ロゼッタストーン コミュニケーションをテーマにした総合出版社 サイトマップ ロゼッタストーンとは
ロゼッタストーンWEB連載
出版物の案内
会社案内

バックナンバー Vol.59

ダイ・ハード4.0
ゾディアック
キサラギ

シネマの達人が語るとっておきの一本 : 第6回 ゴーストバスターズ

(今月の監修:はたのえりこ)
巻頭コラム : 若尾文子はどうして?やっぱり?黒川紀章
 都知事選のド派手パフォーマンスや、参院選への出馬表明で、近ごろマスコミを賑わせている黒川紀章氏。彼を見ていると「あれえ、黒川紀章ってこんなキャラだったの」と口ぽかん状態になると同時に、必ず思うことがある。「彼は建築家としてスゴイ人なのかもしれないけど、あの若尾文子を口説いたとなると、男として、もんのスゴイ人なのかもしれない…!」と。
 あの若尾文子とは、大映時代の若尾文子。中でも6〜7月、フィルムセンターで特集していた、川島雄三作品の若尾文子は魔物級の魅力が炸裂、すなわち黒川先生のすごさを改めて感じさせてくれる作品揃い。『しとやかな獣』では仕事は冷静沈着、でも夜はエモーショナルな女として、痛快なくらい男を手玉に取っているし(元祖ツンデレ?)、禅寺のタブーを描いた『雁の寺』では、どうしようもない諦観を抱きつつ、浅はかとも取れる情の深さで住職と坊主を狂わせていく女を体現。また『女は二度生まれる』では腰軽だけど憎めない、刹那にひたむきな芸者役で、彼女に魅了されない男がいたら、よほどのヘソ曲がりかゲイか?という具合。
 川島×若尾作品はたったの3本、しかも全く違う役どころだけれど、どの作品も女が観ればその弱さに共感、強さに憧れを抱きつつ色気に屈服。男なら、一度はお願いしたいけれど、怖いもの知らずじゃなきゃ近寄れないって感じだろうか。あ、だから黒川さんなの…?なぁんて。
(佐藤白君)


最新映画星取表 =1点、=0.5点。最高得点=5点

『ダイ・ハード4.0』   
監督:レン・ワイズマン
出演:ブルース・ウィリス、ジャスティン・ロング、ティモシー・オリファント
http://movies.foxjapan.com/diehard4/
あの運の悪い<不死身の男>ジョン・マクレーンが帰ってきた! ハイテク高層ビル、空港、マンハッタンと舞台を変えながら、どんな事件も何とか解決してきた彼が、巻き込まれてしまう次なるテロとは……。1作目から18年、3作目からは12年振りとなるアクション大作第4弾。

団長              ★★★★☆
 シリーズ4作目にして初めて見ました。最初から最後までスリリングでド迫力。ストーリーのスケールも大きく、現代らしい人間ドラマも織り込まれて見応え十分でした。こういう作品は映画館の大画面で見るのにピッタリです。期待以上に面白かったです。1〜3を見てない方もすんなり楽しめますので、ぜひどうぞ。余談ですが、中高年の男性客もかなりいました。映画館というと女性やカップルが多いという印象だったので、なんだか新鮮でした。
中沢志乃            ★★★★
 世の多くの人に違わず、本作を見る前に1〜3をDVDやテレビで見ていたので、冒頭では「ブルースも年取ったねえ」なんて思っていた。が!なんのなんの。息もつかせぬ、時に笑っちゃいたくもなるようなド派手なアクションのオンパレード。斜め45度のキメの薄ら笑顔も渋味を増してご健在。これぞエンターテインメント!映画の裏を知っている者としては1のほうがリアルで面白い…とかも言えるけれど、いえいえ、裏なんて考えず楽しんじゃいましょう!ブルース、サイコー!
伊藤洋次            ★★☆
 主人公(ブルース・ウィリス)の乗るトレーラーが、F-35戦闘機に追われてハイウエーを疾走する場面が特に圧巻だ。ミサイルを打ち込んでくる戦闘機のパイロットに向かって、聞こえるはずがないのに、地声で「相手は俺じゃない、やめろっ!」と叫ぶシーンには爆笑。驚異的なタフさと行動力に比べ、その辺がお茶目なキャラ丸出しでよろしい。ただ、超人的な主人公よりも、一般車両も多く走るハイウエーにミサイルをぶちこみ、平気な顔をしている戦闘機のパイロットの方が一枚上手。サイバーテロ集団のボスより、アンタの方が大物です。



『ゾディアック』   
監督:デビッド・フィンチャー 出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニーJR.
http://wwws.warnerbros.co.jp/zodiac/
挑戦的な暗号文、自らを“ゾディアック”と名乗る犯人の影――ゲームの如く犯行が重ねられた凶悪な連続殺人事件は現在も未解決である。実在する事件を基に、殺人鬼ゾディアックを追うことで人生を狂わされていく男たちの姿を描いたサスペンスドラマ。

