肌寒くなってチゲ鍋が食べたくなる季節、お腹だけでなく心も満たしてくれる韓国映画が目白押しだ。それぞれに今の韓国映画を代表する個性の異なる3作品に、数年前からリメイクが期待されていた韓国ラブストーリーのハリウッドリメイク版を加え、今回はよりどりみどりの韓国映画絡みを選んでみた。
まずは、今脂が乗りに乗っている韓国の魅力的なベテラン男優3人による『天軍』。邦画『戦国自衛隊』の韓国版ともいえる歴史ファンタジーだ。私たち日本人にもなじみのある豊臣秀吉の朝鮮出兵を海の反対側から捉えるのも新鮮だ。
次に、日本の多くの韓国ラブロマンスファンと完全に一線を画し、独自の世界観で日本を始め海外で評価の高いキム・ギドク監督作品『弓』。私自身はこれまでのギドクの「容赦ない激しさ」がちょっと苦手だったのだけれど、今回は彼ならではの詩的な世界を「感じる」ことができた。韓国映画にはやっぱり詩がよく似合う。
続いて、WETA社などハリウッドの最先端のCG技術を投入した『グエムル 漢江の怪物』。たしかにリアル度も迫力も満点だったけれど、やっぱりそこにはWETA社の代表作である『ロード・オブ・ザ・リング』らハリウッドのSFファンタジーとはまったく違う「外し」の韓国味がいっぱい効いていて笑えた。
ハリウッドの比較という意味では待望のリメイク版『イルマーレ』が登場した。改めて見比べてみると、賛否両論。いっそう韓国映画の持ち味がわかっていただけるにちがいない。詳しくは個々の星取りをお楽しみください。
(高井清子) |