中沢志乃 ★★★★
事前の触れ込みで犯人は解明されないと聞いていたので、「えー!これで結局、犯人は分からないのー?」と途中、やきもきしたが、最終的には90%ぐらい解明された感じだったので一応ちょっとすっきりした。それにしてもこの4人の人生をかけた、実話である犯人追及劇を2時間半、全く飽きずに見せた監督の力量は計り知れない!近年、日本でもよく聞く通り魔的殺人。舞台がよく知るサンフランシスコだったこともあいまって作品に入り込んだ私は、一瞬、見知らぬ人が集まる映画館にいることも怖くなった。継続する緊迫感。でも疲れるわけではない。ジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニーJR.等の濃い配役もぴったり。 |
高井清子 ★★★
ホシがなかなか挙がらないと、自分が目をつけた容疑者に証拠を結びつけたくなる「執着」の罠はよく理解できる。重なる偶然の解釈や勘なんてものは、その人の状態でいかようにもなる諸刃の剣であるのだと痛感。そしてラストの情報に愕然とする自分に、私も男たちと同じ心理に陥っていることを思い知る。でも事件よりも翻弄される男たちに主眼があるからだろうか。それとも米国民にはあまりにも有名すぎてあえて強調する必要がなかったのだろうか。事件が展開する前半は妙に淡々としていて、無差別感のある事件そのものへの恐怖感も本来ほどに感じられず、途中眠ってしまった。もし前半から恐怖をあおられていたら、サスペンスとしてもっと盛り上がっていたかもしれない。 |
悠木なつる ★★★
実在の未解決事件であり、ゾディアック(黄道十二宮)と名乗る犯人から謎の暗号文が届けられる……これだけでも十分、興味を掻き立てられるが、本作で綴られるのはスリリングな謎解きではなく、ゾディアックに翻弄される男たちの人間ドラマだ。この点を履き違えると、147分という決して短くはない上映時間を睡魔と格闘する羽目になるはず。手が届きそうで届かないゾディアックに長い歳月、苦しめられ続けた男たち。そのもどかしさや無念さといった感情が行き場を失い、スクリーンを通してこちら側に伝わってくる。もし、ゾディアックが今もどこかで生きていて本作を観たら、自分のために運命を狂わせた男たちの姿に何を思うのだろう。 |
南木顕生 ★★
これは面白いのだろうか?
何がやりたいのか今ひとつ伝わらなかった。タッチは気のぬけた『大統領の陰謀』に思える。これならまだ『ブラックダリア』のほうがエッジが効いてると思う。
真相らしきものが導かれるけど、そこに至るカタルシスはない。カタルシスのないまま放り出される『殺人の追憶』のほうがまだ映画的快楽に満ち溢れていた。
実はトータルで30分ほど寝てしまった。評判がいいので面白いシーンは全部寝てしまったのかもしれない。
だから評価をしてはならないのかもしれないが眠気を誘った映画が悪いのだ。 |