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「小泉チルドレン」「女性刺客」など今回の衆議院議員選挙で立候補した新女性議員は日本のメディアから芳しくないニックネームで呼ばれていた。しかし大人のしかもそれぞれの専門分野で国際的に活躍する女性実力派を画一的に「チルドレン」「刺客」呼ばわりするのはメディアの怠慢。外国特派員協会では会長のダン・スローンが今回昼食記者会見に現れた三人の女性議員を「小泉パートナーズ」として紹介することになった。 クラブの特派員たちは三人の議員にはそれぞれ前職の軍縮大使、財務省官僚、エコノミスト時代にインタビューを重ねてきたこともあり、今回は言わば「凱旋会見」のような祝祭ムードであった。 AKライフルを焼却するのは女性「今回の衆議院議員選で16名の新人を含む26名の女性候補は全員当選。小泉さんは最もジェンダー(社会的文化的男女平等)意識のある総理大臣です」猪口邦子さんは国際派らしく正々堂々とボスを持上げて先ず満場の笑いをとった。 上智大学教授(政治学)からジュネーブ軍縮会議日本政府代表部大使としてリーダーシップを発揮した猪口邦子さんは小泉首相に求められたとき、30年の政治学者としてのキャリアを生かし、若者育成、国際平和への貢献、男女平等のために活躍できるのは今だ、と決断したという。 一般に世界の紛争解決の担い手は男性と考えられているが、「結果が分れば女性の方が力になる」小型火器放棄が国際社会からの援助につながり、子供たちの学校や病院の建設に結びつくと分ると「女性たちがそれぞれの自宅から何丁もAKライフルを引きずり出し、村の広場に積み上げて火をかけた」 世界中に政治家、行政官の友人が片山さつきさんは行政官としてのキャリアを説明した。東大法学部卒業後財務省に入り、シラクフランス大統領も卒業したENA(フランス国立行政学院)に留学派遣された。16カ国から派遣された官僚たちと切磋琢磨し、その後もコンタクトを保っている。財務省官僚経歴としては予算・財務、銀行・証券、国際関係の三セクションを経験。宮沢内閣ではG7の事務方シェルパチームで女性初の専門スタッフとして働いた。公務員数削減、年金の統合、医療費削減、国際条約改定のために尽力したいという。 また、防衛予算の専門家として沖縄に偏る基地の配分見直しを提議し、エネルギー問題では日中石油採掘論争を感情問題から脱却させて経済課題として冷静に考え、両国が共同で開発にあたるべきだと述べた。 ソフトに謙虚に所要のため半時間ほど遅れてヘッドテーブルに着いた佐藤ゆかりさんは昼食もろくに食べないまま、小型のノートのメモを片手に聴衆に向かった。先行の二人がしっかり原稿を用意して演説調で講演したのに比べて、普段の会話と同じ口語体の話しぶりであった。 三位一体の改革、なかでも地方行政の改革と経済活性化、日本のODAを利用しての世界の貧富格差の是正など大問題をソフトな口調に包んでしっかり伝えた。 ところがソフトな口調と反対に切り開いた経歴はかなりハードだ。佐藤さんは上智大学入学以来、政治家を目指し、コロンビア大学を経てニューヨーク大学院で博士号をとるまで、パリ大学、ジュネーブ大学にも短期留学してアジアの開発経済と政治学をなんと14年間も学んだ。外資系証券金融会社であるクレディ・スイス・ファースト・ボストンの経済部長の職にあったときもずっと政治家志望は変わらなかったという。 私たち三人がジェンダー バッシングを許さないこの会見の前日、国連人口基金は世界人口白書を発表した。それによると世界で読み書きできない人の3人に2人は女性。難民の八割は女性と子どもであり、他の調査でも貧困状態にある人々の七割は女性という。この悲惨な状態から逃れるカギは「ジェンダー イコーリティー」(社会的文化的に形成された男女性別の平等)という。 ジェンダーという言葉は国際機関で使われだし、1995年北京女性会議以来、日本でも国や地方の行政機関、大学、女性センターなどで使われている。 1996年には男女共同参画社会基本法が制定され、その5年ごとに見直される行動計画は来年が改定される予定になっている。ところが「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」(安倍晋三座長)はジェンダーという言葉を削除するように求めてきた。 ジャーナリストも政治家も言葉の使い方には神経を使うプロである。筆者はそこで3人に「ジェンダー」という言葉を使うかどうか、基本法を読んだかどうか、ジェンダー・バッシングをどうすれば防げるのか質問した。 猪口議員は講演の中で何度もジェンダーという言葉を使っており、基本法は「私が創ったものだ」片山議員は「ファミリー・バリュー(家族中心主義)とジェンダーが相反するものとされているのは残念。両者は補完すべきだ」佐藤議員は「ジェンダーは中立的な言葉として認識している。ジェンダー問題はこれから勉強します」 ここで猪口議員がもう一度発言した「そうだ、防ぐ方法ですね。我々新議員3人が団結してジェンダーバッシングを許しません!」元気な発言に会場のそこここから拍手が沸きあがった。 2005.10.25 掲載
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