中沢志乃            ★★★★
 事前の触れ込みで犯人は解明されないと聞いていたので、「えー!これで結局、犯人は分からないのー?」と途中、やきもきしたが、最終的には90%ぐらい解明された感じだったので一応ちょっとすっきりした。それにしてもこの4人の人生をかけた、実話である犯人追及劇を2時間半、全く飽きずに見せた監督の力量は計り知れない!近年、日本でもよく聞く通り魔的殺人。舞台がよく知るサンフランシスコだったこともあいまって作品に入り込んだ私は、一瞬、見知らぬ人が集まる映画館にいることも怖くなった。継続する緊迫感。でも疲れるわけではない。ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニーJR.等の濃い配役もぴったり。
高井清子             ★★★
 ホシがなかなか挙がらないと、自分が目をつけた容疑者に証拠を結びつけたくなる「執着」の罠はよく理解できる。重なる偶然の解釈や勘なんてものは、その人の状態でいかようにもなる諸刃の剣であるのだと痛感。そしてラストの情報に愕然とする自分に、私も男たちと同じ心理に陥っていることを思い知る。でも事件よりも翻弄される男たちに主眼があるからだろうか。それとも米国民にはあまりにも有名すぎてあえて強調する必要がなかったのだろうか。事件が展開する前半は妙に淡々としていて、無差別感のある事件そのものへの恐怖感も本来ほどに感じられず、途中眠ってしまった。もし前半から恐怖をあおられていたら、サスペンスとしてもっと盛り上がっていたかもしれない。
悠木なつる           ★★★
  実在の未解決事件であり、ゾディアック(黄道十二宮)と名乗る犯人から謎の暗号文が届けられる……これだけでも十分、興味を掻き立てられるが、本作で綴られるのはスリリングな謎解きではなく、ゾディアックに翻弄される男たちの人間ドラマだ。この点を履き違えると、147分という決して短くはない上映時間を睡魔と格闘する羽目になるはず。手が届きそうで届かないゾディアックに長い歳月、苦しめられ続けた男たち。そのもどかしさや無念さといった感情が行き場を失い、スクリーンを通してこちら側に伝わってくる。もし、ゾディアックが今もどこかで生きていて本作を観たら、自分のために運命を狂わせた男たちの姿に何を思うのだろう。
南木顕生            ★★
  これは面白いのだろうか? 何がやりたいのか今ひとつ伝わらなかった。タッチは気のぬけた『大統領の陰謀』に思える。これならまだ『ブラックダリア』のほうがエッジが効いてると思う。 真相らしきものが導かれるけど、そこに至るカタルシスはない。カタルシスのないまま放り出される『殺人の追憶』のほうがまだ映画的快楽に満ち溢れていた。 実はトータルで30分ほど寝てしまった。評判がいいので面白いシーンは全部寝てしまったのかもしれない。 だから評価をしてはならないのかもしれないが眠気を誘った映画が悪いのだ。


『キサラギ』   
監督:佐藤祐市
出演:小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雄、香川照之
http://www.kisaragi-movie.com/
知る人ぞ知るアイドル、如月ミキが自殺をして1年が経ち、追悼会に集まった5人の男。各々のオタク心を通わせながら、彼女の思い出話に花を咲かせる。「自殺なんかする娘じゃない」と誰しもが思っていた。そして誰かが言った、「彼女は殺されたんだ」と。注目の俳優陣によるスリリングな密室劇。

伊藤洋次            ★★★★☆
 脚本の切れ味が抜群に鋭い。自殺したアイドルを追悼するため、ネットを通じて集まった5人。最初は単なる追悼オフ会になるかと思いきや、「自殺の真相に迫る」という要素が加わった途端、物語は一気にトップスピードへ。最初はチグハグだった登場人物たちの個性が徐々に交錯し、大きなうねりとなっていく過程は実に小気味よい。謎解きの構成も秀逸で、テンポ良く進む物語の合間に、いつの間にかヒントが散りばめられ、それらが二転三転の末に真相を浮かび上がらせている。見終わった後、スカッとした爽快感が味わえる良作。
野川雅子            ★★★☆(3.6)
 個性派俳優5人のみせるメリハリのある掛け合いが、この作品のみどころです!絶妙なタイミングで繰り広げられる独特の世界に、きっと魅了されるはず。本当にナイスキャスティング。一貫してゆるい雰囲気で物語は流れていくのですが、それだけで終わらないのは、しっかりと考えしつくされた、予想し難いストーリー展開があるからです。ラストのオチは、いまいち謎が残り理解できない気がしますが、急展開する結末に誰もが楽しめることでしょう。キャストの中でも飛びぬけた存在感を示し、作品を引っ張っているのが名脇役の香川照之。ベテランに負けじと奮闘している、ブルーリボン賞で新人賞を受賞した塚地武雅のコミカルな演技も光っていました。
南木顕生            ★★★
 よく出来た小劇場の芝居の面白さはあるけど、ことさら映画にするまではないような気もします。 ラスト、それまで一切画面に登場しなかった愛すべきB級アイドルであるヒロインを画面に登場させるけど、そんなことは映画的でもなんでもない。しかも宍戸錠はいらないでしょう。 ただそれぞれの役者の魅力はかなり出てたので監督の力量がないわけではない。単に役者が巧いだけなのかもしれないけど……。 脚本は巧い。悔しいけど……。


