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第23回 学校から注意を受けた場合の対応について


皆さんこんにちは。
  今月中旬、福岡県で男子児童が自殺するという事件が起こりました。亡くなったお子さんと、ご遺族の方には心よりお悔やみ申し上げます。

事件後、担任教員とその児童がうまくいっていなかった、との報道が出ていますが、小学校の場合、主に担任教員のみが子どもを見るため、関係が悪化しても子どもは一方的に注意されるだけで、他の教員からのフォローが受けにくく、また、教員がわも「指導力不足」、「トラブルを抱えている」などと言われるのがいやで、同僚や上司に報告をしにくいというデメリットがあります。学校から注意を受けて困っている場合など、ぜひ今回の連載をご覧いただいて、ご参考にしていただけたら、と思います。

今回は「学校から注意を受けた場合の対応について」考えます。考えられるのは、「授業中立ち歩くなど、問題行動を起こしている」、「成績不振」、「カンニングなどをした」などではないでしょうか。

私立校に通っている場合は、特に、「何かあれば呼び出される」と思われておいて間違いありません。子どもの居住地があちこちに点在しているため、私立校では通常家庭訪問がありません。その代わり、お子さんに何かあれば、保護者はすぐ呼び出しを受けます。学校内での友人関係のトラブル、カンニングなどの行為はもちろん、校外で起こした万引きなどについても呼び出しを受けると思われていて良いでしょう。両親揃っている場合、内容によっては両親ともに出向かねばならない場合もあります。

呼び出しを受けた場合、基本的には前回の3.のケース「通知表の内容、教員が子どもにとった対応などについて質問がある」と同じように対応するのが良いと思います。

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ですので、まずご家庭で確認しなくてはならないことは、「お子さんの言い分、考え方」です。メモを取られ、お子さんの言い分を整理します。お子さんが事実を伏せて、自分に都合の良いことしか言わない、事実を誤解しているなどの場合もありますので、言い分は充分確認しておきます。

そして、学校から呼ばれた際、お子さんの話のメモを持参して、見ながら話をします。そして、教員の話のメモもとっておきます。話の中で、疑問点があれば聞いて構いません。

小学校では、基本的に担任一人がクラスを受け持ちますが(副担任がいるケースもあります)、中学校以上は基本的に、教科ごとに担当者が変わります。小学校の担任からの呼び出しでは、「この教員の考え方には疑問点がある」ということもあるかもしれませんが、中学校以上では、担任が呼び出しをする時には、基本的に、複数の教科で同様のクレームがあがっている、と考えていただいて良いと思います。私の経験でも、成績不振、提出物などの状況が悪いなどという生徒は、たいてい他の教科でも同じ状況になっていました(ただ、その背後にある理由は子どもごとに異なるので、保護者と話をして確認する必要がある、というわけです)。

近年の日本の子どもを語る時によく言われるのが、「家ではおとなしく、学校に来るとその反動で暴れまわる」子がいる、ということです。全員ではありませんが、そういう子どもも確かに見受けられます。

お子さんが家庭でおとなしい場合、学校で「暴れている」という呼び出しを受けても理解しがたいかもしれませんが、このようなケースもある、ということを知っておいていただけたら、と思います。

そして、ADHD(注意欠陥・他動性障害)、LD(学習障害)など、学習障害の疑いがある、という趣旨の呼び出しを受けた場合は、保護者にとっては非常に大きなショックでしょう。
  ですが、日本の教育の現状は、まだ「そういった子どもを指摘する」だけです。欧米のように、取り出してケアする制度が確立されていないので、指摘された場合、親子とも「では、どうしたら良いのか」と思い、傷つき、そして、うろたえるでしょう。今後日本でもケア制度を確立する方向で動いていますが、これからモデル事業を実施するので、全国で浸透するにはまだ10年近くかかるのではないでしょうか。

また、教員によってその知識が偏っているので、同じ子どもでも「この子はそう」、「そうではない」と言われることもあるかもしれません。ですので、学習障害に関わることを言われたら、相談機関や病院の門を不安がらずに叩いていただきたいと思います。そういった機関の検索は、たとえば、グーグルなどで「学習障害 相談 都道府県名」などとキーワードを入力されると良いのではないでしょうか。

そして、学校との話し合いがこじれて、残念ながら弁護士をまじえた対話になることもあります。
  私の思春期に、同学年の男子生徒がいたずらをして教員に顔を殴られ、あざを作ったことがありました。殴ったのは、厳しいと評判の男性教員でしたが、殴られた生徒は、あざが顔にできたため、ご両親は心配し、学校との話し合いに弁護士をつけたようでした。

話し合いがこじれてしまえば、こういったことも残念ながら起こるのもやむをえないかもしれません。でも、このような事態でも、学校側に「次の話し合いでは、弁護士を連れて行きます」と通告してからのほうが良いでしょう。突然連れて行くと、学校側の態度を硬化させることもあるかもしれないからです。

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学校から話を聞いて、帰宅したら、お子さんとまた話をされると思いますが、お子さんが悪いことをした場合や、事実を隠していた場合も、感情的に怒鳴り散らしたりするのではなく、「なぜそういうことをしたのか」という形で聞いて、「二度とこういうことを起こさないためには、どうしたらいいのか」ということを親子でじっくり話し合い、考えられるのが良いと思います。その上で、子どもの悪いところは改めるように言い、また、学校の言い分に納得できない点があれば、再度質問なさると良いのではないでしょうか。

現代は、子どもが少ないので、保護者に「失敗できない」という、強いプレッシャーがかかっていると感じます。だから、保護者は子どもが幼い頃から、失敗しないように先回りし、成長していっても、そばで見ていてあれこれ口を出す…それが、本当に子どもの将来を考えて、なら良いのですが、中にはそれを言い訳にした「親の見栄」ではないかと感じることもあります。

私の思春期、友人に、志望校選びをするのはご両親、自分は一切関わらせてもらえないという人がいました。私は彼女を気の毒に思えてなりませんでしたし、私だったら激しく反抗するだろうと感じました。その彼女は、結局、ご両親が決めた私立校に進学しました。「親が見栄で学校を選んだ、私は他の学校が良かったのに」と言いながら、です。

(保護者の意のままに学校を選ぶ、というケースについては第12回連載でも少し触れましたが、学校に通うのは子どもなのですから、保護者が候補を決めても、最終的に進学する学校を選ぶのは子どもであるべきではないでしょうか。その際、親子でよく話し合い、お互いに納得できるようにしておくことが大事です。そうでないと、学校生活で子どもがトラブルに巻き込まれた時など、「この学校に行くのは親に押し付けられた」と言って、取り返しのつかない親子間の対立を招きかねません。)

このようにご両親の方針が直接的に現れることもありますし、また、「失敗できない」という雰囲気が子どもに伝染して、子ども自身が大きな挑戦などをしにくくなっているのではないか、と感じることがあります。ただ、子どもとは、基本的に、多くの間違いをして、そこからいろいろ学び取って成長していくものです。
  間違いをしても、それを反省し、そして、分析する、つまり「成功の母」として、立ち直ればいいわけです。どんな場面においても、このことを忘れないでいただけたら、と思います。

2006.3.26 掲載

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