第59回 「災害・悪天候などへの備え」について
皆さんこんにちは。今回も連載をご覧下さりありがとうございます。
今回は「災害・悪天候などへの備え」について考えます。
ご存知のように、新型インフルエンザが地球規模で流行しています。日本でも最初の感染者が5/9に3名、翌日1名の合計4名発生しました。カナダから語学研修を終えて帰国した、大阪府内の公立高校の教員と生徒とのこと、関係者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。
ただ、報道を見ている限り、学校の対応に甘さがあったと感じます。「日本からマスクを送ったのに、着用したのは帰国直前」など、流行している地域にいて、品物も手元にあるにも関わらず、なぜ対応していないのかと感じます。
学校関係者は、自分のところで何か事件が起こらない限り、「自分のところには関係ない」と、何も対応しないケースもあり、今回はそれが最悪の形で出たと感じます。
ただ、学校に苦情の電話などをかけることは控えて下さい。そうでなくても、入院、帰国して停留(ホテルで足止め)中の教職員や生徒、保護者などへの「最優先でしなければならない」対応で、学校関係者は緊迫した状況にいます。語学研修は全員参加していないのですから、学校に通常通り登校している生徒もおり、そちらへの対応もしなければなりません。そこに苦情の電話が数多く入れば、最優先ですべきことへの支障が出ます。
もし学校に「対応が甘かった」などとどうしても言われたいのなら、新聞の投書欄などにお願いします。
関係者の皆さんは大変心配しておいででしょうし、当事者の皆さんはホテルに缶詰でおつらいと思います。どうかお気持ちをしっかり持って下さい。
そして、今は隔離されていても、メール、電話、また、郵便など、通信手段はいくつもありますから、励ます言葉をひとことでも、ひとりでも多くの知人の方がお送り下さるようにお願いします。
今回の新型インフルエンザに限らず、地球温暖化などで、東京でも春なのに台風の影響で大雨が降るなど、悪天候などへの備えも普段から必要だと感じています。昨年流行語大賞のトップ10に入った「ゲリラ豪雨」という言葉が示すように、局地的に、また、今までの想定を越えた雨量が短時間に降るので、今までの雨への備えのレベルでは対応できません。
まず、大人の皆さんに認識していただきたいのは、災害などに限りませんが、「子どもは大人の判断を頼りにするものである」ということです。大人の判断が間違っていれば、子どもを巻き添えにしてしまいます。しかも、子どもなので体力・精神面などで大人より弱いのですから、受けるダメージは大きいのです。
大人は正しい判断をして子どもを守らねばなりません。そして、危機的状況で判断に困ることがないように、常に最新の正しい情報を得るようにして下さい。
新型インフルエンザの場合、地元自治体やマスコミで、
- うがい、手洗いを徹底
- 使い捨てマスクを着用する
- 人ごみには最低限の用事以外、出かけない
などの対応策が報じられています。まずはこれをきちんと実践して下さい。
そして、地元の自治体や学校の公式サイトで「緊急時などの対応」を確認して下さい。4/30に横浜市内の私立高校生が一時新型インフルエンザの感染を疑われたので、各自治体や学校でも対応は協議しているはずです。私立校の場合、全校生徒人数分のマスクを数日分買った、などの準備をしているところもあります。それでも疑問がありましたら、お手紙を書いてお子さんを通じて渡す、メールを送るなど学校に問い合わせてみて下さい。
なお、「新型インフルエンザにかかったかもしれない」と感じたら、必ずお住まいの自治体の保健所などに相談して下さい。突然病院に行くことだけは絶対にしないで下さい。これは、ウイルスが周囲の方に伝染し、被害が拡大するのを防ぐためです。
厚生労働省のwebサイトでは、相談窓口の案内があり、これは、当面の間、開設されているそうです。
【厚生労働省】http://www.mhlw.go.jp/index.html
(電話)03-3501-9031
(FAX)03-3501-9044
悪天候の場合、「朝○時に大雨警報が出ていれば休校」など、自治体や学校で基準があるはずです。生徒手帳などに詳しく書いてあります。親子揃って確認して、保護者はコピーを取るなどして、大事に保管して下さい。
警報が出ていないのなら、授業は通常通り行なわれますから、大雨でも登校しなくてはなりません。翌日悪天候になりそうなら、時間に余裕を持って翌朝起き、出かけるようにして下さい。
大人は長靴などで防御できますが、制服で規定があると、子どもは長靴などで登校することができません。そこで、学校に着いてずぶ濡れなので、靴下を脱ぎ、裸足で上履きを履いている生徒が続出します。それが引き金で風邪やインフルエンザにかかることも珍しくありません。
今回、新型インフルエンザの疑いがかかったので調べたら、旧来のインフルエンザだった、というケースが何組かありました。これはつまり、「冬ではないのに、インフルエンザが流行している」ことを意味します。実際に、私の勤務先でも、4月から複数の生徒がインフルエンザで出席停止になっています。
大雨・大雪などの日は、このような備えがあると便利です。
- 替えの靴下や大き目のタオルをビニール袋に入れて持たせる。
(学校のロッカーにそれらを常備する)
- 自転車通学はなるべく控える。
やむを得ない場合、傘は使わず、透明のレインコートを着て、スピードを出しすぎない。
- バッグの中身一式をビニール袋に入れてから、バッグに入れる。
自転車通学なら、バッグをビニール袋でくるみ、前カゴに入れる。
靴下は新品でなくて良いのです。それこそ、穴が開いたのを繕った品物で構いません。ビニール袋は、濡れたものを持ち帰るために必要です。
お子さんの通学バッグは今、ナイロンが主流です。大雨で濡れてしまい、中の教科書などがふやけて使えなくなってしまったケースも出ています。ですから、大雨の場合はこのような備えがあると良いのです。
悪天候に対して備えることで、子どもは、「悪天候などの場合、準備が大事なこと」を学んでいきます。こういったことは、広く捉えれば「生きる力」を身につけることで、学業以外の重要なことです。
悪天候で保護者が送り迎えするケースを、否定するつもりはありません。ただ、一生誰かが送り迎えしてくれる可能性は低いのですから、「悪天候などへの準備」を身につけていくことも必要不可欠ではないでしょうか。
また、緊急・災害時には電話連絡網、一斉メールなどの連絡が届くはずです。生徒手帳や保護者へのお知らせなどで、学校からの連絡方法が通知されているはずですので、これも親子揃って確認して、メールは正しく登録を済ませ、保護者は通知のコピーを取るなどして、大事に保管して下さい。
災害・悪天候などを完全に防ぐことは困難ですが、あらかじめ備えることで、被害を最小限に抑えることはできます。
「備えあれば憂いなし」このことわざをお忘れいただかぬように、お願いします。
【今回のまとめ】
- 子どもは大人の判断を頼りにするもの、大人の判断が間違っていれば、子どもを巻き添えにしてしまう。
- 新型インフルエンザの場合、地元自治体やマスコミでの対応策を実践し、公式サイトで「緊急時などの対応」を確認する。
- 悪天候の場合、「朝○時に大雨警報が出ていれば休校」など、自治体や学校で基準があるので、親子で確認する。
- 災害や悪天候への準備は、広く捉えれば「生きる力」につながる。また、あらかじめ備えることで、被害を最小限に防ぐこともできる。
2009.5.13 掲載
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