にしかわたく ★★★★☆
僕は昔っから、ラブストーリーは苦手なくせに、なぜか「夫婦モノ」に弱い。 日常のささいなことでぶつかったり、妥協したりしながら、それでもなんとかして一緒に生きていく夫婦というものに感動してしまう。
この映画は夫婦の破局を描くことから始まり、そこからシーンごとに二人の過去へ遡っていくという変則的な構成。清濁併せ呑むラストシーンがとても印象的だったが、 同じ構成の『アレックス』(ギャスパー・ノエ)という大傑作があるので、☆一個マイナス。
うーん惜しい。それにしてもこのフランソワ・オゾンという男、デビュー以来まったくハズレがない恐ろしい監督である。 |
カザビー ★★★★
結末が分かってしまっている映画を観るのは損したようで正直気乗りしなかった。
荒んだ夫婦の関係が徐々にラブラブになっていく・・・!?なんか複雑な気持ちだなぁ。 結婚式のシーンがこれほど哀しくみえたのは初めてかもしれない。 でも過去に遡ってあの夫婦が何故別れてしまったのかを探る作業はなかなか楽しかった。
(エターナルサンシャインほど複雑な構成ではないのでご安心を!)ポツリと言った、なんでもないようなセリフのひとつひとつが意味深に思えてくるから不思議。 そして最後の海のシーンはこれを見せたいがために映画一本撮ったんじゃないかと疑うぐらいの美しさでうっとりしてしまった。酸いも甘いも噛み分けた大人のための作品。
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高井清子 ★★★
夫婦が決定的に別れる場面から、出会いへと時間軸を遡っていきながら、別れの片鱗を辿っていく。 でも遡ることで、どんな悲しい別れにもすばらしい出会いがあったことを説きたかったのだろうか?
いや、出会いだけを賛美している感じでもなく、ラストシーンは妙に暗示的である。 では別れに至る亀裂の数々を見せながら、その場その場で修復への可能性、あるいは別れの必然性を探っていたのだろうか?
いや、むしろ感じるのは、別れというのは、愛し合うふたりに生じるズレの積み重ねというよりも、そのズレへの向き合い方の変化にあるということだ。 関係を壊したくないからこそ、あえてかける優しい言葉。強がっているけれど、相手の裏切りに思わずこぼしてしまう涙。愛とは美しい形だけではないことを思い知らされる。
エピソードごとの描き方はうまいが、時間を遡って描くことの効果はどこにあったのだろう? |
中沢志乃 ★★
今月、★を付けさせていただく2作のうちの1作。こちらは…残念ながら期待はずれでした。 男女が別れに至る5つの理由の映画という宣伝にほぼ乗せられて興味シンシンで見に行きましたが、もっとさりげない理由かと思いきや、あまりにもフトゥーな理由。
そのくせ真相は視聴者の推測にお任せ気味で、まとめると単なるコミュニケーション不足ですかあ?という感じ。 まあ、その曖昧さが男女が別れる理由と言われればそれまでですが…。お互いをよく知らずに結婚という荒海に付き進む男女への警鐘かしら。
ただ主演女優の演技はうまいです。 |