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第20回 皇統継承問題パネル  愛子様か悠仁様か


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左より倉田、所、松崎の各氏。一番右は渡辺(主宰)

この11月ご皇孫二人には大きな行事があった。
まず11日には皇太子ご夫妻の長女愛子様(4)の「着袴の儀」。民間の七五三にあたるもので、儀式の後は袴姿の正装で皇居を訪れ賢所仮殿に参拝された。
また、14日には秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまが生後70日目で一般のお宮参りに当たる「賢所皇霊殿神殿に謁するの儀」として同じく賢所仮殿に参拝され、その後両陛下と正式に対面する「初後参内」が行われた。

特派員協会ではこれに先立って、このほど改めて皇室問題専門家を招いて皇位継承問題の記者会見を行った。報道委員会の狙いは、日本のマスメディアが暗黙の了解で未だにタブー視する皇室問題の核心に外国特派員ならば詰め寄れるのではないかという点にあった。事務局から急に連絡を受け、筆者が主宰することとなった。

パネリストは皇室典範専門家で京都産業大学法学部教授所功氏、ロイター通信や共同通信特派員としてロンドンやパリに駐在し「世界の王室の真実」の著者である倉田保雄氏、それに『女性自身』創刊以来、美智子妃報道を皮切りにずっと皇室報道を手掛けてきた松崎敏弥氏の三氏である。

しかし、松崎氏と倉田氏が主宰者の公平に割り振った時間内で淡々とコメントし、また所氏の皇位継承に対する熱意の前に遠慮がちなのに対して、氏は「一言だけよろしいですか」「チョッと追加を」と発言を繰り返し、主宰者として「一人パネリスト独演会」に流れないよう調整に気を使った。

側室制度の復活を?!

所氏は歴史家法制問題の専門家として、国民統合の象徴としての天皇は皇室典範により皇統を受け継ぐ男系男子が望ましいと述べた。所氏によれば皇位継承の問題は50年後を見据えて考えなければいけない。皇室には秋篠宮誕生以来41年目にして始めて男子、悠仁親王が誕生した。しかし、現在の皇太子が天皇となり在位30年と仮定すると、皇室典範に従って悠仁親王が皇太子となるのは50年後。この50年間は秋篠宮家の親王であって次の皇太子でもない。

彼の提案は、男系男子を重んじて皇族間の養子制度を認める。つまり現在の皇太子にご長男が生まれなければ皇太子の養子とし、次の世継ぎになるよう法律を改正するというもの。

また、125代天皇中、約半数は側室の子であることを考えれば、側室制度復活も必要ではないか、更に史上八人十代の女性天皇の存在を考えれば、男系女系の女性天皇へ制度を広げておく。更に若い皇族が少ないことを考え、将来のために皇族に生まれた子どもには男女を問わず「帝王教育」をすべきと主張した。

ベテラン通訳高松珠子さん(高松宮家とは無関係)は「側室」の翻訳に色々頭をひねり、最後に“Official concubine”(妾;一夫多妻主義国での第二夫人以下の妻)と正確に英訳して会場の失笑を誘った。

皇室報道で部数アップ

創刊当時の『女性自身』に入社した松崎氏は、他の女性誌がミッチーブーム(美智子妃殿下を取り巻く話題)で部数を伸ばしたのに驚いたという。そこで女性自身も次号から皇室問題を取り上げると急激に部数が伸び、皇室に寄せる若い女性の憧れを体感したという。

今回も秋篠宮第三子誕生で小泉首相の皇室典範改正が中断され、日比谷公園での「祝う会」では副官房長官が前政権の「皇室典範に関する有識者会議」の答申には拘束されないといっている。ミッチー以来、最年長の皇室問題ジャーナリストとして今尚現役で活躍しているが、このパネルではむしろ”It’ a boy!” と大きく取り上げた海外メディアの反応を聞きたいと短くコメントした。

ヨーロッパの王室は全て親戚同士

ロンドン、パリ駐在の長い倉田保雄氏は、英国、オランダ、ノルウエイなど全ての王室が親戚関係にあり血縁婚姻で深く結びついている、と万世一系ならぬ万世多系の系図を会場で掲げて見せた。

エリザベス女王を始めとして、ヨーロッパの王室はメディアに対して打たれ強く、「菊のカーテン」で王族を覆う必要もない。民間との交際も自由で ダイアナ妃の忘れ形見ウイリアム王子は同級生の才色兼備のケイト・ミドルトンさんとクラレンス城で同棲中だが、女王もメディアも改めて騒ぎ立てはしない、と説明した。

特派員たちとの質疑応答

——皇太子に男子が生まれない場合、皇太子は皇統継承に対する権利を放棄して秋篠宮に地位を譲るべきではないか(イタリア イル マニフェスト特派員) 
松崎:国民の中には皇太子でなく秋篠宮に皇位継承が移っていくのではないかとの懸念もある。

——皇族の子女に対する適正な教育とはなにか(フランス AFP通信記者)
:皇族たるものの心得を身につける最高の帝王教育。

主宰者の筆者が最後に三氏に質問した。
「天皇家が日本の文化の象徴と継承者なら、政治的に雑音の多い東京を離れ、京都御所に住まわれたらどうか」

:明治時代以来、天皇が東京(首都)にいることが必要。精神的シンボルとして東京にいるべき。しかし京都御所も皇居で、皇宮警察が守っている。

松崎:東京を離れ京都御所にしばらくご滞在されてもよいのではないか。皇統継承がいつも話題になるのでは皇室にとって安定感がなくなる。

倉田:英国王室の場合、エリザベス女王はロンドンを離れないが、各地に静かな城がある。滞在されている城がその時の王室の住所。

メディアの定説では日本人の95%以上は「セレブリティー」としての天皇家以外には無関心で、本当に関心のあるのは5%という。ただしその5%のうちの95%は熱狂的な天皇論者という。

「今回の悠仁親王ご誕生報道騒ぎは、右翼の厄介な攻撃を避けるためのメディアの褒め殺しじゃないの」
パネル終了後に大手新聞のデスクが筆者に告げた。

2006.11.14 掲載

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