シネマの達人が語るとっておきの一本 : ゴーストバスターズ

マシュマロマン…って妙なキャラですよね。可愛い顔してるのに、不機嫌な表情でニューヨークを大破壊。なかなか迷惑で困った奴なんですが、強烈な印象があると思うのです。

この『ゴーストバスターズ』、私が初めて劇場に見に行きたいと親にせがんだ映画。自分でもはっきりと覚えてます。初めての字幕付映画デビュー、結構エキサイティングでした。
なぜこの映画をセレクトしたのか。父が大好きでよく一緒に見ていたベラ・ルゴシの『魔人ドラキュラ』、ボリス・カーロフの『フランケンシュタイン』、はたまた『墓場の鬼太郎』、『うしろの百太郎』、『妖怪人間ベム』等々、そんな名作たちにかこまれていたからでしょう。
一番びっくりしたのはゴーストバスターズの初仕事で、図書館に現れた美形幽霊が突然豹変して襲ってくるシーン。マジで怖くて椅子から飛び上がりました。いわゆる娯楽映画ですが、ビル・マーレイ、シガニー・ウィーバーなど、出演者はなかなかの顔ぶれです。
ファミコン版も買いました。弟と相当頑張ったけど難しすぎました。当時のファミコン、映画からゲーム化されるものが結構あった気がします。『グーニーズ』も面白かったし。
最近では『バイオハザード』『トゥームレイダー』など、ゲームからヒット映画が生まれることもしばしば。まもなく公開の『トランスフォーマー』のファミコンソフトも持っていたけど、やっぱりクリアできなかったな。

今やゲームのストーリーの方が面白くなってしまったのでしょうか。でもゲームは自分が操作するから面白いのであって、映画だからこそ誕生する何か衝撃的な創造物があるはず。
そう、マシュマロマン、あなたのような個性が今の映画界には足りない気がするんです。

(波多野えり子)

2007.8.9 掲載

バックナンバー
著者プロフィール
佐藤白君 : 食品・サービス関連を中心にコピーを書いています。好きな外食はてんぷらと蕎麦、得意分野は中国料理。なんか油っこそうですが、そんなことはありません。

団長 : スーパーロックスター。メジャー契約なし、金なし、コネなしながら、来秋、日本武道館でライブを行う。ラジオDJ、本のソムリエ、講演、コラムニストなどとしても活躍中。大の甘党で"スイーツプリンス"の異名をとる。バンドHP http://www.ichirizuka.com

中沢志乃 : 1972年5月8日、スイス生まれ。5年間、字幕制作に携わった後、2002年4月、映像翻訳者として独立。夢は世界一の映像翻訳者。現在、トゥーン・ディズニー・チャンネルで吹替翻訳を手がけた『X-メン』が絶賛放映中。2月2日にデミ・ムーア主演『ゴースト・ライト』(字幕翻訳)、4月12日に『アメリカン・パイinハレンチ・マラソン大会』(字幕翻訳)発売。

伊藤洋次 : 1977年長野県生まれ。業界紙の会社員(営業)。メジャー映画はなるべく避け、単館系しかもアジア映画を中心に鑑賞。最近気になる監督は、廣末哲万・高橋 泉、園子温、深川栄洋、女池充など。

高井清子 : 1966年生まれ。企業勤めの後、ロンドン留学を経て、フリーの翻訳者に転身。映画の脚本やプログラムなどエンタテインメント関連の翻訳をする。今は韓流にどっぷりはまり、『韓国プラチナマガジン』にもレビューを寄稿している。

悠木なつる : 1973年生まれ。紆余曲折あり、この春から堅気のOLへカムバック。映画ライターとの“二足のわらじ”を夢見て、ジャンルを問わず映画を観まくる日々。発売中の『映画イヤーブック2007』(愛育社)では、本名の“横○友○”で映画紹介記事とコラムを執筆。

南木顕生 : 1964年生まれ。シナリオライター。日本シナリオ作家協会所属。映画は劇場のみ鑑賞をモットーに現役最多鑑賞脚本家を目指している。ここ二十数年、年間劇場鑑賞数百本を下回ったことがないのが自慢。怖いもの知らずの辛口批評は仕事を減らすのでは、と周囲に心配されているとか……。

野川雅子 : 1985年山形県生まれ。19歳で映画に出会い、それ以来、映画に恋愛中。人の心を描いた邦画が特に大好き。日本中に映画の魅力を幅広く伝えられる映画紹介をするのが夢

<監修>
はたのえりこ : 1979年東京生まれ。今のところ編集者の道を歩みつつあるが、果たしてどこに行き着けるのか、本人にもわからず。海外に行くと、必ず映画館の現地調査をしたくなります。先日訪れたギリシャは完全に『パイレーツ・オブ・カリビアン2』に街が占拠されていました。ジョニー・デップ効果は万国共通らしい。

上に戻る▲
Copyright(c) ROSETTASTONE.All Rights Reserved.