WEB連載

出版物の案内

会社案内

第63回 福島みずほ社民党党首
     「脱原発アクションプログラム」をアピール

photo
社会民主党党首 福島みずほさん

原発反対党である社民党の党首、福島みずほさんは、このほどスペインで行われたSocialist Internationalの決議を踏まえて、原発廃止が世界の潮流になったことを7月11日プレスクラブで行ったアクションプログラム講演で外国メディアに改めて訴えた。

3月11日発生した東日本大震災(マグにチュード9.0)により、福島第一原発は全交流電源が喪失し、すべての燃料が溶け落ちるメルト・ダウンが発生した。事故により大量の放射性物質が放出され、人々の健康、農業、酪農、漁業など広範囲への影響は国際原子力事象評価尺度(INES)で史上最悪といわれたチェルノブイリ原発事故と同じレベル7と評価されたが、この詳細は実は国内メディアの報道以前に、外国メディアにより素早く世界に報道されていた。

「『アラブの変化、中東和平、福島原発事故の教訓』を検証した75カ国の代表は、もはや原発推進は過去の課題で、今や原発事故は一国だけに留まらず、国境を越えた問題であることを実感した。つまりトルコの原発が事故を起こせば、隣国のキプロス、ギリシャの被害が深刻になる」

「G8出発前の菅首相を官邸に訪ね、社民党の『2020年までに原発ゼロ』プログラムを託した時、『ドイツ首相メルケルさんのようですね』と評されたが、あちらの目標は2022年。こちらは2020年で2年早い」

「福島の教訓とは原発は一度事故が起これば、放射能が広がり接近できないため対応できない。日本は地震国のため、事故は容易にレベル6に達する。福島の教訓を福島みずほが説くのはいささかの違和感があるが、原発は老朽化したものから廃止、浜岡原発など地震が予測される危険なものから止めてゆく」

「菅首相の提案した『ストレス・テスト』は十分条件ではないが、必要条件だ。現在まで経通省が国会の合意なくエネルギー政策を推進してきた。菅首相を応援するのではなく、社民党の長年の政策を実現するために今後国会で広く議論していきたい。」


質疑応答より

G.ヒールシャー(ドイツ・フリー・ランス):菅内閣をサポートしていないというが、実はしているようだ。社民党は(民主党と)政策合意するのか?
福島:菅氏が浜岡原発を止めた。電力(会社)との利権が全くない。ポスト菅内閣で民主党と自民党が連立すれば脱原発、自然エネルギー促進は困難となる。

M.ペン(新月通信):ヨーロッパ基準ではなく、日本式ストレス・テストが提案されているが?
福島:日本式ストレス・テストはカモフラージュ。原発再開のために使われてはならない。

Y.長谷川(ラジオ日経):地球温暖化対策は?
福島:石炭よりCo2の少ないLNGの利用と太陽熱、地熱などの開発などCo2気候ネットワークの提言も受けて、アクション・プランを改定してゆきたい。

準会員コメント:フィンランドの地熱発電は東芝の技術、最大の風力発電の技術は70年代に三菱重工が開発した。

中央大学学生:学生の就職活動が長期化している上に正規雇用が少ないが?
福島:原発は中央集権的。自然エネルギー開発で地方にグリーン・ビジネスを創出したい。また、労働者派遣法を改正して若者の個々のサポートを深め、企業の社会的責任も求めたい。

photo
福島みずほさんと筆者(司会)
photo
当日になって記者の参加が倍増した

司会の筆者が最後に質問をした。

「菅首相は脱原発問題で閣内、党内からいびられているが、もし民主党を追放されたら社民党で受け入れる可能性は?」(満場笑い)

福島:かっての脱原発運動の盟友として歓迎したい。(満場大笑い)

福島みずほ氏の久しぶりの記者会見は当日になって参加者が倍増し、用意された資料が大量に不足。それにしても特派員協会で配布する資料がまたも日本語Onlyとは残念だった。


2011.8.5 掲載


著者プロフィールバックナンバー
上に戻る