悠木なつる ★★★★
セックスを真正面から捉えた本作は刺激に満ちている。なにせモザイクが多いこと! 特に、サロン『ショートバス』のフリーセックスシーンは、有無を言わせぬ迫力だ。全シーンのオーガズムが本物だという点に、監督の意気込みがうかがえる。でも、それでいて作品自体にエロチックさはない。それは、愛やセックスに思い悩む人々の姿が、温かな眼差しで綴られているからだ。以前、友人たちとセックスライフについて暴露し合ったことがある。その時、セックスは、とても奥深いものだと改めて思った。私の悩みも、『ショートバス』へ行けば解決するかしら? でも一度、足を踏み入れたら病みつきになりそう! 大切な人と一緒に観て愛を深めたい作品。 |
野川雅子 ★★★☆
どこまでもリアルに赤裸々に、人間の性について描いた貴重な作品である。オーガズムが全て本物という事実に驚いたり、過激なシーンも数多く出てくるけれど、この映画を観た後、凄くあったかい気持ちに身体中が包まれた。それは、ショートバスに集う人達の沢山の愛が溢れていたから。どうして人は愛を求めるんだろう。そして愛に悩むんだろう。人間の心の根本を丁寧に繊細に描いた、星が瞬く夜空を眺めた時のように、心の中を幸せにしてくれる1本。特に印象的なのは、愛の歌をみんなで歌うラストシーン。満面の笑みで歌う姿を見ていたら、思わず涙が出る程に胸が熱くなった。好きな人を愛しく思うことの素晴らしさを、教えてもらった気がする。 |
中沢志乃 ★★★
正直、感想に困る作品でした。様々な性を描いているようで、実はどうやっても拭いされないそれぞれの孤独感を描いているのかしら…なーんても思うには思いましたが、やはり100%感情移入はできなかったように思います。こんな悩みを持っている人も世の中には比較的大勢いるのでしょうが、私個人的には50歳ぐらいになった時に見直したい映画でした。 |
はたのえりこ ★★★
3組のセックスから始まるオープニング――これが主人公たちの紹介。かなり、赤裸々な自己紹介だ。『アイズ・ワイド・シャット』、『パフューム』、過激な性描写が注目された作品がいくつか思い当たるが、本作の彼らは現代を生きる普通の人々。性愛の傾向は十人十色とはいえ、その悩みは揃いも揃って同じだったりする。セックスを題材に提起されるコミュニケーションに関する問題。その解決の糸口は、まず自分に正直になって心を開放し、相手にそれを伝えることにあるようだ。これがけっこう難しいのだが、大好きな人と通じ合うためには相当の根気が必要! 最近何かと怠慢だった己を省みつつ、ライヴシーンのフィナーレで「愛は深いぞ!」と天の啓示を受けた気がした筆者だった。 |