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本年10月発表されたWEF男女参画リポートによれば、世界135か国中、日本のジェンダー指数は101番目で、2006年の指数設置時の80位から大きく後退している。 分野別では健康と生存分野では34位を占め、教育達成度81位だが、経済参画と均等機会で102位、政治的エンパワーメント110位と順位が下がり、総合指数では101位となる。企業役員に占める割合、政界に進出する女性の絶対数が少ないのが致命的だ。 女性参画の総合順位は、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンと北欧常連四か国が続き、アイルランド、ニュージーランドを挟んでデンマーク、フィリピンとなる。先進国では米国が22位、フランスが57位だ。 ザヒディさんはパワーポイントを使って統計を冷静に説明し、記者たちの日本の企業や政界にクオータ制度を採用することの是非についての質問には「賛否両論ある」とコミットしなかった。但し政党が候補者数を男女同数にするデンマーク方式は「選挙民の選択にも応じられる」と賛成の立場。 タスクフォース参加50名のリストを公表しないのは男女共同参画を進める上で逆効果ではないかというデニス・ノーマイルさん(米国サイエンス誌)の質問に対しては、WEF日本代表の土屋聡さんが「参加者の了解を得ていないので」と答えた。WEFでは発足当時から自由な議論を確保するため、会議を公開と非公開の両建てで行う伝統がある。
さて、特派員協会では記者会見に先立ち講演者の履歴が紹介されるのが常であるが、司会者のスベンドリニ・カクチさん(インター・プレス・サービス、スリランカ31位)が今回は一言も触れなかったので筆者が質問した。 「指数134位のパキスタンからWEFのシニア・ディレクターの地位に上られるまでにどのような学歴、職歴をお持ちなのですか?」 記者会見終了後に詳しく尋ねると米国名門女子大スミス・カレッジを卒業し、ジュネーブの国際大学院で修士を得て、更に現在ハーバード大学ケネディー行政大学院修士課程で勉強中とのことであった。「男女参画問題」は各国のマイノリティーな社会問題からやっとグローバルに経済問題として認識されてきたらしい。 国際機関には途上国の超エリートの若い女性の活躍が目覚ましい。日本でもマナーとファッション・センスが抜群の、例えば聖心女子大卒の才媛たちが、緒方貞子先生をロール・モデルに国際機関や国際企業で更に活躍すれば、海外での日本女性指数は向上するのだろう。 ただし日本国内では? 「1975年国連世界婦人年」から「女性の十年」を経て37年、未だに女性の昇進を阻む「ガラスの天井」や補助的な仕事から解放しない「粘りつく床」が健在だ。今後三年間タスクフォースの真剣度が試される。 2012.11.29 掲載
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