第2回 女性専用車両 −日本女性は「弱い?強い?コワイ!」−
痴漢被害者数日本最大のJR埼京線に加えて、首都圏に乗り入れる私鉄、地下鉄10社にも女性専用車両が5月9日の通勤時間から登場し、 黄金週間ボケになっていた男女の会社員、学生たちを改めて驚かせたようだ。
「女性だけだと安心して乗れます。いままで痴漢されても声を出すのも怖かったので」と喜ぶOL風の女性。 「不心得者がいるので専用車も必要なのではないでしょうか」真面目に答える初老のサラリーマン。
「女性だけが優先されるのは同じ料金を払う男性に対して不公平になるのでは?」女子学生。 「通勤列車の混雑具合をしっかりモニターして専用車の今後を考えます」と慎重な姿勢の京王線の駅長さん。
NHKや民放の朝のニュースなどでは女性専用車両の出現は概ね好意的に取り上げられた。
常日頃、内外の要人を記者会見に招き、国際社会と日本の現状を個性的な切り口で報道する特派員たちのテーブルもこの話題で盛り上がった。 ただし人気を集めたのは、「女性専用車の目的は女性保護ではなく、弱い日本の男性を守るためのものである」という珍説である。
その根拠は日本では女性が近年急激に強くなり、弱い男性は痴漢行為という匿名性の中でしか女性にたいする心情を表現できなくなったというもの。 ロリコン殺人、援助交際が増加しているのも同年代女性の知力体力向上についていけなくなった男性の叫びだ、というものだ。
「欧米の男性は優れた女性がいれば率直に賛美し、愛することが出来る。ところが甘えたまま育った日本の男性は幼児性が抜けず、 自分より優れた女性に劣等感を持つ。彼女らを恋愛の対象として考えられないのではないか?」
女性NGO VS NHK
続いて話題となったのが、日本女性NGOの執念の強さ。NHKというメディアの大海に小石を投げ、 その波紋がキッカケとなって内外メディアによるNHKスキャンダル報道が広がり、ついにはNHKのドンともいうべき海老名勝二会長の辞任と75万件
(4月現在)の視聴料未払いという大津波を引き起こしたVAWW−NET Japanである。
2005年度NHK予算を前年度より72億円もカットさせた視聴料不払い運動の原点の一つとなったこのNGOは、 今なお東京高裁でNHKと闘争中で代表者は右翼のテロを避けて身を隠しているが、日本メディアはなぜかこの件についての報道を避けているようだ。
そもそもこのグループは戦時下における性犯罪、従軍慰安婦に対する日本の責任を追及するため、 朝日新聞元編集委員故松井やよりさん他の日本のフェミニストが組織したものである。
この団体が招聘した国連クラスの国際人権専門家らによる2000年東京で行われた模擬裁判は、元日本兵士、朝鮮人従軍慰安婦の証言などを検証し、 昭和天皇を有罪と断じ日本政府に対して従軍慰安婦に対する賠償を求めた。
この模擬裁判は海外のメディア、日本の英字紙などで詳しく報道され、NHKのマゴ受け制作会社は企画当初より主催者に密着して裁判を記録していた。
しかし、2001年NHKで放送されたドキュメンタリーを見て、 「当初合意した裁判の意味を伝えず自民党政治家による検閲をうけ、重要部分がカットされた」と怒ったVAWW−NET は東京地裁に訴えた。
地裁の判決は、「制作者はNGOに対して賠償すべきだが、発注者であるNHK子会社とNHKは放送法で定められた編集権がある」というものだった。
その後、ドキュメンタリーを発注した子会社のチーフプヂューサー永井暁さんのカットされたドキュメンタリーに対する涙を流しての記者会見があり、 NHK内部の経費不正請求などのスキャンダルも堰を切ったようにあふれ出て次々と報道された。
また政治介入についてのNHK VS 朝日新聞の論争も多くの視聴者のNHK離れを誘った。 ただし、社民党女性党首の福島みずほさんは「視聴率を気にしないNHKでしかできない放送がある。
不払い運動より、公共放送としてのNHKに自らの改革を求めたい」と主張している。
女性はコワイ?
「大新聞や民放が束になってかかっても勝てないNHKと対等の勝負をする日本女性を専用車で保護する必要があるのかい?」 女性論で盛り上がるテーブルで筆者が質問。「ご意見の引用時にお名前と所属を記してもいいでしょうか?」
「東京支局は日本女性スタッフのサービス残業で持っている。」
「アッ、電話を入れる時間だ」
テーブルからは急に人波が引いたが、残った一人が呟いた「満員電車に若い白人男性は自分だけ。周囲の可愛いい女の子たちにチカンされている。 僕だって専用車車両がほしいよ」
「とんでもない、急いで名刺を渡すんだ」「ケイタイ番号を聞くのもいいよ」
ジェラシー半分の野次が飛んだ。
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