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第52回 渡辺喜美 みんなの党代表 大好評の記者会見

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難しい顔で軽妙な司会をした
バウムガートナー新会長


「勝てば官軍」というが今回7月26日の記者会見の参加者とテレビ・カメラの数は、参院選挙前の渡辺喜美氏会見の2倍以上。しかつめらしい顔で新会長ジョージ・バウムガートナーが「渡辺氏の成功は、髪型をベッカム頭にさせた奥さんのお蔭」と持ち上げると満席の参加者から大きな拍手が沸きあがった。



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ベッカム頭で元気な渡辺喜美
「みんなの党」代表

閉鎖感から抜け出す

渡辺喜美代表が強調したのは、選挙民のみんなの党への期待。
  「選挙戦中の菅総理の発言のブレなど、政権が代わっても閉塞感は晴れない。天下りは解禁され、JAL、道路公団問題、日本郵政の実質上国有化など民主党は "官僚統制・中央集権"で日本をダメにしてきた。選挙で10席、合計11席となったみんなの党は、各党にアジェンダを投げかけている。そのためにも国会が開かれるべき。たった5日間の議論で終わるのは残念だ。12年前の金融危機では、参院選で敗れた橋本内閣から小渕内閣に交代した時、盆休み以外は夏休み中も国会を開いていた。現在、世界に金融危機があるのに、日本では危機感がない」

「秋には民主党は事業仕分けを行うが、みんなの党は「『埋蔵金』発見のためのリストを作る。消費税の増加分は地方の財源に充て、(中央からの)補助金をやめることによって天下りをやめさす。特別会計を地方に分割することによって、脱官僚の新しい日本が生まれる。この提案を他党と共同提案することによって、部分連合ではなくクロス連合(Cross coalition)をつくる」


みんなの党のアキレス腱

ゼロから11人になったみんなの党だが、「アキレス腱はお金がない、組織がない、支援組織がない」と渡辺氏は率直に話す。
  「今後は地方選で首長候補を立て、ネットワークを広げてゆき、次の総選挙では100人以上の候補を立てたい。『官尊民卑』を破壊する小さな政府で民間主導主義、戦後初めてアジェンダで作られた政党が日本を動かすことになる。『アジェンダのもとでこの指とまれ!』の政治をやりたい」と語った。

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選挙前の三倍の参加者を集めた渡辺会見
(渡辺氏、ミューレ・ディッキー新報道委員会委員長、渡辺新監事ー筆者 右より)

質疑応答から

シンガポール経済記者:次々と総理が代わる日本では、官僚だけが安定を提供しているのではないか?
渡辺:官僚は匿名権力で責任を問われない。政治家は責任から逃れられない。
みんなの党は官僚タタキではなく、官僚を選びコントロールする。官僚ファッシズムに陥るか正しい議会制民主主義になるか、国民は見ている。

ドイツ経済紙記者:たった10パーセントの得票率で国を変えられるのか?
渡辺:国民は分かってくれるという楽観主義でやっている。私が大臣時代(霞が関官僚の)天下りをやめるといったら、その途端に頭の先から足の先まで身辺調査された。政治家は命がけで楽観主義でなければならない。

英国経済誌記者:7月末に官僚は異動するが、異動させないと上がつかえるのでは?
渡辺:民間と同じにする。採用年次にかかわらず動かす。日本の官僚システムは「身分制」。「省」への忠誠心から「国民」への忠誠心に替えたい。みんなの党の人事案は元官僚である「脱藩」議員が作った。7月の人事で全てを変えられないが、私が総理になれば大抜擢をして、組織をショック療法する。

準会員:65年たっても米軍が日本にいる理由は?沖縄の基地は?
渡辺:橋本総理は直接クリントン大統領と話して、普天間基地の返還の話をつけた。14年たっても実現しないのは、政治家として忸怩たるものがある。中国が軍事力を伸ばしていることを考えるが、日本は憲法上、国際的に自立独立して動けない。


主宰者から最後の質問が筆者に振られた。

筆者:父上の渡辺美智雄氏は大臣時代「運転手と通訳の選び方には、最大の注意を払っている。運転手が悪ければ交通事故で命を失うし、通訳が悪ければ政治的命を失う」とおっしゃっていたが、この会見ではプレスクラブの通訳を使っていらっしゃいますね。(会場笑い)
渡辺:父は「色即是空」"Sky is color, color is sky" "What is emptiness? Emptiness is form. Form is emptiness."など(の迷言で)通訳泣かせだったが、外交交渉の時には、夜の社交的な会合ではお互いの通訳を交換するなどと上手くやっていた。ただ、サッチャー首相に"Oh Emptiness Minister!"と呼びかけられた時は「フトコロが空と思われたのか、頭が空と思われたのか」と一瞬考えたそうだ。(会場大爆笑)

2010.8.4 掲載



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