ロゼッタストーン コミュニケーションをテーマにした総合出版社 サイトマップ ロゼッタストーンとは
ロゼッタストーンWEB連載
出版物の案内
会社案内

第7回 学校カウンセラーの実態


皆さんこんにちは。ロンドンでは華やかなサミットの虚をついて、卑劣なテロ事件が起こってしまいました。被害にあわれた方にお見舞いを申し上げます。そして、日本でも、警官が警戒しているだけではなくて、一般の私たちも、もっと強く危機意識を持たねばならない、と感じました。

さて、今回は「学校カウンセラーの実態」について取り上げます。
 近年、大人同様、子どもたちの心のケアが重視されるようになり、学校にカウンセラーが派遣されるようになりました。(※学校カウンセラーは心理学、特に思春期の心理について専門的に学んでいる「臨床心理士」が一般的です。今は、この資格は、日本臨床心理士資格認定協会の認定する大学院を修了しないと取得することはできません。)

雑誌記事

でも、公立・私立とも、学校現場には資金の余裕がないので、カウンセラーが養護教員のように毎日学校にいる、というケースはほとんどありません。週に1、2日同じ学校に勤務し、他の日は別の学校で勤務している、というケースが大半です。ですので、大学院を修了しているのに、勤務はいつまでたっても非常勤、不安定なままでいることが常態化しています。加えて、公立校の場合、最短で1年ごとに他校への移動をさせられることもあるようです。この待遇の悪さに、やめていくカウンセラーも少なくありません。このような境遇を改善することは、カウンセラーが常駐できるようになり、学校が「より子どもにとって居心地の良い場所」につながるのではないでしょうか。

学校カウンセラーの方は、教員では気づかない生徒の心の深部を引き出してくれたりして、今の学校運営には欠かせない存在になっています。
 でも、昔は勤務していなかったことや、勤務形態などを理由に、教員の中には、「どうせ生徒を毎日見ているわけではないし、存在価値がない」と考えている者もいるようです。ですが、これは大きな間違いで、教員には打ち明けにくいことを話していく子どももいるのですから、子どもが何か悩みを抱えているような時には、親子共に積極的に利用していくべきでしょう。

ただ、学校カウンセラーも人間ですので、教員同様に様々なタイプの方がいます。話してみて、極端にウマが合わず、意思の疎通ができそうもない、などと感じたら、病院の心療内科などでカウンセリングを受ける方が、子どもにとって良いのです。

私が今まで接した中で、もっとも驚いたのは、ベテランカウンセラー(女性)が、ある女子生徒のことを話題にした際、「あの生徒はチカンにあっても仕方のない格好をしています」と、平然と言い放ったことでした!

「チカンにあったほう(被害者)が悪い」のであれば、「レイプされるのも被害者が悪い」、「セクハラを受けるのも被害者が悪い」ということになります。これでは、被害者はずっと自責の念にさいなまれ、「自分が悪かった」という負い目を感じて生きていくことになってしまいます。しかも、そう言ったのは女性です。彼女は、自分がチカンにあっても「私が悪かった」と思い、誰かにこう言われても、すぐ納得するのでしょうか。

そして、心の悩みを取り除く役割のはずのカウンセラーが、新たな心の悩みを生むことを言って良いのでしょうか。カウンセラーとは、「相談者の悩みに、まず寄り添って話を聞く」のが大事だと聞いたことがありますが、この言葉には寄り添う気持ちがどこにも感じられません。失礼かもしれませんが、こんなカウンセラーには、正直言って生徒は任せられない、というのが私の正直な気持ちです。

このケースは極端で、きっとこういうカウンセラーはごくごく例外だとは思うのですが、カウンセリングの際、こういった精神的苦痛を受けることを言われるようであれば、ただちに学校以外、専門病院などで診察を受けるべきでしょう。

基本的には、常日頃子どもと接していて、カウンセラーの「まず子どもの話を聞く」という姿勢に学ぶことは私も多々あります。遅刻が増えた、格好が派手になった、など、子どもが問題行動を起こすと、教員はすぐ叱ったり、直させる指導をしがちなのですが、実はその行動の裏に、子どもは重大な悩みを抱えていることもあります。しかも、最近の子どもの悩みは、いじめなど自分のことだけではなく、たとえば保護者のリストラや、離婚・再婚に伴う家庭内の騒動など、多岐に渡っています。

私も、生徒の話をよくよく聞いてみて、仰天することも珍しくありません。表面的なことだけ叱っても、話を聞かない限り、何の解決にもならなくなっているのです。生徒の話を聞いている際、心理学の勉強をしていたら、もっとうまく話が聞けるかもしれない、と思うことは往々にしてあります。(単に私が未熟者なだけかもしれませんが)

この「教育カフェテリア」読者の皆さんも、生徒の悩みに寄り添うカウンセラーと、上手につきあっていっていただけたら、お子さんに関する悩みが解決するかもしれません。このことをぜひ覚えておいていただきたいです。

2005.7.10 掲載

著者プロフィールバックナンバー
上に戻る▲
Copyright(c) ROSETTASTONE.All Rights Reserved.