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第87回 プレスクラブ2014年の課題
「特定秘密保護法」に厳重な監視を


FCCJの性格が変わる

2013年11月の締切を控え、(社)外国特派員協会(略称FCCJまたはプレスクラブ)は「公益社団法人」に移行すべく書類一式を政府に提出した。公益問題委員会、理事会、総会で数年来に渡る議論を専門家と綿密に検討してまとめたものである。

在京メディアの報道でよく知られているように、1945年8月マッカーサー元帥とともに日本に進駐した外国特派員たちの手によって作られたプレスクラブは、廃墟の東京での取材と飲食の拠点で、職能団体であるとともに会員たちの社交クラブでもあった。


選挙公約にない法案

今回「公益社団法人」に特化するために飲食部門を東急ホテルグループに外注し、プレスクラブが本来の報道活動に軸足を置き替えた時、安倍内閣は選挙公約でも全く触れなかった「特定秘密保護法案」を突如として上程してきた。

クラブでは11月に福島みずほ(社民党)、主濱了(生活の党)、仁比聡平(日本共産党)、山本太郎(無所属)を招いて「特定秘密保護法案に反対する野党超党派議員」記者会見を開き、また12月には清水勉(弁護士)、桐山桂一(東京新聞論説委員)、三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)による「特定秘密法案と報道の自由」をテーマに会見を続けた。

政府・与党側からは12月に入って中谷元自民党議員が「安倍政権下の秘密と国家の安全」と題して講演を行い、更に磯崎陽輔 内閣総理大臣補佐官(国家安全保障会議及び選挙制度担当)がブリーフィングを行っている。

また、クラブの機関誌No.1 Shimbun 12月号では「秘密法が調査報道に与える影響」を特集した。

無謀にも安倍政権はこの悪法を12月6日成立させたが、2014年の重要課題として廃案、または運用面できっちり箍をはめさせるようメディアも人々も国会の動きを監視し続けねばならない。メディアの傲慢と民衆の無知が時の政権に利用され大東亜戦争に至った苦い記憶を、日本国民のかなりの数が共有している。


会長声明 報道の自由を守れ

日本外国特派員協会会長ルーシー・バーミンガムは以下のように表明している。

(前半略)

「本法案の条文によれば、報道の自由はもはや憲法で保障された権利ではなく、政府高官が「充分な配慮を示すべき」対象にすぎないものとなっています。その上、「特定秘密保護法案」には公共政策に関する取材において(不適切な方法)を用いてはならないといったジャーナリストに対する具体的な警告文まで含まれています。これはメディアに対する直接的な威嚇であり、十分に拡大解釈の余地がある表現は、政府に対し、ジャーナリストを意のままに逮捕する権限を与えることになります。

日本外国特派員協会の会員には日本国籍を有する者と外国籍を有する者が含まれていますが、1945年に設立された由緒ある当協会は常に報道の自由と情報の自由な流通こそが、日本と諸外国との間の友好関係や相互理解を維持、増進するための不可欠な手段と信じてまいりました。

そのような観点から、われわれは国会に対し、「特定秘密保護法案」を廃止するか、もしくは将来の日本の民主主義と報道活動に対する脅威とならないような内容への大幅な修正を、強く求めます。」
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(社)日本外国特派員協会会長 ルーシー・バーミンガム

2013.12.29 掲載


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