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そこで、日本社会と政治批判が得意なプレス・クラブの男性特派員たちに小池問題の焦点と感想を聞いてみた。 パキスタンの「ドーン紙」特派員のモンズル・ハック氏は日本のメディアの「喧嘩両成敗」的な報道に納得がゆかないという。「防衛大臣と防衛事務次官は対等ではない。自衛隊も軍隊である以上、事務次官も上官である小池大臣の命令に従うのが当然。裏に回って有力な政治家に工作するのでは満州事変以前の軍部に戻るのではないか?」 メルケル首相をトップに頂くドイツの「フィナンシャル・タイムズ紙」特派員のマーティン・コーリング氏は事務次官が大臣を差し置いて自らの後継者を選ぼうとするのは軍隊のシビリアン・コントロールの原則を逸脱しているのではないかと懸念する。 「官僚でなく政治家が責任をとる。ドイツでは軍隊の命令系統は厳格だ。メルケル首相は女性だが、上官の性別は関係ない」 両者ともイスラエルのメイヤー元首相、インドのガンディー元首相、パキスタンのブット元首相、フィリピンのアキノ元大統領等が軍部を指揮下に置き、アロヨ現大統領が軍部を掌握しているのに比べて、日本のメディアや防衛省には女性蔑視が未だに蔓延っているのではないかと観察している。 確かにテレビのニュースでは「携帯電話に事務次官が出なかったという危機管理上の極秘情報を公表するとは防衛相の資格がない!」「大臣なのに部下への根回しも出来ないのか?」「マダム・寿司でなく、権力に擦り寄ってくるくる廻る回転寿司だ」など女性防衛相に対する男性コメンテーターは感情的だった。 一方、プレス・クラブの女性会員や女性社員に感想を聞くと「就任早々ライス国務長官に会いにゆくなんて行動力が凄い!」「パキスタン大統領とテロ対策を論じるなどカッコいい!」「事務次官も官房長官もメディアも男のジェラシーよ!」と小池人気は衰えない。 もっとも男性特派員の中でも英国「ガーディアン紙」のジャスティン・マクカリー氏のように「She is selfish, (彼女は自己チューだ)」と一言で切り捨てる記者もいる。彼の焦点は自衛隊の組織論でなく、小池個人の品格論だ。 さて、いまや「前」が付く、小池百合子前防衛相は近い将来、カムバックできるのだろうか? 次の衆議院議員選で改めて真価を問われそうだ。(おわり) 2007.9.3 掲載
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