今回のサブテーマは【字幕版と吹替版、どっちで見るべき?!】。最近は吹替版も劇場公開される作品が徐々に増えてきて、吹替版の良さが見直されつつある感があります。中には吹替版のみでしか公開されない!という作品まであるのが現状です。字幕/吹替、映画はどちらのほうがより楽しめるのでしょう。あなたなら、どちらを観ますか?
中沢志乃 ★★★☆
あらら!なかなか良い映画でした!オーストラリアに移民したイタリア人のアンジェロが本場イタリアからお嫁さんをもらおうと思い、ルックスに自信がないから弟の写真を送ってしまう…と聞いてドタバタコメディを予想していましたが、いえいえ内容は笑えて泣けるハートウォーミングストーリー。人生ってこんなものだし、そうそう、コニー、ちょっとした一言ですごく力付けられたりするんだよね。何よりも多くを経験して一杯のコーヒーに人生を見い出した(?)おじいちゃまが最高です。配役、演出共に◎。イタリア語、ぎこちない英語、よりオーストラリアに順応した英語とかを字幕版で聞くのも良いですし、おじいちゃまの声をうまい声優さんで面白く再現!もありですね。 |
悠木なつる ★★★
いい意味で裏切られた。これは、モテない男が文通で知り合った女性に愛されようと努力する物語ではない。4人の男女が「愛って何?」という問いを突きつけられて奔走する姿を、ユーモアたっぷりに描いた作品なのだ。誠実だけれどサエない兄と、男前だけれど軟派な弟。「私だったらどちらを選ぶだろう?」と考えながら観ると、自分なりの恋愛観が再確認できるかも知れない。作品としては、やや出来すぎた感があるものの、船上のクライマックスシーンには思わずうっとり! 青白い顔をした兄役のジョヴァンニ・リビシの弱々しいかすれ声が、女性にモテないキャラクターであることを強調するのに一役買っているので、字幕版で観ることをお薦めしたい。 |
波多野えり子 ★★☆
文通プロポーズがなかなか実を結ばない兄アンジェロ。誠実だけどちょっとさえない彼の今回のお相手、ロゼッタへの手紙についつい男前の弟ジーノの写真を入れてポストへ投函してしまう。彼女はジーノに一目惚れ、お嫁入り決行! でも、もちろん真実が明らかになり、そこから始まる恋愛模様はいかに? オーストラリアのイタリア人居住区が舞台なので、彼らは英語で生活しているけど、エスプレッソに目を輝かせたり、イタリア式の結婚式をしたり、祖国を愛する彼らのテンションはやっぱりイタリア人っぽい。イタリア語はその力強いアクセントと、「気分ええわ〜」的な明るいイントネーションが魅力的な元気系言語。だからやっぱり字幕版でみたい。そのイメージのごとく軽やかにストーリーは展開し、あらら、気づけば皆が幸せに……。アンジェロの働くカフェの壁面に象徴的な絵を描く旅人のおじいちゃんの作品がステキ。 |
にしかわたく ★★
タイトルからして「イタリー」と謳っているのに、イタリアのシーンで役者が英語を喋っているのはいかがなものか。ま、映画ってのは昔から言葉の問題にはおおらかとゆーか、いい加減。以前タヴィアーニ兄弟が映画化したトルストイの『復活』を見たんだけど、極寒のシベリアで「マンジャーレ!」とか叫んでるので何だか全然寒そうな感じがしなくて笑ってしまった。日本人は一般に吹替よりも字幕を好む。これは世界的に見ればずいぶんなレアケースで、識字率の問題なんかもからんでいるとは思うのだが、基本的に日本人は異国の文化に敬意をはらう国民なのだ。ま、裏返せばいつまでたっても外人コンプレックスが抜けないってことにもなるのだけれど。この映画は脚本がユルい上にキャストも地味、さらに今書いたように、メインの客層であるはずのイタリア好き日本人の気持を逆撫でするような出来になっております。無理しないでビデオスルーでよかったんじゃないの? |
松本 透 ★
割と最後の方まで「ここはどこ?イタリア?アメリカ?」って疑問が頭の中をウロウロしてました。答えはオーストラリアのリトル・イタリー(イタリア人町)なんですけどね。なもんで、「イタリア映画の英語吹き替えか!」っていうムズガユサが・・・。モテない兄が自分のお見合い写真に、イケメン弟の写真を送ると言う設定は好きなんだけど、みんなみんなハッピーエンドというのは、ねー、どうですか?で今回のサブテーマですが、どーせなら脚本にも手を入れてイタリア語調の日本語吹き替えで、コメディ映画としてこの映画を楽しみたい。 |