第1回 学校になじめない時、どうすれば良いか
皆さまこんにちは。はじめまして、という方もいるかもしれません。私は、つきのみどりと申します。今回から、このweb上で「つきのみどりの教育カフェテリア」を連載させていただくことになりました。どうぞよろしくお願い致します。プロフィールもご覧下さいね。
この連載のタイトルを「教育カフェテリア」としたのは、主に二つの理由があります。ひとつは、「カフェテリアのように、連載の各回の文章から、興味ある内容を選んで読んでいっていただきたい」ということ。そしてもうひとつは、「学校のカフェテリアのように、ゆったりとした気持ちでここに来て、意見を寄せていただきたい」という考えからです。どうぞ末永くよろしくお願い致します。
さて、4月、新年度のスタートですね。新しい学校や職場で、期待に胸ふくらませる人も多くいるでしょう。そういったわが子の姿に目を細める保護者も多いのではないでしょうか。また、首都圏、特に東京では私立中学ブーム。今や、都内の中学生の25パーセントは私立校に在籍している、というデータもあります。受験勉強をくぐりぬけ、親子とも晴れがましい気持ちでいる方も多いのでしょう。
そんな方々に、最初から水をさすようなことは言いたくないのですが、入学式、一連のオリエンテーションなどの後、授業が始まって1週間もたたないのに、「学校に行きたくない」と言い出す子どもがいます。期待に胸をふくらませて入ったはずの学校なのに、そんなことを言われたら親はうろたえるのが当たり前でしょう。新入生に限らず、クラス替えなどで友人が少なくなって、「学校に行きたくない」と言う子どもも珍しくありません。
私の教員経験の中でも、前年度までは普通に来ていたのに、クラスの雰囲気が合わず、急に休みがちになった生徒が出たことがありました。当時の担任から聞いた話では、保護者と話をしても、うろたえ、子どもと一緒になって動揺している感じがありありと伝わってきたそうです。
ひと昔前だったら、「首に縄をつけてでも学校に行かせる方がいい」と言う人もいたのかもしれませんが、今は「無理して学校に行かなくてもいい」という考えが主流です。
でも、放っておいても、決して子どもが再び学校に行けるようにはなりません。放っておいたところで、それは決して解決への道へは進まないのです。「その子が学校に行けない原因」を親子で一緒に考え、突き止め、解決していかねばなりません。
子どもが学校に行きたくない、といったら、どうすれば良いのでしょう。経験に基づいた、私なりの考えを書いていきます。1、2日はまず家でのんびり過ごさせて、様子を見ます。その後も、「おなかが痛い」とか、「頭が痛い」とか言って、休みたがるようだったら要注意です。ただちに手を打たねばなりません。
まず、痛みが何に起因するのか、病院に行って解明することが大事です。本当に病気が見つかることもありますが、たいていは心因性、つまり、心に原因があります。その時点ではまだなっていなくても、放置した場合、悪化して、心の病になってしまう恐れもあります。
学校に対してですが、この時点で、すぐに担任に連絡します。今は、たいていは「無理やり来なさい」とは言わないはずです(言うようなら大問題です)。そして、子どもの様子を見ながら、学校のカウンセラーへの面談を申し込みます。今は、週のうち少なくとも1日は、学校にカウンセラーが来ているところが多いです。カウンセラーは子どもの心と向き合う専門家ですから、わずかでも相談したいことがあれば、面会の約束を取り付けたいものです。
学校にカウンセラーがいない、あるいは、カウンセラーと話して、「この人は信頼できそうもない」と思えば、小児心療内科の病院の門を叩くべきです。カウンセラーの問題はまた機会を改めて書きますが、教員同様いろんな方がいるので、子どもや保護者と相性が合わないことも珍しくありません。Googleで「小児心療内科」と都道府県名などで検索すれば、お近くの病院が探せるかと思います。
カウンセリングの際、「次回は保護者だけで来て下さい」などと指示されることもあります。子どもが不調を訴え、学校に行けなくなる、というのは、実は保護者の対応に問題があることも考えられます。保護者も子どもの成長に伴って、「成長」していかねばなりませんが、つまずいた時には専門家の手を借りるのは、全く恥ずかしいことではありません。むしろ、全て家庭内で解決しようとすると事態がこじれ、子どもが学校に二度と行けなくなったり、家族関係が修復できなくなる恐れもあります。
そうして、丁寧に、時間をかけて子どもの悩みを取り除いていけば、子どもは安心して再び学校に行けるようになるでしょう。わが子が不登校になる、などと想像している親は一人もいないはずです。だから、実際にそういった事態に直面して、うろたえてしまうのも無理ありません。
でも、うろたえるだけでは、決して子どもの不登校は解決しません。子どもをしっかり励ましつつ、専門家の適切なアドバイスを聞き、一日も早く不安を取り除いてあげて下さい。今は、不登校になった子どもでも、サポート校など、本人の意志が固ければ、卒業できる学校がたくさんあります。
ただ、本人の意志がなければ、ずるずると怠惰な生活を続けてしまうかもしれません。そういった道へ子どもを行かせないように手を差し伸べるのは、周りの大人の役目なのです。私も、不登校の生徒のことはとても胸が痛み、また、いつも様子が気になります。少しでもそういった子どもが減らせたら、と考えて仕事をしています。
「こういった形で不登校を乗り越えた」、「今、(不登校に限らず)こうしたケースで悩んでいる」などのお話がありましたら、ぜひコメントをお寄せ下さい。また、公開してほしくないことはメールでお願いします。ご相談に関しては、プライバシーを厳守しますのでご安心下さいね。
2005.4.10 掲載
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