さそり (採点不可能)
この映画はリトマス試験紙だと思う。人間性を試されるというか、観て面白いと言うと顰蹙をかうし、気持ち悪いと言うと 人間じゃないと思われる。あたしは好奇心で観た。しばらく友人の間でピンヘッドブラザーズの真似が流行ったりした。
ある日、夢の中にピンヘッドや上半身だけの男が現われ襲われた。恐ろしかった。潜在意識で罪の意識を感じていたのだろう。 たまたま生まれついてしまったか事故で本物の身障者になった人や、奇形の人が出てる見世物小屋が舞台の映画。最初の公開タイトルは何と『怪物団』!いくら何でも怪物扱いは酷すぎる!
出演者は本物でドキュメンタリーと、ストーリーはフィクションのミックス。本当の美とは何か醜とは何かを目の前に突きつけられる。勿論身障者こそ善人で性格の悪い美人こそ奇形だというのも偽善的な話ではあるが、彼ら出演者の熱演を見ると、そんな事どうでもよくなってくる。結局、現代でも『世界びっくり人間ショー』とか言って小人症の人や巨人症の人をテレビで見世物にしてるんだから本質的に人間の好奇心って変わってない。しかも、そういうのが無くなっちゃうとそれで生活してる人が食えなくなっちゃうし、彼らは逆に一歩引いた目で我々健常者がいかに汚い眼で彼らを見ているか見透かしているに違いない。本当に観る事を試される映画だわ。 |
カザビー ★★★★
これは悲しきガチンコ寓話です。善良な小人ハンスと遺産目当てで結婚してハンスを毒殺しようとする極悪クレオパトラ。 勧善懲悪なストーリーでとても解りやすく、本当の意味でのフリークスとは何なのかを
教えてくれます。全員本物のフリークスを出演させていることが問題になり、今まで上映禁止だったわけですがそれが本当に正しかったのかなぁと・・・。単なるカルトムービーとして扱われるのはもったいなさすぎるんで少しでも気になった方は是非ご覧になっていただきたいです。 |
伊藤洋次 ★★★★
この作品を初めて見たのは大学生のとき。それまで映画と言えばテレビ映画、アクショ ン系中心に見ていた私は、薄暗いモノクロ映像と衝撃の内容に、トラウマになる寸前だった。あれから約10年ぶり、2度目の鑑賞。今度は衝撃よりも、映画としての面白さ、レベルの高さを強く感じた。1932年という時代を考えても、良く出来ている(追い詰めていくところなど)。「少し気になっているけど、ちょっと…」と尻込みしている方、ぜひとも見るべきです。 |
松本透 ★★★★
クレオパトラっていう性悪美人が、ヘラクレスという筋肉男とつるんで、彼女に恋心を寄せるフリークス・サーカスの団長、金持ちの小人男ハンスと結婚して殺そうとするんですが・・・でもね、片想い男ハンスの報復劇はコワイんです。ただの報復じゃないんです。フリークス・ファミリーが団結して、雨が激しく降り雷が鳴り響く夜に襲うのです。それまでは普通のというか、フリークスの映画なんだけど、その辺からホラー映画のヒットメイカーことドット・ブラウニングの本領発揮です。だけどホラー映画の王道のような報復シーンが終わっても、安心してはいけません。ラストに映されるクレオパトラの姿のショッキングさに、「嫌な映画」を観たと思いながらも異常な満足感が僕を包むのでした。 |
三笠加奈子 ★
これはカップル映画です。彼氏「妊婦が流産したくらいコワイ系の映画があるんだけどさー、見に行くう?」彼女「えぇー。いやだぁ」みたいな感じで2人仲良く席に並び、つまらなかった場合は、暗闇の中でいちゃつくための映画です。デヴィット・リンチの『イレイザー・ヘッド』並みの興奮を期待して見に行きましたが、キモカワイイ度でも、やはりリンチが圧勝。ただし、リンチは作り物の奇形で映画ファンの性感を刺激したのに対し、こちらフリークスは冗談ぬきの本物!
本当の小人大集合の名作『オズの魔法使い』と同系列にして語るべきなのでしょうか。でも、『オズの魔法使い』の方が衝撃的だったな。 |