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第4回 The Japanese Spa 「温泉は暖かい瞑想の場」


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「the japanese spa」出版記念パーティーには伊豆のThe Okami会代表も参加

「すっぽりと靴を脱ぐ。爪先から温かいお湯に身を滑らせる。温泉という名の瞑想の場に心をゆだねよう」。著書から引用した名コピーに魅了されたのか、このほど特派員協会で開かれたエリザベス・ブルックさん(文)関 昭彦さん(撮影)共書の"the japanese spa"(日本の温泉)の出版記念パーティーは近頃にない盛況となった。

また、伊豆の温泉旅館グループからはThe Okami会代表の和服姿の特別参加もあり、外国人会員の日本の温泉文化に対する関心を更に深めたようだ。

東西の出会い

エリザベスさんはニューヨーク社交界向けのレジャー雑誌「タウン アンド カントリー」誌の元編集者でアートやトレンディーなリゾート取材が専門。連れ合いのジムさん(ニューヨーク・タイムズ紙特派員)の赴任に伴い家族で東京に滞在、NHKやインターナショナル・トリビューン紙のフリーランス記者として活躍している。

関さんは伊藤忠の商社マンとして航空機や通信衛星の営業で世界を舞台に活躍したが、第二の人生にリゾート・カメラマンの道を選び会社を早期退職してバリ、プーケットなどアジアのリゾートを写真集で紹介。この二人の出会いがカーター米大統領訪問で有名な伊豆の清流荘からギネスブック公認の世界最古の宿、小松市郊外粟津温泉法師まで28軒の格式ある旅館と温泉を紹介する「japanese spa」(タトル出版)を生み出したのである。

いかにも「タウン アンド カントリー」誌のタッチで温泉を禅と侘び寂びで語るエリザベスさんの文章と「家庭画報」調の関さんの贅沢な写真でリストされた旅館の料金は一泊(二食付)三万円以上のクラス。従って本代も特派員クラブ会員割引きで二千五百円という高価なものに設定されている。

エリザベスさんは湯桶を演壇に飾り、物静かに瞑想ができる日本の温泉の魅力を語った。なかでも鹿児島の雅叙苑は都会人が大地に帰る、時間を忘れる楽園であり、特に離れの野外温泉のデッキで霧島連峰を眺めながらヨガをするのは「至高の贅沢」と話す。

また外国人に人気のあるのは家族風呂で、これはヨーロッパにはない日本だけの特色。近年温泉旅館が女性の一人旅を歓迎するのも望ましい傾向と旅館の経営も褒めた。

日本最高の温泉旅館

関さんはスライドで名旅館を紹介。個々の質問に丁寧に答えた。

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「温泉は思索の場」共著者のエリザベス・ブルックさん(解説)と関 昭彦さん(撮影)、渡辺晴子(主宰)

ホテルとゴルフ・クラブの買収で日本庶民にも有名になった金融投資会社ゴールドマン・サックス社員の「温泉旅館の選び方は?」には「借金をしていない小さな旅館を選ぶこと。湯布院や黒川温泉のような地域の特徴を生かした場所がよい。90年代にバブルに浮かされ巨大化したホテルは問題がある」とアドバイス。

ゲスト会員の「外国人はマナーが悪いので断られないか?」に対してエリザベスさんは草津の奈良屋では漫画で入浴の仕方を展示し、京都の柊家(温泉旅館ではない)は詳しく説明してくれる、外国人も旅館に歓迎されると伝えた。

温泉通のビジネス・ウイーク誌ボブ・ネフさんからは秋田の秘湯「鶴の湯」を紹介する写真が秋景色になっているのを発見して「冬の雪景色がベストではないか」と鋭い指摘。

トラベル・プラン(国際航空時間表専門誌)コラムニストのヘンリー・スコット・ストークスさんに日本最高の温泉旅館を尋ねられるとエリザベスさんは間髪をいれず「鹿児島の雅叙苑の離れ!」と返事。

一泊15万円だが"It's worth the money."(払っただけの値打ちがある)という説明に
「普通の値段の推薦宿は?」と再質問。

出版パーティーで盛り上がった特派員たちは今秋、伊豆温泉にプレス・ツアーを組む。宿代の方だがThe Okami会の協力で特派員の給料でも賄える特別団体料金となる。

2005.7.20 掲載

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