第62回 東北大震災66年の伝統を破る
「会長の任期は一年限り」というプレスクラブ66年の伝統を破り、ジョージ・バウムガートナーさん(スイス・ラジオ・テレビ)が6月24日再選された。
「役員選挙後には夏休みがあり、新役員会は9月から改めて機能するという悪しき風習を破り、クラブをジャーナリズムの拠点として再建するために夏休み返上で取り組む。財政改革、料飲部門の向上を図り、2年後に迫っている新社団法下では一般社団法人への移行を円滑に進めたい」バウムガートナーさんは熱心に選挙運動を進めた。
(社)日本外国特派員協会の憲法や内規には記載されていないが、会長が二選目に出るのはタブーとされてきた。ところが3月11日の東日本大震災以来、取材のため特派員たちが東京を離れ、理事会や総会も何度も延期されてきた。クラブの事業計画が停滞、延期を見た特派員たちは「伝統」より「継続」を選んだようだ。また、投票率は例年より2割低下した。
第一副会長(施設担当)、マーティン・コーリングさん(ドイツ フィナンシアル・タイムズ特派員)も再任で、東北取材の後はソウルに飛び選挙運動期間中もずっと出張。第二副会長(人事担当)長谷川洋三さん。理事からの昇格。元日経新聞ウイーン支局長で、現在はラジオ日経のアンカー・パーソンとして経済ニュースを担当している。
書記のドリニ・カクチさんは途上国のニュース専門通信社IPS特派員。スリランカから昨年日本に里帰りしてきたベテラン記者で、過去なんども書記を務めている。財務理事(再任)のジョナサン・ソブルさん(フィナンシアル・タイムズ)はダウ・ジョーンズ、ロイターを経て4年前より現職。クラブ歴5年の若手だ。
理事4人も全て再任。現書記から理事に転向のルーシ—・バーミンガムさん(フリーランス)は主としてNHK、ブルーンバーグなどで活躍。ケネス・クキエさん(エコノミスト)はソブルさんと同じく若手で、クラブの運営や人材開発に熱心だ。デービッド・マクニールさん(インデペンデント)は、クラブの機関誌No.1 Shimbunの編集長でもある。
理事の別格は朝日新聞前役員でインターナショナル・ヘラルド・トリビューン特別顧問の村上吉男さん。国際記者としてバンコック、ワシントンなどで数々のスクープを重ねた。重鎮として理事会を支え、特派員クラブを「一般社団法人」ではなく日本記者クラブと同格の「公益社団法人」に格上げすることに熱心だ。
監事は前会長のモンズルル・ハックさん(バングラデッシュ デイリー・プロサム・アロ)。現監事の筆者はこの夏晴れて理事会を卒業できる。
再選された会長ジョージ・バウムガートナーさん(中央)、元会長ゲプハート・ヒルシャ—さん、筆者
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2011.7.4 掲載
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