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第13回 横浜型の学校特区を
      再選された中田宏横浜市長 自治体経営と学校教育を語る


この春、圧倒的得票で2期目の再選を決めた横浜市の中田宏市長が4月にプレスクラブを訪れ、横浜市の自治体経営の成果、国際的プロジェクト、学校教育観などを語った。

健全経営でG30からG8へ


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講演の冒頭部を英語で挨拶し、「マリナーズの城島捕手より少し上手いはずだ」とプレスの笑いをとった中田市長は「これから日本語で話します」とリラックスして続けた。

4年前、現職を破って37歳の若さで横浜市長に当選した中田氏の最優先課題は自治体の健全経営だった。6兆円あった横浜市の借金を返済し、今年度から財政的には黒字となると胸を張った。
  「サッカーW杯を開催した横浜スタジアムは年間の維持費が8億円。問題はどうやって赤字を少なくするか?」
  彼のビジネスモデルはネーミング権を企業に売ること。日産自動車に4億7千万円で売り、後の3億は貸しスタジアムで稼ぎ、不足の3千万はスタジアム職員の自助努力で賄うというもの。

交通機関の表示も「日産スタジアム」となり、バスも「日産スタジアムにお越しの方は こちらでお降り下さい」とアナウンスするので日産にとってもCM効果抜群の知恵。ただし、年に1度の「Toyota Cup」の時は看板に布をかける」とまた会場を笑わせた。

人員削減と特殊手当ての見直し、官業民業の役割分担。なかでも官民協力のG30作戦は2010年までにゴミを30%減らそうというものだったが、ゴミの分別と再利用によって昨年中に32%まで減少したという。
  「最初市長に当選した時、都会人は大量消費、大量廃棄に慣れているので無理だと言われたが、ゴミ焼却炉は今や7機から5機に減り、2機分1100億円の改修費が浮き、市民への大きな自信となった」

中田市長は横浜市の開港150年記念の節目を控え、G8サミット誘致を計画している。
  「競争相手は神戸、大阪、京都の関西連合だが、G30で培った国際都市横浜市の秘策を近く発表する」と述べた。

横浜型の学校特区を

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父親として現役子育中の中田市長は少子、国際化の流れの中で、現在の学校制度による「全国一斉のくくり」は無理だという考えを示した。「子どもの個性、地域の特殊性はそれぞれ異なる。私は野球部で精神的肉体的な成長を遂げたが、囲碁や吹奏楽などで個性を伸ばす子もいる。少子化の中で多様な学校を作ることが必要。フリースクールが国の方針と異なっていても、横浜型の教育として必要ならば国に学校特区を申請することを考える」

欧米プレスの質問に答え、松下政経塾生、小池百合子代議士(現環境相)の秘書時代から「社会変革のためには理屈をいうのではなく、良いモデルを作る」ことを考えていた。「横浜は日本のため、世界のために良いモデルを作り続ける」と結んだ。

身長184cm、背広を通して筋肉が感じられるイケメン中田宏市長はいままでプレスクラブを訪れた日本人政治家の中で抜群にカッコよく、「業績が具体的だし、スタイルもG8のトップと並んで引けをとらないね」。いつものようにバーに集まった特派員仲間の評価であった。

2006.4.26 掲載

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