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第88回 プレスクラブ公益法人に

古くは田中角栄首相の収賄問題、近年ではオリンパス外国人社長不当解任問題など、日本国内のメディアに先駆けて政治、経済問題を厳しく報道してきた有楽町にある外国特派員協会がこの4月1日「公益社団法人」に認定された。

「これで日本記者クラブと同じ地位になった」
  「日本相撲協会と同じだろう」

協会会員のジャーナリストたちは皮肉るが、数年前の公益社団法人化に最初の段階で拘わった筆者としてはよくぞここまで辿り着いたと思う。

2008年施行の公益法人制度改革三法によって、2013年11月までに「公益社団法人」または「一般社団法人」の認定を受けなければ、それまでの社団法人日本外国特派員協会は「解散」に追い込まれる。日本からグローバル社会に向かって報道する機関に「一般社団法人」の格はそぐわない。しかし、プレスクラブの「公益社団法人」化への一番の関門は、公益以外の収入が50%を超えてはならず、会員に親しまれ、従業員の半数近くをかかえる料飲部門を切り離すことであった。


丸の内のランチ

「外人記者クラブで昼飯でも?」と誘うのが丸の内界隈の企業人のステータスでもあり、会員間の郷愁や飲食部門の従業員の待遇では、この数年間クラブでは大小の行き違いが生じていた。とにもかくにも現在のルーシー・バーミンガム会長政権中にプレスクラブの地位が確定したのは安心だ。

飲食部門については昨年7月から外注した東急ホテルIRSのシェフの腕前とサービススタッフの「おもてなし度」が洗練されていて、「以前の進駐軍時代を思わす武骨な食堂よりはるかにお洒落」と評判になっている。

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樽酒をサービスするバーミンガム会長とマーティン・コーリング副会長

準会員も経営陣に

公益社団法人認可をきっかけに協会の定款も内規も改訂され、今までジャーナリスト正会員9名と正会員監事1名が構成していた理事会が正会員分野6名とアソシエート会員分野3名、それぞれの分野からの監事で成立することとなった。

アソシエートたちは今回の内規と選挙細則改定を受けて自分たちの間で予備選挙を行うと張り切っている。一方正会員たちはこの機会にプレスクラブならではの報道の自由とジャーナリスト育成のプログラムを進めている。

女性会長として三代目のルーシーさんの仕事はまだ始まったばかりだ。

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公益法人を目指す2014年新年会で
ルーシー・バーミンガム会長と筆者

2014.4.24 掲載


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