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第24回 リッツ・カールトン東京オープン
      サイモン・クーパー本社社長会見


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サイモン・F.・クーパー リッツ・カールトン社長(右)と
リコ・ドウブランク 東京総支配人

特派員はホテルが好きだ。世界各地を巡る職業的トラベラーなのでホテルの評判はよくバーでの話題になるが、リッツ・カールトン・ホテルグループのサービスに関しては今まで不満は聞いていない。 そのリッツ・カールトン東京(六本木防衛庁跡地の東京ミッドタウン)3月30日オープンを前に、サイモン・クーパー本社社長がリコ・ドウブランク東京総支配人を伴って記者会見を行った。


ホテル成功の三要素

ホテル業のベテラン、クーパー氏は「格安チケットで混乱を招いている航空業界とは異なり、現在ホテル業界は高級志向が進んでいる“適切なロケーション、製品としてのホテル、ホスピタリティーに富んだLadies & Gentlemen”がホテル成功の三要素です」と話した。リッツ・カールトンでは独特の人事哲学で日常的に従業員をEmployeeではなく、“Ladies & Gentlemen”と呼んでいる。

昔のリッツ・カールトンの高級イメージはダークなインテリアで男性ビジネス顧客相手であったが、現在の内装は明るく「カジュアル・エレガント」で顧客も家族、個人客などバラエティーが広がっている。六本木というトレンディーな場所で、製品としてのホテルはホール、宿泊室、レストランなどそれぞれ異なるデザイナーの手によるインテリアで日本人、外国人の趣向を先取りしたという。


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サイモン・F・クーパー社長

「人柄」は訓練では身につかない

クーパー社長が強調したのはリッツ・カールトンのホスピタリティー(おもてなし)の質の高さ。

リッツ・カールトンのモットー「私たちは紳士淑女にサービスする紳士淑女です」は世界中のホスピタリティー産業では広く借用され、日本でもレストランやスポーツ・クラブに麗々しく張り出されている。

クーパー氏はこのモットーは「実行するのが」が肝要だという。

顧客に召使として奉仕するのではなく、「紳士淑女」として顧客と対等な立場でおもてなしをするためには、まず従業員の「タレント(人柄)」が問われるが、「人柄」は研修で身につくものではない。そこでこのホテルでは採用時に応募者を見極めることに十分な時間をかける。その上で十分な研修を行うシステムとなっている。

「企業のリーダーシップ講習会に講師として招待された時、謝礼が多すぎるのでトイレ掃除係、ルームサービス係、ベル・ボーイの紳士淑女(従業員)三人を同行した。会場からの質問に答えてベル・ボーイが「もともと私が持っていた人柄を引き出したのがリッツ・カールトンだったと胸を張った」というエピソードも披露した。

今回の東京のオープニングには、世界中のリッツ・カールトン・ホテルから80人の部門長が来日し、2週間に渡って従業員を集中訓練した。東京総支配人はリッツ・カールトン大阪を日本のトップに押し上げたリコ・ドウブランク氏である。

会場から「次のホテルの目標地は?」と質問されてクーパー氏は「KYOTO…KYOTO KYOTO」と答えたが、京都の旅館のおもてなしにリッツ・カールトンのおもてなしが加われば、日本観光に新しい魅力が加わることになろう。

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ホテルスタッフの人柄と研修について質問する筆者

「一泊7万円は高いね」と批評する英国からの特派員にその隣の若い日本女性が「感動するサービスを受けるには感動する値段を払わねば」と平然とコメントした。ビジネス・ウーマンの可処分所得は富裕層並なのか?

東京高級ホテル戦争最中の記者会見であり、会場には既存の帝国ホテル、フォー・シーズンズ、秋に特派員クラブの正面に開店するペニンシュラ・ホテルの支配人たちの姿も見られた。

2007.4.6 掲載

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