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第46回 岡田克也外務大臣の記者会見
      外国メディアの質問に余裕の応答

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岡田克也 外務大臣

アフガニスタン電撃訪問の岡田克也外相とカルザイ大統領のツー・ショットを10月12日朝刊で見て「これを聞かれると思っていたのか!」と悔やんだ。

実は鳩山内閣閣僚第一号として10月7日超満員の記者会見を行った岡田氏は、「今日はいい質問が出ませんでしたね」と見送りの担当者に率直な(?)感想を漏らしていたのだった。

私自身、ヘッド・テーブルで頭数を数えていたのだが、質問した17人のジャーナリストは誰一人として新外相の「アフガニスタン及びパキスタン視察の可能性」について質していない。官僚にコントロールされていた従来の自民党政府閣僚の習性から考えて、新大臣がこんな飛躍をするとは外国メディアは想像できなかったのだろう。

“Clear & Present Danger”「今、そこにある危機」は報道の自由に優先する。岡田外相の安全確保のため、外務省と霞クラブ(外務省付記者クラブ)の緊急状態での情報統制はキッチリしていたのだろう。

一方、岡田外相は就任早々に外務省記者会見を霞クラブ所属社以外の記者にもオープンした。外国プレス、雑誌記者、ブログ記者も前もって登録すれば出席して質問できる。記者会見の主宰は霞クラブであり、当番社の記者が指名してくれるかどうかは疑問だが、それでも外務省記者会見始まって以来の快挙といえる。

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外務省記者クラブの開放記念に
FCCJのTシャツを贈呈
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「エコカラーでなく蛙色。
蛙のコレクションをしている」と喜ぶ大臣と握手

特派員協会では岡田外相の英断を祝してFCCJのロゴが入った黄緑色のTシャツを会見の冒頭に贈った。「外国特派員協会を代表して外務省の記者会見を外国プレスに開放して下さったことを感謝し、記念にエコ・カラーのTシャツを贈ります。他の省庁も外務省に習ってオープンして下さる事を望んでおります」との筆者の挨拶に「エコ・カラーというより私には蛙カラー。ご存知のように私は蛙のコレクションをしています」と愛想よく応えられた。

記者会見が冒頭から政府とプレスの「友愛精神」で始まったせいか、岡田外相の講演はなめらかだった。日米安保、沖縄密約問題など11月末までに全ての資料を精査する、同じ党内では言いにくいだろうが、米国が情報公開法によりオープンにしている戦略核の持込を「総理、外相がない」と(強弁)するのは国民の外交に対する信頼を失わせる、と言い切った。

また、100日間の課題として米軍沖縄普天間飛行場の移転問題、アフガンへの20億ドルの民生援助、コペンハーゲンCOP15に向けての鳩山国連演説のフォロー、更に300日間の課題として日米関係が今後30年、50年と継続するようクリントン米国国務長官と話しあいたい、アジアが平和で経済的に豊かになるためにも日米関係は重要と語った。


質疑応答

オーストラリアン紙記者:アジア・コミュニティーの国々は?
岡田外相(A):日中韓、アセアン、オーストラリア、ニュージーランド。EUのように共通の通貨を発行するのはまだ先のこと。経済体制が異なる。経済中心にエネルギー、公衆衛生での相互協力。

フランス・テレビ:国防問題で与党内でも意見が割れているが、日本は米国から独立して自主防衛に向かうのか?
A:鳩山総理は「米国との距離を置くことはない」といっている。私も同意見。日本は日本の国益を、米国は米国の国益を協議するのが外交。

〔ロンドン〕タイムズ紙:民主党は村山談話を継承するのか?
A:過去の戦争で被害を受けた人々の気持ちが(まだ)納得できていないのは事実。閣僚の中で村山談話に反対の発言をする人がいるのは問題。

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岡田外相記者会見
左より(渡辺第一副会長、高松通訳、岡田外相、ハック会長、デミリア第二副会長)

ロイター通信:日中韓3か国サミットの議題は?
A:温家宝首相の北朝鮮訪問の報告、東アジア共同体への理解をふかめる。

香港テレビ:東アジア共同体のコンセプトは中国と日本の覇権争いか?
A:麻生前総理は「自由と繁栄の弧」という言葉を使っている。

フランクフルト紙:日本は「小切手外交」に戻るのか?
A:緒方貞子さんがトップのJICA(国際協力事業団)ではアフガニスタンで数々の援助を行っている。生活のためにタリバンに参加する人々に職業訓練をする。兵を出すばかりが支援とは思っていない。

* * * * *

確かにありきたりの質問ばかり。これぞと光る切り口はなかった。

「岡田さんにTシャツを贈ったので、これから次に来る大臣にも贈るのですか?」と担当者は心配そうだった。「記者会見を内外メディアにオープンにした大臣にだけ。後は亀井さんぐらい」と答えたが、その亀井静香郵政改革担当相は既に予告された記者会見をキャンセルしてしまった。藤井裕久財務相もぎりぎりになって会見を延期。(※) 所属記者クラブの担当者が司会する“安全な”日本の記者会見と異なり、特派員協会の記者会見は内外のワーキング・プレスが自由に360度の角度から質問する公人にとって危険な場所でもある。 日本を代表してグローバル社会に率先して発信する岡田克也外相の活躍に、今後とも国際メディアの注目が集中するだろう。


※編集部注:藤井裕久財務相の記者会見は10月27日に再予定された。

2009.10.26 掲載



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