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「チグリスとユーフラティス。偉大な二つの川を持つ文明国イラクは、世界最初の法典ハンムラビ法を制定した平和国家です」 国連の査察ではイラクには大量破壊兵器は既に存在しないと証明されたのにもかかわらず、ブッシュ大統領は戦争を仕掛け劣化ウラン弾をイラク全土に落とし30万人のイラク人を殺戮した。電気、水道が切られ、病院も破壊されたため、助かる命も亡くなっている。なかでも劣化ウラン弾の後遺症で、ベトナムの枯葉剤後遺症と似た奇形児が一万人以上生まれているという。マジード氏は後頭部が異常に膨らんだ赤ん坊、腕がなく肩から指が生えている子どもの写真を見せた。 「クリスチャン・サイエンス・モニター紙のスコット・ピーターセン記者は落とされた劣化ウラン弾のかけらが散乱するバクダッドの商店街ではガイガー計数計が通常の1000倍を示すのに子どもたちはそのかけらを拾っておもちゃにして遊んでいるとリポートしている」 「サマワの被爆率は高い。オランダ軍がサマワを撤退したのは、実は劣化ウラン弾による汚染が異常レベルに達しているからだ。占領軍による検査は結果がすりかえられるので、真正な組織による調査をしたい。日本にサマワ地域の検査をサポートしてほしい」 またマジード氏は、サマワのリーダーが自衛隊の撤退を求めているのに、日本政府がこれを公表していないのがおかしいという。自衛隊のサマワ「占領」は米、英など他の占領軍の占領とは異なるように見えるが、武装しているので「占領は占領」。 テロ VS レジスタンス記者たちの質問に彼は「炎の前線」は政治啓蒙団体であり、武装闘争はしないと答えた。国外からのアルカイダ系による無差別攻撃、ザウカウイ氏指導による誘拐、爆発はテロであり、イラク部族による占領軍とそのグループに対する武力闘争はレジスタンスであると冷静に区別した。ところが「フランス人記者を拉致したのはなぜだ」という質問には急に赤いダイアルの時計が目立つ腕を振り回し、「カメラに米軍指揮者が残っており、スパイ容疑で検挙した」と興奮して怒りをあらわにした。それまでの穏やかな態度の急変に満場はショックをうけたようだった。 「ファルージャ市民は囚人である。市を出入りするのに許可が要り、友人知人は訪問も禁止されている。自由への道は血塗られている。新政府は米国によって作られたものであり、我々は戦い続ける。日本人には物質的な援助より精神的な支持を求めたい」と最後にアピールした。 真実と子どもと女性一方、イラク駐留米軍は憲法国民投票阻止を宣言するアルカイダ系や自爆テロを繰り返す過激派に対して、2500人の米軍を投入する壊滅作戦を10月4日開始した。これに対して、スンニ派武装勢力も報復を更に強めるのは明らかだ。12月に予定されていた日本自衛隊の撤退もいつまで先送りされるのか、小泉首相はブッシュ大統領の指示待ちのようだ。 パウエル前米国国務長官は国務長官辞任後に「国連でイラクに大量破壊兵器があると認めたのは私の生涯最大の誤り」と告白した。いつの時代でも戦争で犠牲になるのは先ず真実と、次は子どもと女性である。 2005.10.12 掲載
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