ん?
一体どういうこと!?
…本作を見て、最初に感じたことです。
上映が始まって、しばらくの間、
一体何が起きているのか、わかりませんでした。
それどころか、疑問が増すばかり。
冒頭のシーンは、何かの暗示だろうか?
一瞬挿入された動画には、どんな意図があるのか?
オスカーとは何者?
理解しがたい常軌を逸した行動が続く中、
だんだん見えてきます。
オスカーの姿は、
まさしく
「人生の象徴」
だと。
人は、誰しも自分を演じている。
人生を生きるということは、演じること。
家庭、職場、友人や恋人との間…
全てに異なる自分がいる。
そして、長く生きていくうちに、
そんな自分に疲れてくる。
自分は一体、誰なのか?
何なのか?
そのとき、人はどうするのだろう。
「芝居」を演じ続けるのか。
それとも、新たな自分を築いていくのか。
非現実的な形でありながらも、
次々提示される“人生の1場面”に、
いろいろ考えさせられます。
最後の最後まで。
劇中に出てくる印象的な言葉、
オスカーが父親として娘に語る、
「おまえの罰は、おまえがおまえとして生きることだ」
が、大きなカギとなることでしょう。
また、本作をご覧になる前、
いや、むしろ、ご覧になった後に、
前回コラムの
「カラックス監督会見」の模様を参照していただけると
より楽しみのポイントが増すことと思います。
後から、じわじわ効いてくるタイプの作品です。
ぜひお楽しみください!
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