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第19回 米国産牛丼解禁
      吉野家D&C社長 安部 修仁 氏 記者会見


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牛丼を毎日食べても太らなかった」と説明する安倍氏を見つめる主宰のダン・スローン氏

狂牛病(BSE)問題で2年7か月に渡った米国牛肉の禁輸が解除され、吉野家は晴れて看板メニューの牛丼を9月18日ランチ・タイムから再開した。内外の英字紙では、復活した吉野家牛丼を取材するカメラマンの熱狂振りと日本消費者連盟役員の危惧表明を報道するなど特集を組んだ。

米国産ステーキ・ファンの多いクラブでは牛肉の売り込みに熱心な米国大使クリストファー・シーファー氏を招いて料飲委員会が9月24日米国牛料理のサンデー・ビュッフェを催すなどとはしゃぎ気味だったが、報道委員会でも吉野家社長安部修仁氏を4年ぶり2回目の記者会見に招いた。

牛丼コスト 日本は米国の三倍

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米国牛のセールスに熱心なトーマス・シーファー米国大使

「社内では色々対策を立てていたものの、これほど禁輸が長引くとは思っていなかったのでやっと安心した」と笑顔を見せた安部氏は、吉野家の12月からランチタイム限定全店で牛丼を出せるニュース、中長期的な展望、海外戦略など短く説明し、後は質問に答えたいと余裕の表情であった。記者会見は、従って、講演後質疑応答という普段の形を取らず、質問に答える形でのフリー・トークが続くことになった。

エドウィン・カミオール(フリーランス):米国牛の脂肪率はオーストラリア牛より高いのではないか。
安部:米国産20ヶ月若牛ショート・ブレードが吉野家の牛丼顧客のテーストにピッタリ。これ以上脂肪を削り取ると牛丼の牛肉にならないギリギリまで枝肉から脂肪を取っている。穀物肥育をしても草食が基本のオーストラリア産の牛肉の脂肪率では、日本の吉野家の味が出しにくい。吉野家ではそれぞれの国情もあり、マレーシア、オーストラリアではオーストラリア産の牛、中国では中国産を使うが、香港、台湾は米国産、但しスチック状にしたソースと玉葱の糖度は世界共通。米と他の野菜は現地調達。

真理子・サンチャンタ(フィナンシアル・タイムズ):日本店と海外店の調達コストの差、 消費者の不安の解消策は。
安部:牛丼用牛肉のコストは日本では米国の3倍、香港・カナダの2.5倍。消費者の米国牛と吉野家の牛丼についての不安は、それぞれユーザーの中で時間をかけて払拭される。来年には牛肉を使用する小売店が増えるのではないか。既に方々から出店依頼が入っている。

内外販売戦略については今後5年間には国内の直営店、フランチャイズを合わせて二千から三千店、海外では汎太平洋地域を中心に、カルフォルニア、ネヴァダ(ラスベガス)中国沿岸部などに販路を拡張してゆく計画という。

世界中に販路を伸ばしたマクドナルドの経営と販売促進技術はビジネスモデルとして手本としてきたが、「吉野家の牛丼は吉野家の牛丼としてそれぞれの拠点を拡大して世界各地に売り込む」と胸を張った。

吉野家は女性客を獲得できるか?

女性にとって吉野家といえばR25世代の男性がカウンターに群がって丼をかき込むイメージがある。ところが禁輸や解禁のニュースがメディアに大きく取り上げられて以来、牛丼の手軽さと値段を知った女性客がチラホラ店に姿を見せるようになった。

そこで筆者は女性客獲得作戦と、スリムな体系を維持している阿部氏が何回牛丼を食べているのか質問した。主宰のダン・スローンが「週に何回かと訊いている」と念を押した。

安倍:女性客が店に入りやすいように女店員を増やしている。スーパーバイザーや店長時代は毎日牛丼を食べていたし、今も三日に一度は食べているが(ダイエットは)大丈夫です。

しかし、クラブのアスリートでもあるダンは、この証言にはちょっと疑問がある様子だった。

さて、吉野家の旗艦有楽町店は特派員クラブから徒歩2分、JR有楽町駅のガード下にある。筆者も全館牛丼単品ランチという11月1日に出かけてみた。20人掛け馬蹄形カウンター4本と壁際のカウンター約90席の店内に女性の姿が6人! 筆者の見た最高記録である。全国紙やテレビで紹介されたクラブでの記者会見の効果が早速出たらしい。因みに牛丼並盛380円。銀座有楽町界隈で一番お値打ちのランチではなかろうか?

2006.11.3 掲載

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