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第51回 「ものの考え方の大事さ」について


皆さんこんにちは。
  前回の更新から間隔があいてしまい、申し訳ありませんでした。その事情と今回の記事が関係しておりますので、後ほど詳しく説明させていただきます。

6/8に東京・秋葉原で、無差別殺傷事件が発生してしまいました。被害者の皆さまには心からお見舞い申し上げます。
  この事件の容疑者に関しての報道を見ていて、私は、中島敦『山月記』の主人公、李徴(りちょう)を思い出しました。この作品は高校2年生の現代文で長い間学習されていますので、内容を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。この作品は現代にも通じるものがあります。名作、と呼ばれる小説は、いつ読んでも、必ず人々への生きるヒントを与えてくれると感じます。詳しくは私のブログで書きましたので、よろしければ、そちらをご覧下さい。
【こんにちは、つきのみどりです】2008/6/11記事
http://tsukinomidori.cocolog-nifty.com/happy/2008/06/post_fdd4.html

今回は「ものの考え方の大事さ」について書きます。
  私事ですが、この2月に、義父(パートナーの父)が、自宅で転んで腰を強打し、入院しました。幸い骨折などはなかったのですが、パートナーがひとりっ子なので、私たちで決めねばならないことが山のようにありました(正確に言えば、現在も続いているので「山のようにあります」)。

このような事情で、更新にまで手が回りませんで、記事の間隔があいてしまったのです。読者の皆さんには申し訳なく思っておりますが、事情をお察しいただけましたら幸いです。

ちなみに、5月、義父は自分の意志で、入院先を退院後、ある老人ホームに入居しました。これも、詳しい経緯は、私のブログの【介護・老人問題】のカテゴリーに記事がいくつかあります。ご興味ある方はご覧いただけましたら助かります。
【こんにちは、つきのみどりです】介護・老人問題
http://tsukinomidori.cocolog-nifty.com/happy/cat20076658/index.html

義父は大変自分の考えや生き方に誇りを持っており、それは素晴らしいと以前から思っておりました。ただ、少しでも自分の考えと異なるもの、また、無関係だと思ってきたものには目もくれない、あるいは拒否する人だとも気づいていました。また、すぐにものごとに対して不平や不満を言い、ポジティブな考えをあまり持っていない、とも感じていました。

それが、入院や老人ホーム選びなど、それまでの人生で数少ない経験に直面する中で、「自分の考えにないものは決して受け入れない」という行動になって表れ、その結果、プロの方や家族が何時間も、また、長期間に渡り説得しなければならない状況が生まれています。しかも、その説得は成功するほうがまれで、たとえば、入居者用の書道などのプログラムに誘われても、延々と理由を並べ立て、義父は拒否してしまう毎日が続いています。

本来ならプロの方にお預けしている状況なので、お任せしていれば安心なはずなのですが、よほど皆さんが心を砕いて下さっても話を聞かないらしく、「お嫁さん(私)が説得に来て下さい」と言われたことが、入居して1ヶ月少々の間に、既に何度も出ています(世間全体で見ればこのようなお年寄りは多くいるのでしょうが、義父の入っている施設では他におらず、ほとほと皆さんお困りのようです)。

幸いにも、施設の皆さんは「気長に説得します」と言って下さっているのですが、今までは自分に無関係と思い込んでいたものを、急に「したほうがいい」、あるいは、「主なことは息子さんに任せましょう」と言われても、義父の心にはそのような柔軟性がなく、まったく受け入れることができません。私が何かものごとを勧めても「わかっているけれどね」と言って話を終えてしまいます。「わかっているけれど」しないのなら、「わかっていない」のと同じことです。

一般的に、お年寄りは、このような状況になれば、「子どもに任せてあとは安心」というケースが多いのではないでしょうか。また、書道などのプログラムも、いきなり喜んで参加する人ばかりでもないようですが、他にすることもあまりないのですから、少しずつ参加して行く、というのが一般的なようです。

義父はそのような状況になり、また、自分で、息子(パートナー)を銀行関係の代理人に決めたはずなのに、その息子にすべて任せようとは思えず、自分が今正しく把握できないことさえ、自分で指示を出そうとします。その結果、自分では「できる」と思っていたことが遮断されてしまい、イライラして毎日過ごしています。

このような状況を見ていて、また、職場で生徒たちを改めて見つめ、感じたことがあります。それは、「ものの考え方ひとつで、人生は豊かになる。それはお金や地位とは関係ない」、ということで、その考え方とは、「今までの自分になかったことが訪れても、考えて受け入れ、取り組んでいける前向きな心」です。

義父は、仕事では功をなし、それなりに地位を築いた人です。ですが、今は、自分で選んだ老人ホームに入ったにも関わらず、自分の考えになかったことばかりが続き、かと言って、それを受け入れることもできず、不満が山積みの毎日を過ごしています。私の目から見れば、「自分は地位があり、思う通りにものごとを進めるのが当然で、周りも受け入れるべきである」という考えに基づき、すべて行動を決めているように思えます。

そして、生徒たちの中にも、ここまで行かなくても、自分の考えにこだわって、アドバイスを受けない者もいます。
  たとえば、学校になじめず、「カウンセラーさんと話をしたら」と言っても、「自分で解決するからいいです」と言って、不登校になってしまう生徒もいます。このような場合、家庭でも対応にお困りだと思います。そして、ひとりで生徒が悩んでいても、たいてい解決できず、出席日数不足で退学、その後引きこもり、などとなってしまうのです。

また、保護者の中にも、「子どもは絶対に●●の仕事に就かせたい」、「○○大学進学を」など、子どもの適性や学力を無視して話を進める方がいます。子どもも自分自身で納得して同じ目標に向かっていれば良いのですが、たいてい、そうではないので、親子間で深刻なトラブルや断絶を生みます。最悪の場合、家族や他人を巻き込んだ殺傷事件などとなって表れてしまいます。

そこで、ブログで、私は、「身近なハッピー!のヒント」と題したシリーズ記事を書き始めました。
【こんにちは、つきのみどりです】身近なハッピー!のヒント
http://tsukinomidori.cocolog-nifty.com/happy/cat20425408/index.html

このシリーズは、大人でも子どもでも、「今までの自分になかったことが訪れても、考えて受け入れ、取り組んでいける前向きな心」を持ったほうが良いと気づいた時、そのような考えになりたい、と感じた時に、参考にしていただけたら、という立場で発信をしていきます。

保護者や教員がそのような考えの持ち主になって、行動や態度で示していけば、そばにいる子どもも感化されていくでしょう。裏返して言えば、保護者や教員がネガティブなことしか言わず、今までになかったことを受け入れられなければ、子どもも同じようになってしまう可能性が高いのです。

今までも、この「教育カフェテリア」も、そのような考えに基づいて発信してきたつもりです。今後は、僭越ですが、それを更に一歩推し進め、より多くの人に前向きに、幸せに生きるヒントとしてお役に立てるような発信ができれば、と願っています。


【今回のまとめ】
  1. 「今までの自分になかったことが訪れても、考えて受け入れ、取り組んでいける前向きな心」を持つことができれば、人生は豊かになる。それはお金や地位とは無関係である。
  2. 大人でも子どもでも、その「前向きな心」を持ったほうが良いと気づいた時から、より良く変わることができる。
  3. 保護者や教員がそのような考えを持てば、身近にいる子どもたちも影響されていく。

2008.7.1 掲載

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