれにせよ、日本の人口が縮小している現在、女性の力を生かさねばならない」 「移民を入れるか、女性を活用するかが問題だが、移民と違って女性には文化の違いや社会制度に順応させる必要はないが、(移民向けの)その職業を女性自身が選ぶかどうかに疑問がある。安倍氏の力でできることは女性の公務員を増やすことだろう」 カーティス氏の指摘したように、平成25年度の内閣府男女共同参画局の発表によれば地方公務員の女性比率は37.3パーセントとなっている。一国のリーダーが女性を輝かせるといっているのだから、国家公務員や地方公務員の女性は今後、増加するのだろう。 因みに今回の衆議院選中にプレス・クラブは5人の党代表を迎えたが、民主党幹事長・枝野幸男氏会見出席者56人、維新の党共同代表・江田憲司氏48人、次世代の党党首・平沼赳夫氏28人、共産党委員長・志位和夫氏33人。いずれも100人に満たなかった。
2014.12.20 掲載
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