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第44回 福島みずほ 社民党党首講演

特派員協会では、このところ衆議院議員選挙を控えて自民、民主、公明などの政治家の講演が続いたが、バケーション中の記者たちも多く、今一つ参加者数が伸びなかった。

8月13日午後に予定された福島みずほさんの講演会も当初は集まりが悪く、休暇中の筆者も同僚たちに呼びかける緊急事態だったが、開会直前ドッと内外の記者が会場に詰めかけ、満席となった。国会記者クラブ所属の記者以外にも「隠れみずほファン」がマスメディアには多いらしい。


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社民党党首 福島みずほ氏
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父上の出征時に級友が署名した日章旗

「さよなら自民党政治、こんにちは新しい政治」

福島みずほさんは「平和と生活再建のために自民党の利権、好戦政治から決別する。日比谷公園の派遣村を見て、派遣法の改正を提案したのも社民党であり、民主党の政策に社民党の命と緑を大切にするhuman new dealの考え方を取り入れさせたい」と語った。

オバマ大統領の核兵器廃絶へのスピーチに感激し、「広島・長崎の原爆を経験した日本の政治家こそ、この問題のリーダーシップをとるべき。社会党前党首、土井たか子さんから政治家になるよう説得された時も、国会に憲法9条を変えない政党が必要と感じて受けた」と、自らの政治の原点を説明。

また、戦争と平和の問題に関して、前日熊本から届いた福島さんの父上への武運長久を祈る日章旗が披露された。父上の特攻隊入隊に際して同級生一同が署名したものである。熊本在住の親戚から記念に受け取った硫黄島生き残りのGIが「本来の持ち主に返して」と米国からおくりかえしてきたものだという。


会場からの質問

AFPフランス通信:海賊対策は?
福島:サマリア沖の海賊対策は自衛隊より海上保安庁があたるべき。

台湾通信社:自民党が崩壊せねばならない理由は?
福島:政官業の三者の癒着で国民の生命を大切にしない。

メディア・リポート:北朝鮮の核と拉致問題の解決は?
福島:北東アジア比較地域構想を実現したい。拉致問題は日朝と六カ国会議の両方から解決したい。

ドイツ人参加者:社民党の女性候補者は?
福島:候補者の3分の1は女性。ドイツの政党と同じく、社民党はクォター制度をとっている。

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モンズル・ハック会長(司会)、福島みずほ氏、高松通訳、渡辺副会長(右より)

"The girl is a nice neat package" (小柄だが魅力的だ)というアメリカ人の記者に「それはセクハラ・コメントじゃない?」と指摘する筆者に「テレビではいつも怒った顔しか見ていないから、実物を見て好感を持ったのだ」と逃げた。

それにしても外国特派員クラブで講演するならマニフェストは日本語だけでなく、英語版も用意すべきだと思ったが、戦後64年もたつのに外国特派員たちがいまだに英語で取材しているのも、プロとしていささか情けない気がする。

2009.8.20 掲載



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